子どもの思考回路を覗き見るヒントが満載の本でした。
「たまごが7こありました。なんこかつかったあと見たら、のこりは2こでした。なんこつかったでしょう。」
子どもは答えの欄に [5こ] と書く。
この問題には"答えをもとめる式"の欄もある。
そこに子どもは、[ 7 - 5 = 2 ] と書いた。
...続きを読む期待した正解は [ 7 - 2 = 5 ] だったのだが、これは"答えをもとめる式"としては不正解なのだろうか?
「3cmの本を並べたら18cmになった。何冊並べたか。」という問いに対しては、
子どもは少し時間がかかったが正しく [ 6冊 ] と正解した。
式は(18 ÷ 3 = 6 でなく) [ 3 × 6 = 18 ] だった。
算数を習い始めた子どもにとっては、これが素直な発想なのかなと思えた。
問題の日本語をそのまま式にしたら確かに 7 - □ = 2 や 3 × □ = 18 になる。
その上で、子どもは □ を求める問いだとちゃんと分かっている。
学校の算数の授業で鍛えられた大人にとっては「おっ、そうくるか?」と一瞬思うが、
自分も子どもの時は、このように考えて答えにたどり着いていたのかもしれない。
3が100こはサンビャクだと覚えたので、100が3こはと聞かれればヒャクサン(かな?)と答える。
11時の1分前はと聞かれ、10時69分と答える。
小数を学び始めた子が、0.2 × 3はと聞いて 0.6 だと答えられても、3 × 0.2 はと聞くと答えられない。
子どもの頭の中では、どのように考えが巡っているのかを解明(推理)していて面白かった。
テレビで野球を見ていると、画面の隅に 137km/h のように字が表示される。
子どもが何だ?と聞くので、親はピッチャーが投げた球のスピードだと言う。
子どもが km/h って何だと聞くと、親は1時間で進む距離だと言う。
子どもがピッチャーの投げた球が1時間も飛ぶわけがないので意味が分からないというと、親は黙る。
子どもの珍答・迷答・誤答に対して、思考プロセスを無視し単に不正解として処理するのでなく、どのように考えたのかや何につまずいているのかを理解して、もう一歩先に進めてあげることの難しさを考えさせられました。