サトウマイのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルに興味を惹かれて読んでみた。
統計学を専門にしている著者が、日常の事象を統計学で解説している。
タイトルの「レジの行列が早く進むのは、どっち!?」が知りたかったが、考えてみればもうレジに並ぶことよりも、セルフレジで会計していることの方が多い。熟練のレジ打ちの人がいるレジに並んだ方が、トータル時間は早いのかも知れないが、やはり待っている時間や、レジ係とのやり取りをなるべく避けたいと思ってしまう。
金額が大きくなるほど感覚が麻痺する、というのはその通りで、100万円が1万円安くなるより、1万円が半額になるほうが得したような気になる。その参照価格に惑わされずに、客観的な視点を忘れないようにしようと思う。 -
Posted by ブクログ
ほぼ他書で読んだことがある内容ではあるが、身近なことがらや有名人(ナイチンゲール)の話が取り上げられていて、「これから統計を学んでみたい」「興味がある」という人や小中学生には読みやすいと思う。
「春から夏生まれの子ども」=「成果を出している」=「誠実性の高いと推測される人たち」 と書かれているように読める。
ここは論理展開がまったくわからなかった。誠実性があると成果がでやすいという結果があるとして、「結果が出ている人は誠実性がある」とは言えない。ましてや、「早生まれは誠実性がない」と読める、もしくはそういう主張は根拠が示されていない。
非常によろしくない記述だと考える。
スポーツ選手に早生まれが少ないのは、学年ごとの活動が多く、若いうちは体格差・体力差があり、春〜夏生まれの子どもが頼られ経験を積み、自己肯定感も高まるからだった記憶がある。
因果関係と相関関係に関して内容を見直してほしい。 -
Posted by ブクログ
統計の大まかな考え方や実際の社会での使われ方とその価値について、噛み砕いた表現によって数学が苦手な人でもわかりやすく説明されている。疑似相関やナイチンゲールなどの統計学における有名なエピソードを押さえつつ、心理学や行動経済学への言及もあり、題材としてもよくまとまっている。
統計の基礎知識のさらに概要や輪郭について理解するのに役に立つ。一方で本書だけで実践がすぐにできるようになるわけではないため、具体的な課題を持っている場合はここからさらに知識の習得や実用的なスキルを求めると良いだろう。
1章の途中の28ページから3章最後の64ページまで、ギャンブルの仕組みについて丁寧に説明されており、本当に統計学の本なのかと疑ってしまうほどである点はおもしろい。 -
Posted by ブクログ
YouTubeを拝見して,よく勉強されている印象だったので,文系に薦められる教材かもと思い購入しました。統計を道具としている人たちでもきちんと使い分けられていない「サンプル数」と「サンプルサイズ」は違う意味であることを指摘するなど,きっちりしているなあと思いましたが,読み進めるうちに徐々に違和感も出てきました。
数式は基本無いに等しいので,概念的な理解が中心で,それはそれでいいのですが,統計を「リアル謎解き」と称している割に合理性が弱いところがあるように思いました。
p.38で149.495円とすべきところを149,495円として,使うべき点が間違っていたり,p.39で1-49.8%=50.2%という指標の計算式として不用意な書き方していたり,p.77で(A/B) / 1-(1/5)というホントは中括弧が必要な式を安直に書いていたりします。
これらは表記の問題だと言ってしまえばそれまでですが,この本のタイトルにもなっている「早く進むレジ行列の見つけ方」を扱う第4章では,「かごの中見[中身の誤り]が少ない人がいるレジに並ぶ」よりも「手際が良いレジ係に並ぶ」を先に挙げています。かごの中身が少なければレジ係の腕前の処理能力からくる差やバラツキは小さいはず。加えて,レジ係の手際よりもかごの中身の方が客観的に見極められるデータです。手際の良さそうなレジ係を見極めるのにかかる時間については何も書かれていません。
さらに,第5章では統計ではお馴染みの「相関は因果じゃない」というネタでは,「スポーツ選手には早生まれの人が少ない」という相関を紹介しているのですが,その相関が見られる理由として,春〜夏生まれの子は早生まれの子に比べて,勉強や運動をする時間が長いからだとか,成果を出している人たち(誠実性の高いとされる人たち)と一緒にいる環境が多いので必然的に成果が出せるような性格になっているとか,全く当てにならない考察をしています。また,ビッグファイブを「心理学で最も信頼できると言われている」と箔をつけてまで引き合いに出した誠実性がスポーツにだけ関係するわけではありません。誠実性説が正しければ,大学入学者にも早生まれは少ないことが予想されますが実際はどうなんでしょうか?
それよりも(小学校低学年あたりまでの)同学年の4月生まれと3月生まれでは体格差があると考える方がnaturalです。そういう差が存在する中で運動,体育,スポーツをすることになります。早生まれは不利な経験をすると考えられます。第3の変数はいくらでもあり得ますけど,「成果を出している人と一緒にいる環境が多い」なんてどうして想定できるのでしょうか? 体格差や発達差については全く触れられていません。
この辺りの議論の質は,どれだけ余計な仮定を持ち込まずに相関を捉えるかという話なので,数字や数学のスキルはあまり関係がなく,文系であっても数学的側面に比べれば習得のハードルは低いはずです。
“恐ろしいのは,本人に罪の意識がなく,「この情報はみんなに知らせなきゃ!」と条件反射的にデマ情報を拡散させてしまうことです。”(p.108)
まさにその通りなのですが,第8章でスキナー箱による迷信行動の実験が紹介されていますが,これはラットではなくハトの実験のことだと思われます。「1948年」と書かれていることから“Superstition in the pigions”が該当する論文でしょう。孫引きに留まり,原典を調べる努力が少しばかり足りなかったようです。
下馬評が良かった分,ちょっとガッカリでした。知性に関わる内容の書籍を出版するなら,ブーメランにならない記述を行う責任があります。人にお金を払ってもらう専門家には必要な姿勢ではないかと思います。
第8章には数理統計学の書籍にはあまり掲載されない認知バイアスの話もあり,それは良いのですが,サンクコストバイアスの例として,2000円払って見ている映画が面白くなければすぐに観るのをやめようと書かれていますが,面白いか面白くないかという個人的感覚と,投資での損益という客観的指標の話は,同列にはできないと思います。サンクコストバイアスという金銭的な損に絡む話を,面白く思わないという感覚と同列にすると,本来なら数学的である統計学を面白く感じないからという理由で離れる人を肯定することになるからです。面白く感じない統計学,続けたら損するのでしょうか? イチローさんは現役時代,練習は面白くないと思っていたそうですが,イチローさんに「それはサンクコストバイアスだ!」って言えないはずです。 映画ならサンクコストバイアスが当てはまるんでしょうか? それはなぜでしょうか? 根拠薄です。分かりやすい内容にすると,分かりやすさの罠に陥るものです。
第10章は仕組みに一切触れないけども「データを優先させた成功事例の羅列」になってしまっている印象です。ただ,「○○についてどう思いますか?」とか「買いたいと思いますか?」という意向調査のデータ(顧客の声)よりも,「他者からの人気はどのくらいありそうか?」という他者の動向を予測してもらう調査データの方が売上と相関するという話は,主観的なデータであってもどのように問うていくかという「仕組み」を紹介しているので,もう少し羅列にならなくても良い書き方があったのではないかと思います。
とは言え,コンセプトは大いに賛同できますし,合理性の不十分な記述が修正されるようなことがあれば,文系学生に勧められるようになるかもしれません。