永井陽之助のレビュー一覧
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本書『歴史と戦略』のオリジナルである単行本『現代と戦略』(文藝春秋、1985)は、永井陽之助氏が「文藝春秋」(1984年1月号から12月号まで)に連載したものを一冊の単行本にまとめたものである。
第一部「現代と戦略」・・・(米ソ冷戦末期の国際政治における)主として、日本の防衛論争や防衛戦略を巡る諸問題を扱う
第二部「歴史と戦略」・・・「戦史に学ぶ失敗の教訓」という意味で、歴史のケースに焦点を合わせる
本書は、単行本『現代と戦略』第二部を文庫化したものであり、出版社の宣伝文句は次のようである。雰囲気を感じ取れる。
<戦略を研究し戦史を読むことは人間性を知ることにほかならない――。
クラウゼヴ -
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本書『新編現代と戦略』のオリジナルである単行本『現代と戦略』(文藝春秋、1985)は、永井陽之助氏が「文藝春秋」(1984年1月号から12月号まで)に連載したものを一冊の単行本にまとめたものである。
第一部「現代と戦略」・・・(米ソ冷戦末期の国際政治における)主として、日本の防衛論争や防衛戦略を巡る諸問題を扱う
第二部「歴史と戦略」・・・「戦史に学ぶ失敗の教訓」という意味で、歴史のケースに焦点を合わせる
本書は、単行本『現代と戦略』第一部を文庫化したものであり、出版社の宣伝文句は次のようである。雰囲気を感じ取れる。
<日本の国家戦略はいかにあるべきか――。
政治的リアリズムの立場から戦後の -
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現代社会はVUCA、すなわち不確実性の連続である。ビジネスでも私生活であっても、今この瞬間の事実こそ確実であれ、一年後、半年後、明日そして1秒後の事でさえ予期せぬ事態が訪れる可能性に日々怯えながら過ごしている。先日埼玉県で道路が陥没し、走行中の貨物車両が落下するという痛ましい事故が起こった。このレビューを書いている2週間ばかり経過した今もなお、運転手の発見には至らず、ご家族や関係者の方々の不安や悲しみは想像を絶する。何事もなく平和に過ごした日常が壊れるのは一瞬だ。一寸先は闇、こんな言葉が頭を過るが、正に何を信じて何を指針に前に進めば良いのか、判らなくなることばかりだ。私はITに携わる仕事だから
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岡崎久彦氏との国家戦略に関する論争から生まれた書である。防衛論争の座標軸、安全保障と国民経済、ソ連の脅威、有事、戦略的思考、摩擦と危機管理、そして岡崎氏との対論からなる。著者は吉田ドクトリンを肯定する立場。清水幾太郎、森嶋通夫といったその他の論者についても触れており、日本の戦後の国家戦略論がどう変遷してきたかの概略を知ることができる。そして著者の論考は数十年を経た今の日本にも当てはまるところが多々あると感じる。
野党が政権担当の可能性がないから理想と正論を掲げることができ、それが結果として日本の軍事化を阻んだ。第二次大戦の米国で大砲を作ることでバターも増えるという軍事ケインズ主義とでもいうもの -
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ネタバレオリジナルは1985年の出版。クラウゼヴィッツの「戦争論」を下敷きに、真珠湾の奇襲攻撃、核の下での抑止と挑発、情報戦、レーニンとヒトラーの比較、戦争の目的と手段等々について、記述している。
印象的な具体例をあげると、以下のようなものがあった。
【太平洋戦争】
太平洋戦争に至る経済制裁という名の非軍事的報復が、抑止力として作用するよりも、むしろ日本軍の奇襲攻撃を挑発した原因の一つとして、日米の文化の差として、E・ホールの説を引用しているのが興味深い。
太平洋戦争に至る日米関係は、英米のような「文脈度の低い文化」と日本の「文脈度の高い文化」との外交交渉であった。つまり欧米流の「これでもか、これで -
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第4章戦争と革命
ドイツは対内的には全体主義的ではなく自国民については甘やかしすぎであったとの見方。ソビエトこそが対内的に全体主義を徹底させた。一方でスターリンの対外政策は全体主義と言うよりもリアルポリティクスであるとの評価。
国民国家の成立以後、戦争は総力戦化。ナポレオンのような天才は再現性がないのでプロイセンは参謀本部をー発明ーする。フランスやオーストリアに勝利。クラウゼヴィッツの戦争論がそのテキスト。
レーニンは革命の正当化のため国内の敵を作り出し、対外戦争のための参謀本部の機能を対内抑圧革命のためのボルシェビキに負わせ、国内で革命の敵を徹底的に殲滅する。スターリンが権力を持つとレーニン -
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このところの新型コロナウイルスに関する政府の失策に対するヒントがあるのではないかと思って読んでみました。
ちょっとその事前の予想・期待とは違いましたが、8月と言う時期にぴったりな、太平洋戦争にまつわる日本の選択と失敗が描かれていて、非常に勉強になった。
太平洋戦争は、異なる文化間の戦いであることもこの書で描かれている。一方の行動の意図が、文化の異なる相手方に正しく伝わらないというのは悲劇。それは、今の時代もあって、国家間のチキンレースの様相を呈する事もある。
歴史を正しく学べば悲劇は避けられるのではないかと思うが、国家間の対立が起きているときは、その当事者は冷静さを失ってしまって、そんな -
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ネタバレ個人的には「失敗の本質」と双璧を成すと思う良書。
WWⅡにおけるヨーロッパでの戦いと太平洋での戦いを中心に各戦闘における特徴と共通点をあぶりだし、
それらがなぜ成功したのはもしくは長期的に見て敗北となったのかを考察している。
目次は
・奇襲
・抑止と挑発
・情報とタイミング
・戦争と革命
・攻勢と防御
・目的と手段
純軍事的な話も多く、はあ。。となって終わる部分も多いが
これは真理だと思う。
「戦略とは自己のもつ手段の限界に見あった次元に、政策目標の水準をさげる政治的英知である」
つまり、現実的にできなさそうにも関わらず
夢物語な目標を設定してしまうことが悲劇の始まりになる。
これは -
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歯切れが良くて面白い。といっても乱暴な簡略化をしているというわけでもない。
特に面白く思ったのは、クラウゼヴィッツ『戦争論』を読み込んで消化しきったレーニンが、そのエッセンスを国家間の戦いではなく、共産主義の階級闘争に応用したところ、その絶大なる効果のために20世紀後半に世界が苦しむことになったというくだり。
ナイーブな民衆や「自由主義者・進歩主義のインテリ」を、反論し難い正義感や倫理観の衣をまぶした暴力思想に感染させ、結果として世界の進歩を遅らせたレーニンの罪は重かろう。
現代でも、階級闘争は、環境保護運動に姿を変え、ナイーブな知識人や大衆を惑わし続けている。システムとして環境保護や反核を推