中国新聞「決別金権政治」取材班のレビュー一覧
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参議院広島選挙区での河井夫妻の買収事件の真相に、地元の中国新聞の取材班が迫った本。第1部では事件の発端とそれに伴う報道合戦の中での記者たちの奮闘が描かれている。報道合戦の裏側がわかり面白い。最初のすっぱ抜きは週刊誌で、情報が垂れ込まれる仕組みには、足での取材がかなわないことがよくわかる。ただ、その後の意地の盛り返しは見事である。第2部では、被告夫妻と被買収者の法廷での証言が生々しく書かれている。第3部では検察審査会を経て、被買収者の裁判や買収資金の出どころを探り、事件の全貌に迫っている。全体を通じては自民党の古い体質がすべての背景にある。選挙も含め、政治家を見方につけたい時はお金をもっていく慣
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2021年12月に出版された中国新聞の「ばらまき 河井夫妻大規模買収事件 全記録」から2年半、
さらに取材を続けた内容を加味して再出版された文庫。
河井夫妻の買収事件は、自民立民1人ずつで無風区だった参院広島選挙区に、
河井克行の一回り下の妻河井案里(二人とも慶應、、、)を安倍首相以下が建てたことに端を発する。
名目は二人当選だったが、実は安倍を批判した現職を追い落とすため、意趣返しだったといわれる。
当選が厳しい案里陣営は、地方議員に実弾を配る。
結果案里と立民が当選。中央の狙いどおりとなった。
しかしこの後検察が動き、地方議員の証言を得て、河井夫妻を立憲、
克行は実刑、案里も有罪執行猶予 -
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2025.10.31
高市内閣が発足し、なんとなくの期待感が日本を覆っている。やはり、自民党はやり方が上手い。本質が何も変わっていないのに、総理を変えることで「変化」したかのように魅せられるのは、皮肉も込めてさすがとしかいいようがない。本書の感想はすでに過去の事件扱いされている河井元法相の事件のルポである。
気になっているのは、中国新聞社は影響力ないみたいな自虐というか、自己肯定感低めの記述が散見されること。
私の地元紙である中日新聞は東京ではともかく愛知県では絶大な影響力持っています。日本の地方新聞はそんなに影響力ないものなのでしょうか?
あと、残念だったのは、こういう書籍の文庫版は、「その -
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中国新聞「決別 金権政治」取材班『ばらまき 選挙と裏金』集英社文庫。
広島の地方紙が総力を挙げて炙り出した前代未聞の買収事件を描いたノンフィクション。
地方紙でも、これだけのことはやるんだと言わんばかりの熱量を感じるが、問題の本質に斬り込み、何かを変えたかというと大いに疑問を感じる。やってやるぞという記者たちの気持ちばかりが空回りしているような冷静さを欠いた文章が今ひとつ響いて来なかった。
未だに燻り続けている自民党の裏金問題を放置したまま、自民党は総裁選を展開している。立候補した9人の推薦人には裏金議員の名前も上がっており、9人の誰一人として今さら裏金問題を解決しようという意思が無いこ -
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河井克行元法相の買収事件を地元紙がまとめたもの。買収事件があった参院選の構図、河井の来歴、逮捕そして裁判と丹念に追っている。事件の背景として、河井が松下政経塾出身で、2世議員ではなく、県内の主流会派となっている宏池会に所属していなかったことから「孤独感を感じていた」ことが明かされる。また一度、落選して浪人を経験していることから、極度に落選を恐れていた。さらにパワハラ気質で、地元に本当に面倒をみてくれる人が不在だった。
国会議員の党支部が地方議員の党支部に選挙活動費として現金を提供するのはよくわることだが、本件は政治資金収支報告書にも掲載されず、領収書もないので同列には扱えない。だが、発覚後に -
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自民党・河井克行と案里夫妻による2019年の参議院選挙での大規模買収事件の真実を求めて、地元の中国新聞が総力を挙げて取り組んだ記録。
記者は、地元の議員や首長の被買収者から現金を渡された状況などを取材していく。地元に密着してきた新聞だからこその、関係性を築いてきた記者だかにこその、生々しい証言が得られていく。しかし一方では、公判での証人尋問や調書の公開でそれらが嘘だったことも明らかになっていく。保身のために、平気で嘘をつく政治家。記者の後ろに国民、有権者がいることへの理解がないのだろう。河井夫妻だけではなく、地方議会の政治家たちも全くひどい。政治は自分たちの利権、それだけか。
そのように -
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2019年参院選広島選挙区において、河合安里氏を当選させるため元法務大臣の河合克行氏が3000万円近い大金を、100人以上の地元有力者や地方自治体首長などに配り、のちに公職選挙法違反で逮捕された事件について、地元中国新聞社が関係者に取材を重ね事件の全容に迫るノンフィクションです。
本書前半部は、この選挙において現金が授受された経緯や、河合夫妻の公判の様子など、河合夫妻の政治家としての来歴と河合夫妻が有罪となるまでの経緯を詳細に追っています。
そして本書後半部分では、配られた現金の出どころはどこなのかという点を追求していきます。小さな手掛かりを積み重ね、たどり着いたのは安倍晋三氏(当時自民党総裁