ベンジャミン・クリッツァーのレビュー一覧

  • 21世紀の道徳

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    著者はアカデミアに属さない在野の研究者とのこと。そのこともあってか、業界で正解とされる答えから逆算したような解説ではなく、著者自身が自分に対して確かめながら書いているような書きぶりが印象的。特に幸福論のところでユーダイモニアとヘドニズムを対比させながら議論している所で、ユーダイモニアに軍配をあげながらも、ヘドニズムに傾斜せざるを得ない心情にも理解を示すあたり、なかなか正直な人だと好感が持てた。
    本書末尾にもある通り人類が抽象的思考に慣れるに従い、倫理の水準も向上するのは確かにそうなのだろう。が、その程度については人それぞれ千差万別なわけで、本書で扱われるような様々な議論も、将来の正解は法則性に

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    2022年07月30日
  • 21世紀の道徳

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    道徳や倫理ときくと、どこか捉えどころのない、感情的で普遍性のないようなものにかんじるかもしれない。

    だが本書を通じて、道徳や倫理は、共感や想像力などの感情的な要素だけでなく、科学的で抽象的な推論や思考、論理があることによって生まれ、認識され、実践されるものだということを、改めて認識させられた。

    この本の言葉を使うとしたら、自分の中に道徳をつくり実践していくためには、科学的で抽象的な思考と物語的想像力が必要であり、そのどちらも磨いていく必要性を感じた。

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    2022年01月25日
  • モヤモヤする正義

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    冒頭のキャンセルカルチャーから男女問題。
    日本に住み続けている自分たちの正義を振り翳すのはもうやめたい。

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    2024年11月05日
  • モヤモヤする正義

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    ぶ厚い!1、2章だけ目を通したけど、まあバランス重視(中庸)で真面目に問題考えてる感じ。その分エッジは弱くなってるかなあ。2章の最後の方では表現の自由は擁護しようとしているものの、ネット人民に対する懐疑みたいなのが強まってるっぽいけど、ちょっと悲観的すぎる気はする。私はもうすこし楽観的でありたいな。いわゆる(人文系)アカデミアは、そんなにまともなところではないのではないかという気がする。まあもうちょっとちゃんとしてくれ、ってことなんだろうけどねえ。

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    2024年09月25日
  • 21世紀の道徳

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    ネタバレ

    進化の歴史「~である」から、規範「~すべき」は導けない。
    人文学は、民主主義の健全な機能のために批判的思考や想像力を養うという目的のもと必要である。
    倫理的な判断は、自分が欲しいと思っている証拠ではなく、自分が手にしている証拠に基づいて行わなければならない(ラムズフェルドの返答)
    左派は権力を批判する一方で、権力を持たない個人の責任を追及することは嫌う。
    自閉症は極端な男性型の脳であるとしたら、多様性への多配慮のためのスピーチコードの発展は脳神経特性の多様性に反することにつながる。

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    2023年07月30日
  • 21世紀の道徳

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    読み応えある一冊。内容を理解し考えながら読んだので、すごく時間がかかった。それでも半分も理解できていない気がする。
    物事の意味を論理的に考えるには、仮定に基いた推論と物語的想像力が不可欠という点が学んだ一番の所。日頃から意識して考えていこう。

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    2022年08月10日
  • 21世紀の道徳

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    最近のトピックスが、面白くという切り口で論じられている。最近の哲学読み物を読んで、モヤモヤが残った人におすすめ。個人的には功利主義の項目が参考になった。

    ページ数が多いが、気になる項目だけ読める内容なので、好きに読むことができる。

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    2022年06月14日
  • 21世紀の道徳

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    面白かったです。
    特に「仕事と幸福」のトピックに関して、自分の考えにかなり偏りがあったことを自覚しました。
    これまで自分が親近感を持って受け入れていた左派的な考え方の中にも本当に自分の人生に取り入れるべきか、疑わしいポイントが少なからずあることがよくわかり、バランスを取ろうという意識を強めるきっかけになりました。

    他にも、フェミニズム、功利主義など身近なトピックも取り上げられていて楽しく読めました。

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    2022年05月24日
  • 21世紀の道徳

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     種による差別には疑問を感じていなかったが、それを疑問とする考え方があることを知ることができた。
     理性による道徳と共感による道徳のどちらも必要というまとめには同感。

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    2025年09月03日
  • 21世紀の道徳

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    ブログがもとになった本なので当たり前といえば当たり前だけどブログ、あるいは居酒屋で聞く人文学の知見が豊富な友人の話、くらいの感覚。左翼のやりがちな弁論、ポリコレ批判、といったあたりはちょっと面白いと思ったけど、わざわざ哲学者の言を引用してまで言うようなことか?と思われるような月並みな議論であったり、それから労働にまつわる章に関しては、著者本人が実際に週就職してみたら案外たいしたことなかったということを書いているからどうしようもないのかもしれないが、(ちょっとばかりの合理的で月並みな議論では到底乗り越えられ得ない)労働の苦しみというそれこそ実存的な問題があまりにも軽視されていると感じた。

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    2022年01月18日