ベンジャミン・クリッツァーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者はアカデミアに属さない在野の研究者とのこと。そのこともあってか、業界で正解とされる答えから逆算したような解説ではなく、著者自身が自分に対して確かめながら書いているような書きぶりが印象的。特に幸福論のところでユーダイモニアとヘドニズムを対比させながら議論している所で、ユーダイモニアに軍配をあげながらも、ヘドニズムに傾斜せざるを得ない心情にも理解を示すあたり、なかなか正直な人だと好感が持てた。
本書末尾にもある通り人類が抽象的思考に慣れるに従い、倫理の水準も向上するのは確かにそうなのだろう。が、その程度については人それぞれ千差万別なわけで、本書で扱われるような様々な議論も、将来の正解は法則性に -
Posted by ブクログ
ブログがもとになった本なので当たり前といえば当たり前だけどブログ、あるいは居酒屋で聞く人文学の知見が豊富な友人の話、くらいの感覚。左翼のやりがちな弁論、ポリコレ批判、といったあたりはちょっと面白いと思ったけど、わざわざ哲学者の言を引用してまで言うようなことか?と思われるような月並みな議論であったり、それから労働にまつわる章に関しては、著者本人が実際に週就職してみたら案外たいしたことなかったということを書いているからどうしようもないのかもしれないが、(ちょっとばかりの合理的で月並みな議論では到底乗り越えられ得ない)労働の苦しみというそれこそ実存的な問題があまりにも軽視されていると感じた。