作品一覧

  • モヤモヤする正義
    4.0
    1巻2,860円 (税込)
    理性を公共的に使用せよ――これは多数者と少数者双方への挑戦である ──森本あんり 時代を覆う「正義」と「権利」のインフレ、その核心を突く本書に刮目すべし! ──マライ・メントライン 「表現の自由は大切だが、あまりに攻撃的な表現は許容すべきでない」「少数派や女性に対してより配慮すべきだが、多数派や男性のことが無視されるのもおかしい」 ……意見が対立するさまざまな問題について、多くの人はどちらの「正義」にも同意や共感を示し揺れている。 こうした正義にまつわるモヤモヤに対し、どの意見が正しいのか、社会の規範はどうあるべきなのか、その「答え」を提示する政治哲学的論考。 キャンセル・カルチャー、マイクロアグレッション、トーン・ポリシング、弱者男性論など重要な概念・議論を題材に、感情に流されない「公共的理性」による問題解決を試みる画期的なテキスト。 「晶文社スクラップブック」の連載に、書きおろしを含め大幅加筆・全面改稿した大ボリュームの一冊 “世の中で起きている問題に向き合うときに、良さや正しさなど、規範に関する思考や感情を避けることはできない。/本書は「規範」を堂々と取り扱う。現状目立っている、「正義」の問題をあげつらったりイヤだと拒否したりすることで済ませるのではなく、認めるべきところは認め肯定すべきところは肯定しながら、それに代わる別の「正義」を提示していく。/わたしの目的は、すこしでも物事を正しくして社会を良くすることだ。読者の方々にも、本書を通じて「規範」について考えをめぐらし、自分でも「正義」をきちんと主張できるようになっていただければ幸いである。(「まえがき」より)” 【目次】 まえがき 第一部 社会的批判と自由の問題 第一章 キャンセル・カルチャーの問題はどこにある? 第二章 「思想と討論の自由」が守られなければならない理由 第二部 マイノリティとレトリックの問題 第三章 特権理論と公共的理性 第四章 トーン・ポリシングと「からかいの政治」 第五章 マイクロアグレッションと「被害者意識の文化」 第三部 男性学と弱者男性の問題 第六章 男性にも「ことば」が必要だ 第七章 弱者男性のための正義論 終章 これからの「公共性」のために
  • 正義と悪意の境界線
    -
    1巻220円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ●〔対談〕乱発するキャンセル 今必要な「謝罪」と「許し」 森本あんり 武田 徹 ●匿名性の鎧を纏った「正義の戦士」がゆく 住吉雅美 ●世界で燃え広がるキャンセル・カルチャー 日米の事例から考える現代版「私刑」の功と罪 ベンジャミン・クリッツァー ●キャンセル・カルチャーと欺瞞的「寛容」の時代に 逆説的「不寛容」のすすめ 河野有理
  • 21世紀の道徳
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    現代哲学を「政治的正しさ」の呪縛から解放する快著 ──帯文・東浩紀 ポリティカル・コレクトネス、差別、格差、ジェンダー、動物の権利……いま私たちが直面している様々な問題について考えるとき、カギを握るのは「道徳」。進化心理学をはじめとする最新の学問の知見と、古典的な思想家たちの議論をミックスした、未来志向とアナクロニズムが併存したあたらしい道徳論。「学問の意義」「功利主義」「ジェンダー論」「幸福論」の4つのカテゴリーで構成する、進化論を軸にしたこれからの倫理学。 哲学といえば、「答えの出ない問いに悩み続けることだ」と言われることもある。だが、わたしはそうは思わない。悩み続けることなんて学問ではないし、答えを出せない思考なんて意味がない。哲学的思考とは、わたしたちを悩ませる物事についてなんらかのかたちで正解を出すことのできる考え方なのだ。(…) この本のなかでは、常識はずれな主張も、常識通りの主張も、おおむね同じような考え方から導きだされている。それは、なんらかの事実についてのできるだけ正しい知識に基づきながら、ものごとの意味や価値について論理的に思考することだ。これこそが、わたしにとっての「哲学的思考」である。(…)倫理学のおもしろさ、そして心理学をはじめとする様々な学問のおもしろさをひとりでも多くの読者に伝えることが、この本の最大の目的である。(「まえがき」より) 【目次】 ■第1部 現代における学問的知見のあり方 第1章 リベラルだからこそ「進化論」から目を逸らしてはいけない 第2章 人文学は何の役に立つのか? 第3章 なぜ動物を傷つけることは「差別」であるのか? ■第2部 功利主義 第4章 「権利」という言葉は使わないほうがいいかもしれない 第5章 「トロッコ問題」について考えなければいけない理由 第6章 マザー・テレサの「名言」と効果的な利他主義 ■第3部 ジェンダー論 第7章 フェミニズムは「男性問題」を語れるか? 第8章 「ケア」や「共感」を道徳の基盤とすることはできるのか? 第9章 ロマンティック・ラブを擁護する ■第4部 幸福論 第10章 ストア哲学の幸福論は現代にも通じるのか? 第11章 快楽だけでは幸福にたどりつけない理由 第12章 仕事は禍いの根源なのか、それとも幸福の源泉なのか? 終章 黄金律と「輪の拡大」、道徳的フリン効果と物語的想像力

ユーザーレビュー

  • 21世紀の道徳

    Posted by ブクログ

    著者はアカデミアに属さない在野の研究者とのこと。そのこともあってか、業界で正解とされる答えから逆算したような解説ではなく、著者自身が自分に対して確かめながら書いているような書きぶりが印象的。特に幸福論のところでユーダイモニアとヘドニズムを対比させながら議論している所で、ユーダイモニアに軍配をあげながらも、ヘドニズムに傾斜せざるを得ない心情にも理解を示すあたり、なかなか正直な人だと好感が持てた。
    本書末尾にもある通り人類が抽象的思考に慣れるに従い、倫理の水準も向上するのは確かにそうなのだろう。が、その程度については人それぞれ千差万別なわけで、本書で扱われるような様々な議論も、将来の正解は法則性に

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    2022年07月30日
  • 21世紀の道徳

    Posted by ブクログ

    道徳や倫理ときくと、どこか捉えどころのない、感情的で普遍性のないようなものにかんじるかもしれない。

    だが本書を通じて、道徳や倫理は、共感や想像力などの感情的な要素だけでなく、科学的で抽象的な推論や思考、論理があることによって生まれ、認識され、実践されるものだということを、改めて認識させられた。

    この本の言葉を使うとしたら、自分の中に道徳をつくり実践していくためには、科学的で抽象的な思考と物語的想像力が必要であり、そのどちらも磨いていく必要性を感じた。

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    2022年01月25日
  • モヤモヤする正義

    Posted by ブクログ

    冒頭のキャンセルカルチャーから男女問題。
    日本に住み続けている自分たちの正義を振り翳すのはもうやめたい。

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    2024年11月05日
  • モヤモヤする正義

    Posted by ブクログ

    ぶ厚い!1、2章だけ目を通したけど、まあバランス重視(中庸)で真面目に問題考えてる感じ。その分エッジは弱くなってるかなあ。2章の最後の方では表現の自由は擁護しようとしているものの、ネット人民に対する懐疑みたいなのが強まってるっぽいけど、ちょっと悲観的すぎる気はする。私はもうすこし楽観的でありたいな。いわゆる(人文系)アカデミアは、そんなにまともなところではないのではないかという気がする。まあもうちょっとちゃんとしてくれ、ってことなんだろうけどねえ。

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    2024年09月25日
  • 21世紀の道徳

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    進化の歴史「~である」から、規範「~すべき」は導けない。
    人文学は、民主主義の健全な機能のために批判的思考や想像力を養うという目的のもと必要である。
    倫理的な判断は、自分が欲しいと思っている証拠ではなく、自分が手にしている証拠に基づいて行わなければならない(ラムズフェルドの返答)
    左派は権力を批判する一方で、権力を持たない個人の責任を追及することは嫌う。
    自閉症は極端な男性型の脳であるとしたら、多様性への多配慮のためのスピーチコードの発展は脳神経特性の多様性に反することにつながる。

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    2023年07月30日

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