松井透のレビュー一覧

  • 世界市場の形成

    Posted by ブクログ

     「世界市場」を考察する意義はどのような点に求められるか。その出発点は、近現代ヨーロッパの史的発展、特に社会経済的発展にとって「世界市場」要因はどれだけの意味をもったか、という設問である。
     単純化すると、第一の立場は、「世界市場」要因は本質的意味を持たなかったというもの、第二の立場は、ヨーロッパの発展は大きく「世界市場」要因に依存しており、イギリス産業革命などもこれがなければ相当遅れたに違いないとする。
     このような基本的考え方の対立について、本書では実証的、数量的裏打ちに基づく検討が行われる。この点が本書の大きな特徴であり、素晴らしい成果だと思われる。
     
     まず第一章では、従属理論、世界

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    2021年05月09日