中島空のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
複雑で困難な家庭環境に生まれ、自ら望んだわけでないが、単一民族国家の日本で多感な幼少期、思春期を暮らすことになった子どもたち。日本の学校生活に馴染むための苦労と葛藤が子どもの視点で丁寧に描かれている。
日本人以上に「日本人」を意識し、「日本人として上手く生きる」ことと「外国人である自分」とのアイデンティティのはざまで声を挙げることなく、誰かに簡単に共有することもできない孤独な子ども目線の苦労を想像することができた。
在留外国人の方は最近とても増えたし、子どもたちのクラスメイトにも増えた。今後も増えるだろう。人は誰しも社会を構成する一人として、個人として尊重されるべきだと思ってたはずなのに、外国 -
Posted by ブクログ
本を選ぶ時にいわゆるジャケ買いのように装丁で選ぶことはある。この本もそういう風に選んだ一冊だけれども、装丁ではなく装画で。装画を担当している寺田マユミのファンなので。
いじめとか、多様性(ジェンダー関係は出てこない)とか、今時のティーンの抱えていそうな問題が一様に網羅されていて、本のジャンルで言えばヤングアダルトということになるのか。もう一歩踏み込めばもっとひりひりとする現実の嫌な部分が出てきそうなエピソードが幾つも描かれるけれど、薄皮一枚で守られた主人公の世界が大きく破綻することはなくいつの間にかエンディングを迎える。それでいいのかと思う一方、世の中幾らでも嫌なことはあるのだから、本の中で