末木新のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【目次】
1.人はどのようにして自殺ができるようになるのか?
-自殺の説明理論/自殺観のアップデートに向けて
自殺リスクの発達的変化
人はなぜ死にたいと思うようになるのか?
自殺の危険因子と説明理論
既存の理論によって説明できないものは何か?
発達段階による自殺原因の差異
発達的観点からの理論的統合——自殺の社会-発達モデル
自殺と異常はなぜ/どのように結びつけられてきたのか?
自殺と理性と異常を結びつける
未来における「自殺」概念の変化の可能性
2.国家による自殺予防政策の効果的実行は可能か?
-自殺対策を実施する主体の問題①
国際的/国家的な数値目標の導入
自殺は数えられるのか?
自殺を数えるのは難しい——警察統計と人口動態統計の比較
自殺は今でも過少報告されている?
死因推定のためのプロセスの差異
原因不明の死の大幅な増加の原因
統計データにどう向き合うべきか?
安楽死の制度化は統計データにどのような影響を与えるか?
死亡データに頼らない政策評価の可能性——ロジックモデルの活用は有意義か?
政策の効果的な実行に関わる行政上の問題
国家による自殺予防政策の効果的実行は可能か?
3.国家による自殺予防の副作用はいかに低減できるか?
-自殺対策を実施する主体の問題②
自殺対策による新世界の創造
世界は良くなっているのか?——幸福学の知見からのアプローチ
新世界におけるすばらしい自殺対策
上からの「ソーマ」の供給はなぜ問題か?
自殺予防施策はいつでも倫理的に「善」と言えるのか?
効果のある自殺予防施策を倫理的観点から検討する
現代資本主義国家における福祉の提供体制
国家による福祉政策は,福祉をもっとも必要とする者を幸福にするか?
国家による福祉の提供は,他の供給源からの福祉の提供に影響を与える
国家による自殺予防の副作用はいかに低減できるか?
4.自殺を予防するために我々が本当にすべきことは何なのか?
-自殺予防の「本質」と自殺対策観のアップデート
自殺とメディア——ウェルテル効果対策の現在地
自殺予防はこうして骨抜きにされていく……?
ウェルテル効果への対策を「真面目にやる」とはどういうことなのか?
自殺企図手段の選択に影響を与える要因への対策の現状と未来
自殺企図手段の選択に影響を与える要因への対策は自殺予防の本質か?
我々の心はなぜこれほど脆く,多くの人が自殺を考えてしまうのか?
視点を変える——戦争と自殺
戦争と自殺について考える際の注意事項
戦争(総力戦)はなぜ我々を自殺から救ってしまうのか?
戦争(総力戦)は格差を減じる有効な「手段」として機能する
戦争(総力戦)の持つ問題点を解消する方法
ベーシック・インカム(あるいは「社会変革」)は自殺をなくすか?(解決策①)
心の痛みを感じないように人類を進化させることは自殺をなくすか?(解決策②)
自殺予防の「本質」——我々が本当にすべきことは何なのか? -
Posted by ブクログ
短時間で読めるのに決して内容は薄くなく、ちくまプリマー新書らしい良書です。
〇「死にたいという思いは短期的な問題解決をもたらすように見えるセイレーンの歌声」という表現が上手いなぁと思いました。
〇「国民は、生きることの包括的な支援としての自殺対策の重要性に関する理解と関心を深めるように務めるものとする。」(自殺対策基本法第5条)…知らなかったです、この条文。
〇もし技術的に不老不死が誰にでも可能になったら、もしかしたら自殺は当たり前の選択肢(合理的)になるかもしれない…思考実験としてめちゃくちゃ面白い。
…他にも読みどころはたくさんあって、結論ありきの本ではないところが良かったです。
広い視点で「自殺」という現象について考えたい人にもオススメ。 -
Posted by ブクログ
大学の授業で使うため購入。今まで自殺という分野については触れたことがなかったので貴重な経験だと思った。そもそも自分は死というものについて悲観視しすぎているような感じを持っていたり、もちろん、自殺を推奨する訳ではないが、生きていることを完全なる善、自殺を完全なる悪という風潮があったりすることに違和感を持っていた。本書では、そもそも論自殺は悪いことなのかという部分をはじめ、多角的に述べられているように感じたのと同時に、現実問題の限界も感じることができた。特に、メディアやSNSでの報道により、良い意味でも悪い意味でも刺激が生じるので、その点、本当に多くの人が知識としても持っておく必要性があると感じる。最後に、難しいかもしれないが、小さなことの積み重ねや幸せに対する感性を刺激してあげることが重要なんだなと感じた。おそらく今後も課題としてこの題材は世の中に挙げられ続けるだろうが、完全なる答えは出ることはないのかもしれない。でも、少しづつでもいいからこそ、考えてみることが一歩に繋がるのだと考える。
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Posted by ブクログ
【「何故死にたいと思ってしまうのだろう」と考えたことがある方へおすすめ】
表題のようにどうして死にたいと考えてしまうのか、自殺は本当に悪なのか、生物学的にはどのような側面があるのか、興味がある方には刺さると思います。
テーマが少し重いので気力に余裕がある時に読むのがおすすめです。(もちろん本文中にも何度か注意書きがされています)
著者は東大で自殺を専門に講義をされている方で、統計データなども元に「どのような条件があると自殺まで行動させるのか」「自殺は本当に悪なのか」を中学生にも分かるように紐解いています。
大前提自殺を勧める本でも、絶対に辞めろと説教する本でもありません。
しかし専門的に、学問の視点からみた自殺に関する話を読める本はなかなかないでしょう。
中高生むけに書かれているおかげもあり大変読みやすかったです。
またこの先生の別の本も読んでみたくなりました.
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Posted by ブクログ
自殺をなるべく科学的に論じることを試みる本。
なぜ人は死にたくなるのか、死にたいと言われたら、死にたいと思ったら、自殺は悪いことなのか、幸福で死にづらい世界の作り方の五章編成だが、それぞれ明晰な文で内容がスッと頭の中に入った。
特に人はなぜ死にたくなるのかについては、客観的に書かれており、かなり腑に落ちる内容だった。
・自殺感の潜在能力(自殺企図、手段へのアクセス、不適切なメディア報道、自傷経験、アルコールの有害な使用、虐待)
・所属感の減弱(災害、戦争、孤立)
・負担感の知覚(スティグマ、失業・経済的損失)
この三要素が重なったとき、人は自殺する可能性が高まる、というもの。 -
Posted by ブクログ
ちくまプリマー新書なので、10代向けに書かれているが、要点がよくまとまっていてわかりやすく読みやすい。
「はじめに」にも書いてあるが、本の題名を見て、「読むタイミングが今ではない」と思ったら無理して読むことはないと思う。
しかし、知識として勉強になることが多かった。
特に第4章は興味深く、死をいろいろな角度から検証して、というのが勉強になった。
第1章自殺はなぜ起こるのか
・自殺はわからないことも多い
・自殺の大人関係理論
自殺ほ危険性は
「自殺潜在能力」「所属間の減弱」「負担感の知覚」の3つの要因が合わさったときに最も高くなる
第2章「死にたい」と言われたら
・死にたい、自殺したいと言う人は、今すぐ自殺を試みて実際になくなる可能性は低いが、自殺の危険因子はかなり保有している。
・死にたいと言う気持ちを打ち明けるのは、重大な秘密である証拠。その人だからこそ打ち明けたもので、特別なつながりを感じている可能性が高い。
・自殺の対人関係理論の優先順位
①自殺潜在能力への対応
自殺する手段を使えないようにする
(首を吊るために用意した紐を預かるなど)
「死ぬための具体的な手段は考えているのか?
それはどれくらいちゃんと用意しているのか?」
→聞いても大丈夫
「死にたい」という自己開示を重く受け止めてくれたからこそ出てくる質問
②所属感の減弱への対応
関係性を密にする、孤独を癒す
×話題を逸らす
励ます、激励、助言
(がんばれと言われてもこれ以上頑張れない)
◯話をじっくり聞く
感情を理解する
理解したことを伝える(表情、トーン、相槌も◯)
「死にたい」には波がある
③負担感の知覚への介入
周囲の人の負担になっている、
役立たずだと自分で思う(自尊心が低くなっている)
◯感情的に納得できること
その人が周囲の役に立つことをしたときに
しっかり指摘し、感謝する
×論破
・「死にたい」への対応は大変なので、
チームで対応したり対応する人も専門家に相談したりした方が◯
・「死にたい」という衝動を乗り切るポイントは他者との関係性
第3章死にたいと思ったら
・相談する事は難しいことではない。
・各種相談窓口はあるが、ミスマッチを避けるために誰が何をしてくれるのか可能性が高いか知っておく必要がある。
・死にたい気持ちになってる時は、ただでさえ、心理的視野狭窄(心の視野が狭くなっている)
他の人から見れば、何らかの手段で解決から見えることも本人はそれが見えなくなってることが起きやすい。
だから、自分の気持ちが落ち込んだとき、何をすべきなのか、あらかじめ決めておき、可能であれば、その計画を信頼できる人と共有しておけばベスト
・死にたい気持ちに圧倒される時、最も重要なのは、誰かとつながり、自分1人しないこと。
・ストレス対処方法をたくさん持とう
・薬物使用、自傷行為は、短期的に見ると、ストレスを軽減する方法ではあるものの、
長期的に見ると、自殺のリスクを増やす時限爆弾の側面を持っている
・幸せに生きる事は、自殺をしたくなることの裏返し
政情が不安定になり、経済的にやっていけなくなり、健康が害され、自分はお荷物で迷惑をかけるだけで役立たずと感じ、他者と切り離されて孤独に陥ると死にたくなる。
・対人関係を充実させ、幸せになる簡単な習慣としては、他者に感謝し、その感謝を伝えること、親切にすること
・自分のことはわかっているようで、わかっていないことが多い。
だからいつどんな時に辛い気持ちになるのか、どんなふうに対処したら、記録として残して自分の行動パターンを見る。
・ネガティブな感情にどんな意味はあるのか?
生きていく上に必要な感情
人生を豊かにするために役立つサインとなるかも。
ひとりで考え込むのではなく、
誰かと共有すること。
第4章自殺は悪いことか
・人は老いて死ぬからこそ美しいのかもしれない
・生物にとって死は進化の過程で獲得された多様性の確保と環境適応のための優れた手段でもある
★例えば何らかの理由で瀕死の重傷を負った人がいて、その時代の医療技術では、回復が見込めないにもかかわらず、
親族が自らの生存や繁殖の機会を犠牲にしてまで献身的な対応をすれば、それは一族の共有する遺伝子において自殺のような行動が適応的なものになったのだろう。
自殺のような行動を単なる異常や病気だと決めつけるのは、それはそれで生き物に広く備えているこうした傾向を無視した近視眼的な発想でもある。
★死は良さと悪さを兼ね備えた両義的なもの。
死は退屈からの退出、対人関係の充実、人生の意味を創出と言ったよきものを生み出す可能性もある。
★自殺以外の形で死ぬということは、外的な要因で、突如として死が訪れるのだから、自殺以外の死は死ななければ得られたであろう良きことを喪失せる可能性を常にはらんでいる
・予防すべきではない自殺をするためのハードル
①他者に迷惑をかける行為
(鉄道、事故物件など)
②他者により多大な悪影響与える可能性
(経済面にも、さらには心理的にも)
③理想的な自殺をする際には、自殺したとしてもしなければ得られたであろう良きことが失われる事は無いことを合理的に判断する必要性
★われわれは、適当に意思決定する癖がある。
それが自殺と言う重大事でも。
自殺するときは、心理的視野狭窄の状態にあるため、苦痛を感じる意識を何らかの形で紛らわせることをしようとする。その究極的な形が苦痛を感じる意識を停止する選択、つまり自殺をするということ
第5章幸福で死にたくなりづらい世界の作り方
・費用対効果を測定するのが難しい