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「死にたい」と思ったことがある人は人口の2~3割だという。そして全死因のうち2パーセント弱を自殺が占めている。死にたくなったらどうするのか、自傷行為と自殺は違うのか、自殺予防の未来など、心理学の最新の知見をもとに考える。
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Posted by ブクログ
短時間で読めるのに決して内容は薄くなく、ちくまプリマー新書らしい良書です。 〇「死にたいという思いは短期的な問題解決をもたらすように見えるセイレーンの歌声」という表現が上手いなぁと思いました。 〇「国民は、生きることの包括的な支援としての自殺対策の重要性に関する理解と関心を深めるように務めるものとす...続きを読むる。」(自殺対策基本法第5条)…知らなかったです、この条文。 〇もし技術的に不老不死が誰にでも可能になったら、もしかしたら自殺は当たり前の選択肢(合理的)になるかもしれない…思考実験としてめちゃくちゃ面白い。 …他にも読みどころはたくさんあって、結論ありきの本ではないところが良かったです。 広い視点で「自殺」という現象について考えたい人にもオススメ。
【「何故死にたいと思ってしまうのだろう」と考えたことがある方へおすすめ】 表題のようにどうして死にたいと考えてしまうのか、自殺は本当に悪なのか、生物学的にはどのような側面があるのか、興味がある方には刺さると思います。 テーマが少し重いので気力に余裕がある時に読むのがおすすめです。(もちろん本文中...続きを読むにも何度か注意書きがされています) 著者は東大で自殺を専門に講義をされている方で、統計データなども元に「どのような条件があると自殺まで行動させるのか」「自殺は本当に悪なのか」を中学生にも分かるように紐解いています。 大前提自殺を勧める本でも、絶対に辞めろと説教する本でもありません。 しかし専門的に、学問の視点からみた自殺に関する話を読める本はなかなかないでしょう。 中高生むけに書かれているおかげもあり大変読みやすかったです。 またこの先生の別の本も読んでみたくなりました.
「自殺は悪いことなのか」という自らの疑問に回答が見つかるかも、と思い読みました。 結果、「自殺をした場合、社会的経済的損失が大きいこと」と「それ以降に得られたものについて損失が大きい」ことが問題の回答になりました。
自殺をなるべく科学的に論じることを試みる本。 なぜ人は死にたくなるのか、死にたいと言われたら、死にたいと思ったら、自殺は悪いことなのか、幸福で死にづらい世界の作り方の五章編成だが、それぞれ明晰な文で内容がスッと頭の中に入った。 特に人はなぜ死にたくなるのかについては、客観的に書かれており、かなり腑に...続きを読む落ちる内容だった。 ・自殺感の潜在能力(自殺企図、手段へのアクセス、不適切なメディア報道、自傷経験、アルコールの有害な使用、虐待) ・所属感の減弱(災害、戦争、孤立) ・負担感の知覚(スティグマ、失業・経済的損失) この三要素が重なったとき、人は自殺する可能性が高まる、というもの。
自殺リスクが高まる条件、いろいろな状況への対応方法の例示、自殺の現状と現在の取り組み、何が課題でどうしていくべきかなど、網羅的にわかりやすかった。
ちくまプリマー新書なので、10代向けに書かれているが、要点がよくまとまっていてわかりやすく読みやすい。 「はじめに」にも書いてあるが、本の題名を見て、「読むタイミングが今ではない」と思ったら無理して読むことはないと思う。 しかし、知識として勉強になることが多かった。 特に第4章は興味深く、死を...続きを読むいろいろな角度から検証して、というのが勉強になった。 第1章自殺はなぜ起こるのか ・自殺はわからないことも多い ・自殺の大人関係理論 自殺ほ危険性は 「自殺潜在能力」「所属間の減弱」「負担感の知覚」の3つの要因が合わさったときに最も高くなる 第2章「死にたい」と言われたら ・死にたい、自殺したいと言う人は、今すぐ自殺を試みて実際になくなる可能性は低いが、自殺の危険因子はかなり保有している。 ・死にたいと言う気持ちを打ち明けるのは、重大な秘密である証拠。その人だからこそ打ち明けたもので、特別なつながりを感じている可能性が高い。 ・自殺の対人関係理論の優先順位 ①自殺潜在能力への対応 自殺する手段を使えないようにする (首を吊るために用意した紐を預かるなど) 「死ぬための具体的な手段は考えているのか? それはどれくらいちゃんと用意しているのか?」 →聞いても大丈夫 「死にたい」という自己開示を重く受け止めてくれたからこそ出てくる質問 ②所属感の減弱への対応 関係性を密にする、孤独を癒す ×話題を逸らす 励ます、激励、助言 (がんばれと言われてもこれ以上頑張れない) ◯話をじっくり聞く 感情を理解する 理解したことを伝える(表情、トーン、相槌も◯) 「死にたい」には波がある ③負担感の知覚への介入 周囲の人の負担になっている、 役立たずだと自分で思う(自尊心が低くなっている) ◯感情的に納得できること その人が周囲の役に立つことをしたときに しっかり指摘し、感謝する ×論破 ・「死にたい」への対応は大変なので、 チームで対応したり対応する人も専門家に相談したりした方が◯ ・「死にたい」という衝動を乗り切るポイントは他者との関係性 第3章死にたいと思ったら ・相談する事は難しいことではない。 ・各種相談窓口はあるが、ミスマッチを避けるために誰が何をしてくれるのか可能性が高いか知っておく必要がある。 ・死にたい気持ちになってる時は、ただでさえ、心理的視野狭窄(心の視野が狭くなっている) 他の人から見れば、何らかの手段で解決から見えることも本人はそれが見えなくなってることが起きやすい。 だから、自分の気持ちが落ち込んだとき、何をすべきなのか、あらかじめ決めておき、可能であれば、その計画を信頼できる人と共有しておけばベスト ・死にたい気持ちに圧倒される時、最も重要なのは、誰かとつながり、自分1人しないこと。 ・ストレス対処方法をたくさん持とう ・薬物使用、自傷行為は、短期的に見ると、ストレスを軽減する方法ではあるものの、 長期的に見ると、自殺のリスクを増やす時限爆弾の側面を持っている ・幸せに生きる事は、自殺をしたくなることの裏返し 政情が不安定になり、経済的にやっていけなくなり、健康が害され、自分はお荷物で迷惑をかけるだけで役立たずと感じ、他者と切り離されて孤独に陥ると死にたくなる。 ・対人関係を充実させ、幸せになる簡単な習慣としては、他者に感謝し、その感謝を伝えること、親切にすること ・自分のことはわかっているようで、わかっていないことが多い。 だからいつどんな時に辛い気持ちになるのか、どんなふうに対処したら、記録として残して自分の行動パターンを見る。 ・ネガティブな感情にどんな意味はあるのか? 生きていく上に必要な感情 人生を豊かにするために役立つサインとなるかも。 ひとりで考え込むのではなく、 誰かと共有すること。 第4章自殺は悪いことか ・人は老いて死ぬからこそ美しいのかもしれない ・生物にとって死は進化の過程で獲得された多様性の確保と環境適応のための優れた手段でもある ★例えば何らかの理由で瀕死の重傷を負った人がいて、その時代の医療技術では、回復が見込めないにもかかわらず、 親族が自らの生存や繁殖の機会を犠牲にしてまで献身的な対応をすれば、それは一族の共有する遺伝子において自殺のような行動が適応的なものになったのだろう。 自殺のような行動を単なる異常や病気だと決めつけるのは、それはそれで生き物に広く備えているこうした傾向を無視した近視眼的な発想でもある。 ★死は良さと悪さを兼ね備えた両義的なもの。 死は退屈からの退出、対人関係の充実、人生の意味を創出と言ったよきものを生み出す可能性もある。 ★自殺以外の形で死ぬということは、外的な要因で、突如として死が訪れるのだから、自殺以外の死は死ななければ得られたであろう良きことを喪失せる可能性を常にはらんでいる ・予防すべきではない自殺をするためのハードル ①他者に迷惑をかける行為 (鉄道、事故物件など) ②他者により多大な悪影響与える可能性 (経済面にも、さらには心理的にも) ③理想的な自殺をする際には、自殺したとしてもしなければ得られたであろう良きことが失われる事は無いことを合理的に判断する必要性 ★われわれは、適当に意思決定する癖がある。 それが自殺と言う重大事でも。 自殺するときは、心理的視野狭窄の状態にあるため、苦痛を感じる意識を何らかの形で紛らわせることをしようとする。その究極的な形が苦痛を感じる意識を停止する選択、つまり自殺をするということ 第5章幸福で死にたくなりづらい世界の作り方 ・費用対効果を測定するのが難しい
自殺は「いけないこと」なのかと問いかけ、安楽死との関連づけて述べられていたことで、自殺のリスクをより理解することができた。実際に自殺を試みた人は、何か物凄い決意してやったのかと思えば、状況的に「やれたからやった」、亡くなった人は「成功してしまった」というのが納得した。「あの時、死なずによかった」と思...続きを読むえる時までやりすごす。シンプルにも、時間の経過が解決することがあると述べられていたことも印象的であった。
読みやすかったです。 はじめに で著者の優しさに触れ、ずっと避けてきた内容でしたが今読もうと思えました。とてもわかりやすく、入りにちょうど良かったです。
自殺は悪いことかという章で、生物の生存するための観点から読み解けたことは良かった。また他にも図で説明しているものもあり、自殺を少し距離を置いて冷静に知識として認識出来て良かった。
著者は祖父を自殺で亡くしたことから、自殺について深く考えるようになったのだとか。長年の研究で得た統計や肌感覚から、自殺に向き合う方法を丁寧に説いてくれます。アリストテレスの『ニコマコス倫理学』を読みたくなりました。→ 100分de名著を観よう。
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