上白石萌音のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読み始めようと手にして驚いた。
なんと凝った装丁を施した本なのだろう。普段、文庫本ばかり購入している僕には、とても興味深い“本”の造作。モノとしての本の魅力、物欲の対象としての本の、新たな魅力に目の覚める思いがした。
巻末にある“『いろいろ』ができるまで”の頁が興味深い。
筆者の、こだわりが詰まった本なんだな。
こだわりが詰まって収まりきらずに、迸る。
そりゃそうだ。
本を好きな人が“作った”本なのだから。
本好きな人に、こだわりがないなんて、きっとないから。
彼女が紡いだ文章は言うなれば、そう、たとえば昨日買ってきた米粉のように粒子が微細で、ぎっしりと充実した密度の高さと、その割に拍子抜け -
Posted by ブクログ
ネタバレ上白石萌音さんの初のエッセイ。
『脳味噌で生きてるんだなと思った。天に昇るもそこに落ちるのも、結局はこころがけ次第なのかもしれない。ちょっとしたことで、下向きの矢印は上を向く。その逆も然りなので要注意。自分の機嫌は自分でとって、上手いこと生きていかないと。』p31
『好きなことを好きというにはとても勇気が必要だった。(中略)なんだかとんでもなく苦しかったなあ。あの時の自分の背中をさすってあげたい。』p45
『一冊の本とは、人と時間の結晶なのだ。』
『書くことは、伝えるということは、見つめることからはじまるのだと思った。そして一人では何もできなくて、誰かの力を借りたら何でもできるのだと思っ -
Posted by ブクログ
上白石萌音さんが好きだ。正確に言うと上白石姉妹が好きだ。特に二人の奏でるハーモニーが。彼女達のハモリのCDが出たら真っ先に買いたい。
萌音さんは、「舞妓はレディ」から注目し、ラジオ番組もよく聴いた。
彼女はあまり色のない役者だ。真面目で透明で上品だけど。でも、このエッセイで謎が解けた。
彼女のエッセイに寄せてのこの言葉で。
「これまでの仕事の根底において大事にしてきたのは、自我を消して『求められる色に染まること』であった、と。そして、ありとあらゆる色と出逢う、貴重な経験をさせていただいてきたのだ、と。」
彼女が、私の大好きな作家原田マハさんを敬愛しているのも嬉しい。一緒に美術館で絵を鑑賞したと