ヒラリーマンテルのレビュー一覧

  • 鏡と光 下

    Posted by ブクログ

    端々に散りばめられた何気ない描写のひとつひとつがラストへの伏線だったり、史実として残っているエピソードに繋がるキーワードだったり…読めば読むほど、歴史を知れば知るほど面白さが増す作品だった。主人公のクロムウェルはもちろんのこと、彼を取り巻く様々なキャラクター、特にヘンリー8世の解像度が凄い。野望、喜び、葛藤と苦悩、慈悲、無慈悲…文書の中で彼らの生きる呼吸が聞こえるようだった。

    もっとマンテルの作品を読んでみたいが現在翻訳されているのはクロムウェルの三部作のみ。他作品の翻訳もぜひ刊行して欲しい。

    0
    2025年07月30日
  • 鏡と光 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    わーお。
    親の因果が子に報い…じゃないけど。
    賢明なるカトリック両王とは言ってもやっぱり人の親。良かれと思って…異国に嫁ぐ娘の幸先を案じただけだったのに。巡りめぐって結局は、娘を不幸に、孫娘を苦境に、そしてイングランドを混迷に…。一見やりたい放題なヘンリー8世だけど、所詮は歴史の歯車でしかなかったのね。
    これぞクロニクルの醍醐味…いやこのシリーズ、主人公はクロムウェルだから、ヘンリー8世の治世の全貌ですらないけどな。
    長い長い三部作、ここにたどり着くのか。
    歴史って、こんなにも懐深く豊かなものか。
    久々に鳥肌が立ったわ…ってとこから先が長かったですわ。

    0
    2021年11月01日