信吉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレお見事!
方丈記をして、”日本最古の災害文学”とした時点で、本書は手に取って読んで(見て)みる価値がある。
たぶん、ちゃんと(?)読んだのも中学生の国語の授業以来か。しかも、後段になればなるほど、覚えていない。
けれども、あれから40余年が経ち、著者の最晩年に近い年代になってくると、鴨長明の述懐がなんともジワジワと心に沁みてくる。作者の年齢に近くなってこそ、分かるものの道理というものは、ある。
福原遷都の頃を思い返し、こう記す著者;
「人の心みな改まりて、たゞ馬鞍をのみ重くす。牛車を用する人なし。」
上記は、これまで貴族の乗り物だった牛車ではなく、当時台頭しはじめていた武家が好んで乗る馬がもてはやされてきたことを嘆いている文章だ。
現代に目をやれば、やれIT革命だ、働き方改革だと、なにかと新しい価値観を追い求めがちだが、果たして、スピードと利便性重視ばかりで良いものか、と考え直さなければいかねいのかもしれない。
歴史は繰り返すと達観もできるが、少しでもより良い方向に動いていけば、ゆく河の流れに久しくとどまることのないうたかたの身であっても、よい人生だったと思えるにちがいない。