鈴木冬悠人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「恐ろしい未来が待っているとわかっていながら、現状に甘んじて特に何も変えようとしませんでした。長い期間を経て、その状況を徐々に受け入れていくというのは、何とも奇妙な感覚です。ですが、それは人間のほとんどの活動に共通して言えることなのではないでしょうか。」
原爆開発に関わったある科学者の証言より
この書籍では、原爆開発に関わった主要な科学者たちの証言を集めることで、科学者達がどういう思いで開発に携わり、原爆がこの世に生まれ、広島と長崎に投下されるに至ったかに迫っている。記録に残る証言を丁寧に読者に示すことを徹底し、著者の主観はあまり含まれていない。その構成がよかった。もちろん、これが全てではな -
Posted by ブクログ
太平洋戦争末期、敗色濃厚の日本に対し、アメリカは徹底した爆撃を行った。なぜか? 長年埋もれていた米軍の内部資料をもとに、無差別爆撃の背後にあった狙いを解き明かす書籍。
第2次世界大戦中、アメリカに“空軍”は存在せず、陸軍の下部組織に位置づけられ、“陸軍航空軍”と呼ばれていた。当時の航空軍総司令官、ヘンリー・アーノルド大将は、戦争の勝利以上に「空軍の独立」にこだわっていた。そして戦後、1947年、日本への空爆の成果を足がかりに独立を果たす。
戦時中の1944年、米軍では、陸軍と海軍が互いの威信をかけ、日本本土への上陸を競い合った。こうした中で航空軍が戦果を上げるには、日本本土への直接爆撃しか