あらすじ
第二次大戦末期、わずか一年足らずの空爆で約46万人もの命が奪われた。すでに敗色濃厚の日本に対して、なぜそれほど徹底的な爆撃がなされたのか。最大の理由は、空爆を実行したアメリカ航空軍の成り立ちにあった。当時、陸軍の下部組織という立場にあり、時に蔑まれてきた彼らが切望するものは何だったのか。半世紀ぶりに発掘された将校ら246人の肉声テープが浮き彫りにする「日本大空襲」の驚くべき真相とは。
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Posted by ブクログ
B29によル日本への無差別爆撃、戦略爆撃の思想と空軍創設への思い。戦争遂行と組織の力学を残された証言テープから解き明かす。
NHKの番組から生まれた一冊。飛行機の進化により国の中枢を攻撃すれば戦争が早期に集結するという思想。陸海軍から空軍の独立を達成しようとする部隊。しかし日本列島上空のジェット気流に阻まれ、焼夷弾による都市部への無差別爆撃に作戦を変更する。
組織の力学に突き動かされ多くの犠牲者の出た戦争。46万人の日本人が犠牲になったという空襲の舞台裏に迫った傑作でした。
Posted by ブクログ
第二次世界大戦末期、米軍による無差別爆撃で45万人もの人が殺されたが、アメリカで空軍の重要性を認めさせた軍人の行動を記した著者だ.B-29を得た米軍は日本に対して精密爆撃で工場などを破壊することを構想していたが、日本の気候などの影響で達成できず、焼夷弾による無差別爆撃に変化した経緯が語られている.アメリカに保存されていた資料を読み解いた著者の努力は素晴らしいと感じた.
Posted by ブクログ
興味深く読んだ。東京(日本)大空襲の裏で、米空軍独立のための成果として利用されていたことを初めて知った。
そのために、あれほどの攻撃を行った面もあるようだ。また、精密爆撃、焼夷弾による爆撃も開戦前から研究されていたことに驚いた。ただし、日本も被害一辺倒ではなく、先に重慶への無差別爆撃を行ったため、上記攻撃を許す口実となった面もあることも。
Posted by ブクログ
太平洋戦争末期、敗色濃厚の日本に対し、アメリカは徹底した爆撃を行った。なぜか? 長年埋もれていた米軍の内部資料をもとに、無差別爆撃の背後にあった狙いを解き明かす書籍。
第2次世界大戦中、アメリカに“空軍”は存在せず、陸軍の下部組織に位置づけられ、“陸軍航空軍”と呼ばれていた。当時の航空軍総司令官、ヘンリー・アーノルド大将は、戦争の勝利以上に「空軍の独立」にこだわっていた。そして戦後、1947年、日本への空爆の成果を足がかりに独立を果たす。
戦時中の1944年、米軍では、陸軍と海軍が互いの威信をかけ、日本本土への上陸を競い合った。こうした中で航空軍が戦果を上げるには、日本本土への直接爆撃しかなかった。
当初、日本本土への空爆は、「精密爆撃」(軍需産業など、主要な社会・経済的機能をピンポイントで爆撃し、戦争遂行能力を奪う作戦)を目指していた。だが、爆撃作戦は失敗が続き、アーノルドは軍内部で苦しい立場に追い込まれた。
追い詰められたアーノルドは、焼夷弾を大量にばらまく「地域爆撃」へと戦略を転換する。1945年3月の東京大空襲では、32万7000発の焼夷弾を投下、犠牲者は12万人とも言われる。
アーノルドは航空軍の力で戦争を終わらせるため、1945年6月以降は地方都市にまで空爆の対象を拡大する。その結果、終戦までに空爆は約2000回行われ、237カ所が爆撃された。犠牲者は、原爆による犠牲者を含めると約46万人にのぼる。
無差別爆撃戦略の原点は、航空軍の戦略の基礎を作ったウィリアム・ミッチェルにある。彼は1919年のレポートで、物資の生産を通じて国の産業や軍事力を支えている女性や子どもも含め、「全ての者は戦闘員とみなされるべきだ」と述べた。
Posted by ブクログ
B-29って、予算的には原爆上回るような超兵器だったんだ。
彼らの理屈は、作ったからには使え。使ったからには成果を出せだ。
国際法何もない。
有色人種のくせに、白人の権利を、堂々と足蹴にした日本など、人間の範疇に入らない。そこにあるのは戦果という数字だけだ。
読んでて空恐ろしくなる。子供の頃聞かされてた戦争がこれだから、戦争ってそういうもんだと思ってたが、違うんだよ。
誰一人、反省の言葉はなかった。
そういうことだ。
だが、米国が他の国と違うのは、どこかで反省が出来る国だってことだろう。
それを信じている。