佐藤岳詩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大人でも知らないような、倫理学の古典的なところから現代社会でよく話題にされる倫理学関連の話題まで幅広く抑えてあり非常に面白く読むことが出来た。特に現代社会でよく話題になる、環境倫理や職業倫理、機会平等と結果平等の話なんかは多方面から考えられるような作りになっていて良いと感じました。
一つ気になったのは「自分がされて嫌なことは人にしない様にしよう」というところですかね。子供向けを考えると仕方ないですが、他と粒度を合わせるのであれば、ここはもうちょっと深堀しても良かったような気がします。人はそれぞれなので自分がそうして欲しいと思っていることを他人も本当に望んでいるかはわからないですからね。 -
Posted by ブクログ
倫理の問題を扱っていたが、根本的には哲学的な話に通づるものなのかなと思った。
倫理学には倫理学の専門用語があり、その学問内での共通言語や認識があるけれど哲学者の考えも多数引用されており、リンクしていて、結局はどの学問も切り離すことは基本的にはできない。そう思うと、すべての学問に通づる哲学を学ぶことはとても重要なこと。
本書で出てきた内容で印象に残ったのが、倫理的な疑問に対して、識者同士の見解がぶつかり合っている原因に、相手の考えをはなから否定的に聞いてしまう態度を証言的不正義という言葉を用いて指摘されていた。
これは、私の日常の周りでも多いと感じており、実を言うと私自身もやってしまっているなと -
Posted by ブクログ
面白かった。
エンハンスメントという言葉(ジャンル)があるのも知らなかったし、各トピックにそれぞれ問いを立てて是非を検討していく作業は新鮮だった。
美容整形、ドーピング、遺伝子操作など、近未来・ディストピアフィクション作る上でも参考になりそうなテーマがずらり。
どのトピックにおいても私はそこまで深く考えたことがなく「やりたいならやれば」「禁止されてるんだからやめとけば」程度の思考しか持っていなかったけど、個々人の選択が周囲・社会にまで影響を及ぼしうるということまで考えが至らなかった(周り全員整形したら私もしなあかんのかな的強迫観念など)
性適合をめぐる社会のあり方についてはトランス女性への