エディ・ジェイクのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
壮絶な人生を読んだ後のこの文章は、尊敬という言葉では足りない。
自分の人生わ他人のせいにしてはいけない。自分の人生は楽だったと言った人は過去に一人もいないが、人生を愛せば少しは楽になる。人生を憎めば、生きていられなくなる。だから、わたしは優しくあろうと努力する。わたしは苦しい思いをしてきたが、ナチスに対し、おまえたちは間違っていたと証明したい。憎しみを抱えている人たちに、間違っていると伝えたいのだ。
だからわたしは誰も憎まない。ヒトラーさえ憎まない。だが、許してはいない。もし許せば、死んだ六百万人を裏切ることになる。
また、わたしは、彼らの人生を生きている。できる限り最高の人生を。
人生のも -
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Posted by ブクログ
ネタバレ3年前、アウシュビッツの地を踏んだあの時のことをありありと思い出した。壮絶な体験が書かれた一作であるのに、「幸せ」「美しい」という言葉が作品全体に散りばめられていて、エディさんの人柄が現れている。知性と人格、そして人脈がこの人を生かしたんだな。生かしたというか、それがあったから彼は生き延びた。生に貪欲であったことも大きい。人に恵まれ、人に恵み、優しい人柄が滲み出ていて、心が温まる作品だったと同時に、虐殺という歴史をいつまでも忘れず、後世に引き継いでいかなければという思いで溢れた。
p.30 わたしはこの数年間で得た知識全てを大切に思っている。ただ、家族から遠く離れて過ごした時間については一生 -
Posted by ブクログ
財産も、家族も、人としての生活も希望も全て奪われて、どうしてナチスへの憎しみを乗り越えられるのか。
あまりにもひどい経験を、重くなりすぎない筆致で一つ一つ重ねていく。一つ一つの経験を深掘りしたら、普通の生活をしている私たちは目を塞ぎ、本を閉じてしまうと思う。
自宅の郵便受けを見に行った親戚がゲシュタポに捕まり殺された話、まともな衣服もない中、同じベッドで寒さを凌いだ仲間が朝には凍死していた話、内緒で食料をくれたドイツ人もいたが、普通のパンやオートミールが食べられないくらい体が衰弱し、泣く泣くもらった食料を捨てる話、など胸がとてもざわつく。ただ、筆者のとんでもない前向きさにこちらが救われてしまう -
Posted by ブクログ
アウシュビッツの生存者の話を初めて読んだ。
何が起きたか知る必要があるとは思っていたが、あまりにも悲惨で目を覆いたくなる現実から目を背けていた。
けれど、この本のタイトルと表紙から明らかなポジティブなメッセージを見て、読んでみた。
読んでよかった。
人間はここまで残忍になれるのかと信じられない思いと、著者エディ・ジェイクが生き残ったのは奇跡である。いつ死んでもおかしくなかった。死なずに生き残ったのは、父が残してくれた「技術」と、「友情」と、絶望の中に与えらえた他人からの「小さな優しさ」であっただろう。
世界は知る必要がある、何が起こったのかを。
絶望を知る彼が教えてくれてることを受 -
Posted by ブクログ
今まで読んできた本の中でもっとも衝撃を受けました。アウシュビッツから生還した著者の語る言葉は、想像を絶する話ばかりで、胸に重く残るものを感じます。
私はどちらかというと、性善説を信じて生きてきた人間ですが、この本を読む限り、人間はとことんまで残酷にもなれるのだということがよくわかりました。
それでも著者は言います。「憎んではいけない」と。彼がナチスに対してやった復讐は、「自分が幸せになること」でした。
そのような心がけがあったからこそ、著者は壮絶な過去から立ち直れたのだと思います。
「生きていることが素晴らしい」、平和ボケしていると、つい、そんなことを忘れて、罰当たりな生き方をしてしまい -
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ネタバレ父はよく言っていた。「人生で大切なことが1つある。幸運は分け与えるもの。それだけだ」
統一ドイツ帝国初代宰相のオットー・フォン・ビスマルクはかつて世界に向けて「ドイツ人に気を付けろ」と警告した。良い指導者が率いれば、ドイツは地球上で最も偉大な国になるが、悪い指導者が率いれば、恐ろしい怪物になる
私を大事に思ってくれる誰か、私が大事に思っている誰かが、この世にいるとわかっているだけでよかった
人の営みの中で最も素晴らしいのは、愛されることだ
アウシュビッツには過去も未来もない。ただその日を生きるだけだ。生き地獄のようなような状況に適応できなければ、生き残れない
苦しんでいる人を助けるのは幸運な人 -
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Posted by ブクログ
タイトルや表紙の著者エディの笑顔からは想像できないようなユダヤ人迫害の体験談。
その理不尽や憎しみ、恐怖の実話の中に、エディは大切なものをいくつも語ってくれている。
友情、愛。モラル。
どんな状況の下でも、見失ってはいけない大切なもの。
語ることがずっと出来なかったエディが、亡くなる前に多くの人に伝えたこと。知らせた真実。
その理由は色々あるだろう。
だけど、読んだ人が、エディの話を聞いた人が、より良い人生になるために、そしてその人がまたそれを他の人に与えられるように。
世界に幸せを広められるように…。
そう思うと、とても大きな偉大なる1冊なのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
2021年7月に発刊された本書は、アウシュビッツを生き延びたエディ・ジェイクの体験記である。
2019年5月にTEDxで講演したことから有名になったそうだが、1920年生まれの著者は99歳で17分間の講演を行ったとのことである。
本書には、知恵と運で収容所を生き延びた体験と、戦後に心の傷を克服して立ち上がっていく様が書かれている。
600万人のユダヤ人を虐殺したナチスドイツ。ユダヤ人は人間とは見なされなかった。人間でないユダヤ人は家畜のように扱われ、働かされ、殺された。ドイツ人は思考が停止していたのか麻痺していたのか、自分の家族には愛を語りながらユダヤ人をガス室に送った。ユダヤ人を化学メーカー -
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Posted by ブクログ
アウシュビッツ強制収容所から、九死に一生を得て生還してきた人が、自分を「世界でいちばん幸せな男」だなんて。
ナチスによって迫害されてきたユダヤ人の話は本当にたくさん読んできた。
どんなに読んでも、その苦しみや悲惨な体験はその本人にしかわかりえないものだろうし、簡単に理解できる、とも言うべきではないと思う。
本著のエディも、その例にもれず数々の試練を潜り抜け生還した一人だ。
ただ彼が今まで読んだ体験者と違うところは、ただ運命に任せて偶然生還できたのではなく、父が苦心して入れてくれた機械技術の専門学校で身に付けた技術を生かしたり、少しでも苦痛を和らげる工夫を仲間と考えたり、ありとあらゆる努力で勝ち -
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Posted by ブクログ
おじいちゃんおばあちゃんは
物心ついた時には他界してたので
「じいちゃんばあちゃんから戦争の話聞いたことある?」
って親に尋ねたことがある
話したがらなかったよって言ってた
思い出したくなかったのかもねって
割りとそういう人が
戦後の日本には多かったのかもしれん
この作者も
一時期、何も騙らなかったけど
こうして本として出版してくれた
こういう本、あまり読まない
自分に
「人がどれどけ残酷なことするのか知りたい」
っていう野次馬根性があるのをわかってるから
忘れちゃいけない、伝えなきゃいけない
ってきれいな心根じゃないから
読みかた間違えないか?
ってちょっと心配になる
ちゃんと読めたか -
Posted by ブクログ
私のホロコーストの知識は、小学生のときに読んだ漫画のアンネ・フランクの人物伝から得たものしかなかったので、今回ユダヤ人が受けてきた壮絶な迫害を知りショックを受けた。と同時に、いまの自分の悩みなんてちっぽけなもので、むしろこんなことで悩める自分は幸せなんだ、とすら思えた。それほど著者の人生は壮絶なものだった。どんなに絶望的な状況でも、愛情、友情があれば生きていける‥‥ありきたりで使い古された薄っぺらい言葉に見えるけど、エディさんが言うとすごく説得力があり、重みがある。落ち込んだ時に読んで欲しいけど、けっこうしんどい描写もあるからさらに落ち込んでしまう可能性もあるかも。私は前向きな気持ちになれたの