矢島真理のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ今年1冊目のハヤカワ・ポケミス。2022年アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞受賞作という事で、否が応でも期待値が増します。どなたかも書評されていたように、ミステリー作品としての趣きは少なく、アメリカの田舎町を描いた優れた小説を読んだ印象です。ただ、アメリカ人は、こういう作品を好みそうなので、受賞も頷けるし、個人的にも嫌いでは有りませんでした。
舞台は、ネブラスカ州リンスラム。鹿狩りが、解禁となった週末に、16歳のペギーが姿を消してしまう。始めは、ただの家出と思われていたが、行方も摑めず、失踪する理由も無い。事故か、はたまた事件に巻き込まれてしまったのか?話は、ペギーの弟マイロの視点、事件への関与を疑われているハルの親代わりで有るアルマとクライルのコスタガン夫婦の視点から描かれている。
マイロのパートは、さながら映画「スタンド・バイ・ミー」のように、マイロの子供から少年への成長の物語とも見て取れます。マイロのパートは、とても素晴らしいです。そして、全てが明らかになり、これまでの人生の重しが取れたと思えるアルマとマイロとの最後の場面は、とても印象的で余韻の残るエンディングとなっています。☆4.6 -
Posted by ブクログ
ぼくら読者が生きている現実と遠く離れたところ。政府、公安、警察そして個人が絡み合いつつ、個の犯罪と国家的策謀が絡み合う中、それらの複雑な力学に巻き込まれる個人=ストックホルム警察のサム・ペリエルと公安警察の元潜入捜査官モリー・ブロームを主人公にした四部作の二作目である。
こう書いただけでだいぶややこしいイメージが沸こうかと思われる。しかしその通り、ややこしいなどというものではなく、我々一般人が見させられている現実というものの本質はどれだけの仕掛けに満ちたものであるのか? そういう世界構造の精緻すぎる複雑さ、もう少しわかりやすく言えば陰謀により秘匿されている真実の多さに呆れ返りたくなる世界像といったものが、このシリーズを取り巻く複雑な多重構造世界となっているのである。
単なるミステリーというより、国家間の地勢図を展開したような大きな構造に、個人が巻き込まれてゆくアクロバティックなストーリー展開が、本シリーズの第二作目で、ますます明らかになってきた。ベテラン作家アルネ・ダールによる新シリーズ第二作は、より深く黒い迷宮を我々の脳に示してくる。
スウェーデンのベテラン作家であるにも関わらず、日本での翻訳機会が不遇であったアルネ・ダールは、母国では既に名を成す大家であるそうである。
サム・べリエル&モリー・ブロームのシリーズは、第一作『時計仕掛けの歪んだ罠』が日本でも話題になったのをきっかけに、第二作からもまた受け入れられるようになると良いと思う。しかし前作からの続編となると、前作から改めて一気に読みなおさないとついてゆけないくらいと感じさせられ、残念であった。
複雑で多層構造な人物関係図などは、北欧ミステリを初めとした最近のミステリ・シリーズの流行なのかもしれない。何より、主人公二人の個性が光る。異なる組織に属する男女、そして二人とも、組織に帰れず、命の危機を背負いながら、真相に迫る能力を持ち合わせている。これに似た配置も最近多くの北欧作品でよく見る気がしている。
個人のサイコ系犯罪に、組織絡みの陰謀を絡み合わせた多面的な展開。その中で組織を追われ孤立してゆく主人公たちは、追われると同時に追う者である。どんな機械にも衛星にも追えない地球の影のようなポイントという設定も現代的で興味深かった。
ディテールと大筋とを両方楽しみながらの一気読み作品。惜しむらくは一気に四作を読めないことだ。全作揃ったところでまとめ読みしたいという気持ちは贅沢に過ぎるだろうか? -
Posted by ブクログ
1985年11月ネブラスカ州ガンスラム。鹿狩りの季節を迎えた田舎町で女子高生ペギーが失踪。ペギーに好意を抱いていた知的障害のある青年ハルは同じ頃鹿狩りの帰りに血がついたトラックに乗っていて……。→
ミステリ色は薄め。ペギーの弟マイロとハルの雇用主であり保護者代わりでもあるアルマとクライルのさん人の視点で描かれる物語。
マイロがいい子なんだよなぁ。終盤の母親とのやりとりとか、もう、ね。幸せになってほしい。→
アルマはなんというか、読んでいてしんどかった。シカゴから来た愛想のない妻。子供はいなくてコミュニティに馴染まない。ああツライ。
ハルへの対応やクライルとの関係も途中辛くて、マジ読めるのか私?となったけど、ラストは私的にはスッキリ。読後が爽やかなんで良かった……!