佐藤厚志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昭和って感じがするのは、子どもの遊び方だろうか…。
それとも団地の風景だろうか…。
小三の蓮は、小児喘息やアレルギーといった持病があり、二年生までは特別支援学級だった。
三年生から初めてのクラス替えで不安もあり、恐怖でもあったが、団地で初めて見る同じくらいの男子と自転車や鉄棒、砂場で競争となった。
彼はヤマモトシンイチだと言う。
そこから彼らの日常が始まる。
蓮と兄とその仲間たち、宿敵は管理人である。
怖いのは、黒いジャンパーの「庭師」たちでもある。
そして、1人になると現れる見えない魔人だったりする。
喘息持ちなのにみんなと同じように遊ぶ蓮の強気なところがいい。
父親に怒られ、兄には勝て -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語な感じではなくて、本屋で働く主人公(凛)の昔と現在の生活がつらつらと書かれている感じ。
凛の家族、教師が酷すぎる。凛のコンプレックスを家族が受け入れてあげれば、凛はこんなに卑屈な性格にはならなかっただろうな
家族と同じくらい最悪だったのが書店にくる客。作者の佐藤さんが書店で働いてるのもあって、客の描写がリアル。もしかして本物のモデル客がいるのか。震災前、後でもお構い無しに書店に来る客が自己中すぎて、自分の事しか考えられない人達が本当に哀れ。被害者になれば被害者の気持ちが分かる、はずなのに平気で加害者にもなる。結局人は自分が1番可愛いのか、同時に自分もそっち側の人間になってはいけないと考える -
Posted by ブクログ
アトピーの痒みに支配された女性書店員、五十嵐凛の生きづらい日常である。
本人にしかわからない痒みと日々たたかっているのがとてもわかる。
物心つく頃だろうか、兄も弟も丈夫で綺麗な皮膚なのに自分だけが…という思い。
小学校で「あいつはカビ」だと言われて級友や教員を避けて、教室の隅でじっとしていた我慢の6年。
中学で新たな級友の視線を感じ、「首黒いね」からカビという呼び名から象女になる。
家族でも兄からは露骨に汚いと言われる。
父は「おまえは気合いが足りない」と言う。
ひとり暮らしするようになり、たまに実家に帰れば母から「あんたに愚痴を言う資格はない」と…。
非正規で未婚だからか。
職場でもアト -
Posted by ブクログ
ネタバレ意図とせず一気読みしてしまった。タイトルから想像がつくようにアトピー持ちの主人公のお話だった。
私も昔から肌トラブルが多かったけど酷いアトピーは体験したことがなかったため痒くて眠れない話しやクラスメイトからの心無い言葉やモラハラ教師の話は読んでいて辛かった。
難病にかかりその治療の過程で肌が荒れて痒くて掻きむしって赤くなり黄色いネバネバした分泌液が出るくらい酷かった時期を思い出した。
痒さは我慢ができないし掻けば掻くほど悪化する。
分かる部分と想像を絶する部分が入り混じった。
主人公の身の回りがひどい人間ばかりなのが余計に辛い。肌のことだけでなく書店での犯罪者の対応も私までストレスを感じ -
Posted by ブクログ
重度のアトピーで学校ではいじめ、家では疎まれて生きてきた女性が女店員として仙台で生きる物語。
痒みに悩まされ夜も眠れなかったり、何の良い思い出もない学校生活を過ごしたりなど、壮絶な人生を歩みながらも何とか生きている精神力の強さに脱帽した。
しかし少し過去の話とはいえ、当たり前にいじめや教師の体罰が横行していたり、震災直後にもかかわらず書店に多種多様なクレーマーが押し寄せたりと、仙台の人々を露悪的に描きすぎな気はした。(書店員をしている作者の実体験が多少は入っているのかも?)
一応白銀というオタク仲間の同僚がいたのが救いだが、もう少しスッキリするエピソードがあっても良かったと思う。
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Posted by ブクログ
肌を見られたくない、でもこの苦しみを知って欲しい。五十嵐凜、非正規書店員6年目。アトピーの痒みにも変な客にも負けず、今日も私は心を自動販売機にして働く。そこに起こった東日本大震災。本を求める人々。彼女はそのとき、人間の本性を目撃する。現役書店員が描く、圧倒的リアリティ。
割と強めのアトピー持ちの五十嵐凛は、仙台の書店に勤める契約社員だ。出てくる客も握手会イベントにくる作家も同僚も家族も、出てくる奴らの大半が糞という設定。抑圧された人生を送ってきた凛が、真夜中の公園で自分を開放するシーンにはジンとくるものがあった。でもジーンズをコソコソと回収する姿を想像したときには笑えた。著者である佐藤厚志