佐藤厚志のレビュー一覧
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正しくないことが許せない、仕事に誇りを持っているホテルマン、大山茂(推定48歳)。従業員への、無自覚のパワハラ、セクハラ、客に対する毅然とし過ぎた対応。自己認識と、現実の乖離が、見ていてひやひやする。というか、完全にヤバい人。支配人には認められているようで、まったく認められておらず、妻はパチンコ狂いで、夫に対して口もきかなければ、何の反応も示さない。行きつけの書店でのカスハラ行為に、げんなりするものの、世間が自分を理解してくれていないと、完全に思い込んで、あくまで己の正義を肯定、貫き通そうとするこの男が、どんどん気の毒になる。そして自滅。
世間に眉を潜められ、疎まれても、こんな生き方をする人 -
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佐藤厚志、初読み。
『芥川賞』受賞作品。
40歳の植木職人・祐治。東日本大震災で仕事道具を失い、その2年後、妻・晴海を病気で亡くす。再婚し、妻・知加子との間に子どもを授かるも、生きて産まれてくることはなかった…そして、知加子は、祐治と啓太のもとを去る。
幼馴染・明夫は妻と娘を震災で亡くし、みずからはがんを患っていた…
元の生活に戻りたい…
が、戻れない…
その思いを打ち消すように、身を粉にして、働く祐治。
同じ時代なのに、なぜだか昭和三十年代のような感じを受ける。
白黒でしか言い表せないような、薄暗い世界が広がっている。
そんな中、息子・啓太のために懸命に働く祐治。思春期を迎えた啓太との関 -
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昭和って感じがするのは、子どもの遊び方だろうか…。
それとも団地の風景だろうか…。
小三の蓮は、小児喘息やアレルギーといった持病があり、二年生までは特別支援学級だった。
三年生から初めてのクラス替えで不安もあり、恐怖でもあったが、団地で初めて見る同じくらいの男子と自転車や鉄棒、砂場で競争となった。
彼はヤマモトシンイチだと言う。
そこから彼らの日常が始まる。
蓮と兄とその仲間たち、宿敵は管理人である。
怖いのは、黒いジャンパーの「庭師」たちでもある。
そして、1人になると現れる見えない魔人だったりする。
喘息持ちなのにみんなと同じように遊ぶ蓮の強気なところがいい。
父親に怒られ、兄には勝て -
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ネタバレ物語な感じではなくて、本屋で働く主人公(凛)の昔と現在の生活がつらつらと書かれている感じ。
凛の家族、教師が酷すぎる。凛のコンプレックスを家族が受け入れてあげれば、凛はこんなに卑屈な性格にはならなかっただろうな
家族と同じくらい最悪だったのが書店にくる客。作者の佐藤さんが書店で働いてるのもあって、客の描写がリアル。もしかして本物のモデル客がいるのか。震災前、後でもお構い無しに書店に来る客が自己中すぎて、自分の事しか考えられない人達が本当に哀れ。被害者になれば被害者の気持ちが分かる、はずなのに平気で加害者にもなる。結局人は自分が1番可愛いのか、同時に自分もそっち側の人間になってはいけないと考える -
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アトピーの痒みに支配された女性書店員、五十嵐凛の生きづらい日常である。
本人にしかわからない痒みと日々たたかっているのがとてもわかる。
物心つく頃だろうか、兄も弟も丈夫で綺麗な皮膚なのに自分だけが…という思い。
小学校で「あいつはカビ」だと言われて級友や教員を避けて、教室の隅でじっとしていた我慢の6年。
中学で新たな級友の視線を感じ、「首黒いね」からカビという呼び名から象女になる。
家族でも兄からは露骨に汚いと言われる。
父は「おまえは気合いが足りない」と言う。
ひとり暮らしするようになり、たまに実家に帰れば母から「あんたに愚痴を言う資格はない」と…。
非正規で未婚だからか。
職場でもアト -
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ネタバレ意図とせず一気読みしてしまった。タイトルから想像がつくようにアトピー持ちの主人公のお話だった。
私も昔から肌トラブルが多かったけど酷いアトピーは体験したことがなかったため痒くて眠れない話しやクラスメイトからの心無い言葉やモラハラ教師の話は読んでいて辛かった。
難病にかかりその治療の過程で肌が荒れて痒くて掻きむしって赤くなり黄色いネバネバした分泌液が出るくらい酷かった時期を思い出した。
痒さは我慢ができないし掻けば掻くほど悪化する。
分かる部分と想像を絶する部分が入り混じった。
主人公の身の回りがひどい人間ばかりなのが余計に辛い。肌のことだけでなく書店での犯罪者の対応も私までストレスを感じ