荒地の家族

荒地の家族

1,870円 (税込)

9pt

元の生活に戻りたいと人が言う時の「元」とはいつの時点か――。40歳の植木職人・坂井祐治は、あの災厄の二年後に妻を病気で喪い、仕事道具もさらわれ苦しい日々を過ごす。地元の友人も、くすぶった境遇には変わりない。誰もが何かを失い、元の生活には決して戻らない。仙台在住の書店員作家が描く、止むことのない渇きと痛み。

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荒地の家族 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2024年03月23日

    苦手な芥川賞だけれど、挫けずに読むことができた。
    全体を通して漂う、震災の重い空気。直向きに愚直に生きているのに、うまくいかない重さ。どんなに求めてもお互いを分かり合えず破綻してしまった夫婦の重さ。震災で家族を失って狂ってしまった人生の苦しみに堕ちた友。
    最後は、ほんの少しの光が…?

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    Posted by ブクログ 2024年01月14日

    純文学とはこう言う書き物なのかと読後に思わず唸ってしまう発見があった。難しい表現は一切ないが一文一文に力がこもっていると感じる。
    人の心や行動は説明ができないことが大半で動機づけや理由が常に背後にある訳ではないことや、災厄を通して、またそれを軽々しくではなく、人の生き方の難しさを丁寧に表現されている...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2024年03月19日

    大きな事件があったりする訳ではないけれど、災厄があっても生きている人は進んでいくしかないことを作者は伝えたいのだと思った。

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    Posted by ブクログ 2024年03月17日

    芥川賞らしい、感情の揺れ幅を丁寧に描いた作品。
    最初にパラパラとページをめくった時は割と余白も多く、また本自体も割と薄い方だったのであまり期待はしていなかったが(失礼すぎてすみません)、そんな私の軽率な予測とは裏腹に何とも奥深い作品だった。
    未曾有の震災で失ったものはあまりにも多く、それでも生きてい...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2024年01月28日

    仙台より南側、津波で大きな被害を被った地域を舞台に造園業を営む男を主人公として、死別した前妻、離婚調停中の妻、子供、母親、友人などとの震災後のどことなく不安定な精神、生活を描く。どこか上手く行かず、周囲に完全に溶け込むことはできず、不器用に生きるのだけれど、幼馴染の友人はもっと酷い人生を送っていて、...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年11月03日

    気持ちが明るくなるような本ではないからあまり好きではないけど、わかる。私もそんな感じだよ。
    表には出さなくても。説明しにくいけど、同じ感覚の人、結構いるんじゃないかな。

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    Posted by ブクログ 2023年10月12日

    震災を乗り越えて一人親方として造園に係わる仕事をしている坂井佑治の物語だが、何か灰色の空気が支配している感じがした.妻晴海と息子の啓太とのささやかな生活も晴海の急死で頓挫し、再婚した知加子も流産を契機に逃げ出す.母の和子に啓太の面倒を見てもらい、仕事を続ける佑治だが、東北の天候を象徴するような曇天の...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年09月04日

    改めて思う災厄のあとを。
    喪失感のなか、生活していかなければ…とわかっているのに思うようにはいかない。
    そのあとには妻を亡くし、がむしゃらに働いて忘れようとする辛いこと。
    だが、何年経っても何かに足を取られてしまうような、立ち止まらざるを得ないようなことがある。
    笑顔がない日常を見るのは切ない。

    ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年08月30日

    忘れもしない、東北の震災
    仕事を終えて帰宅したら、ニュースで目にした
    ひどい光景、思わず声をあげた
    その後の人々の生活と心というか、気持ちの変化を
    一人の中年男を通して、周囲の人々の生活の変化を
    描いている
    あんな状況の中で、何もかも失ったら
    命だけ助かったら、どうやっていくだろうか
    生きている感覚...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年10月27日

    『災厄』という表現が妙に最後まで気になり、あの震災は途轍もない数の人生を狂わせたのだと文章から強く荒々しく伝わりました。10年が過ぎ記憶が薄れて行く中、著者が書き記したかったものが地中に根を張るように重厚に表現されていて読み応えがありました。

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