ゼイディー・スミスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
帯で西加奈子さんとブレイディみかこさんが激賞していたので読んでみた。
宗教と世俗との折り合いや人種の違いといった本書のテーマとなる問題はなじみがないが、悩みの果てにトリッキーな行動を取り、自分を曲げないのでちっとも成長しない登場人物たちは、面倒ながらも愛せる。
歴史上は「馬鹿者」「臆病者」と思われているマンガル・パンデーをサマードはものすごく信じていて、一冊だけども彼を「独立への基盤」と記載した本もあることが、どんな人間でも誰かは受け入れてくれるということを象徴してるのかな?と思った。
「アーチー、アーチー、アーチー、アーチー」
「ミスター・ヒーロー」
「君はどうもわからん男だなあ、アーチー -
Posted by ブクログ
バングラデシュ系移民とロンドン下町育ちの2人のオッサンの数十年にわたる友情を軸に,それぞれの妻(ヒンズー系とジャマイカ系)と息子,娘たち,白人(ユダヤ系)とその家族,イスラム系過激派,過激動物愛護団体が絡み合い,最後に1992年の大晦日に臨界点に達する.
様々なルーツを持つ人達は決して理解し合っていないのだが,それでも友情が続いて,「わかり合わなくてもわかり合える」ということがテーマになっているように思う.
同じインド系でもバングラデシュ系(イスラム)とデリー生まれ(ヒンズー)は違っており,そのあたりの微妙なすれ違いも描かれているようなのだが,残念ながら自分はそれほど深く理解していないので,作 -
Posted by ブクログ
ここ数年読んだ本の中で、最も置いてけぼりを喰らってしまった作品となりました(苦笑)
様々な宗教や、科学主義、動物愛護主義などのイデオロギーが話の中に入りまじり、さらには登場人物たちの人種間の断絶、移民、移民2世の人々たちのアイデンティティの揺らぎや、寄る辺なさが登場人物の行動や思考に影響し、物語はさらに混沌とした中に突き進んでいきます。
いうなれば闇鍋に近い感覚。著者はものすごく頭がいいのか、上記したようなテーマが、物語や登場人物たちの思考や生き方にどんどんと注ぎ込まれていくので、鍋の色も味も混ざり合い、気が付けば理解しきれないものになってしまった、そんな気持ちです。
話としては文化や宗 -
Posted by ブクログ
なんというか……、とにかくカオスだなあ、という印象の強い上巻でした。宗教観や異文化が登場人物の背景にあるのですが、その背景ゆえの思考や行動がなかなかこちらの理解が及ばないというか、ぶっ飛んでいるというか……。
ただ、それゆえに物語の展開が予想できない上、登場人物の異様な行動にも一種のシュールさが生まれて、なんだか上手く説明できないけれど面白いし、何より日本の小説では味わえないような読み心地が味わえます。
特に面白かったのがバングラデシュ出身でムスリスのサマード。イギリスにやってきて家族を養いながらウエイターをする彼ですが、敬虔なムスリスゆえの気苦労が多く、特に女性関係で悩む姿はなんだか可笑