ゼイディー・スミスのレビュー一覧

  • ホワイト・ティース(上)

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    White Teeth
    Zadie Smith, 2000
    ホワイト・ティース

    当時の混沌としたロンドンがここにはある。まとめることも同化することも必要ない、そういう共同体での生活は確かに苦労をするんだけど、その苦労こそがコミュニティの意義であり強み。これこそが私も好きなロンドン。

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    www.akapannotes.com

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    2025年09月09日
  • ホワイト・ティース(上)

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    帯で西加奈子さんとブレイディみかこさんが激賞していたので読んでみた。
    宗教と世俗との折り合いや人種の違いといった本書のテーマとなる問題はなじみがないが、悩みの果てにトリッキーな行動を取り、自分を曲げないのでちっとも成長しない登場人物たちは、面倒ながらも愛せる。
    歴史上は「馬鹿者」「臆病者」と思われているマンガル・パンデーをサマードはものすごく信じていて、一冊だけども彼を「独立への基盤」と記載した本もあることが、どんな人間でも誰かは受け入れてくれるということを象徴してるのかな?と思った。

    「アーチー、アーチー、アーチー、アーチー」
    「ミスター・ヒーロー」
    「君はどうもわからん男だなあ、アーチー

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    2021年11月01日
  • ホワイト・ティース(上)

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    ネタバレ

    新聞の書評に載っていたので読んだ。
    イギリス人のアーチーとベンガル系のバングラデッシュの物語。
    二人は第二次大戦で従軍し友情を育む。
    そしてアーチーは若いジャマイカ出身の女性と再か婚し、二人の人生は続く。
    50代の男性の心理を20代の女性がかくも巧みに描いたことに驚いた。

    下巻にいくとさらに物語は暴走します。

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    2022年01月11日
  • ホワイト・ティース(下)

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    下巻になると上巻の二人の娘や息子が主人公になる。ジャマイカやベンガルの文化的背景だけでなくイギリスの文化の影響、青春の迷いや欲望、麻薬やアルコールなど様々な小道具で話が進む。何に向かって進むかというかより、どのように物事は展開するのかという微分に重きが置かれているように思えた。20代前半に色んな文化的背景を持つ様々な登場人物の心理をこれほどまでに巧みに描いた筆力に脱帽。

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    2022年01月11日
  • ホワイト・ティース(下)

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    下巻では、上巻で活躍したアーチー、サマードの子供たちが、誰一人親の望むようには成長せず、関係し合い、主張して、対立する。
    本書のキャストが全員そろってもつれこむラストまで、それぞれ全く歩み寄らない。全員とんでもなく生きづらそうではあるものの、人間臭さが魅力的で、多様性について考えさせられる。
    最終章のアーチーに、結局人を繋ぐのは、理屈を超えた本能的な、あるいは偶然の結果による、人を助ける行動なのかなあと思う。上巻の冒頭で命を救われたアーチーが、下巻の最後に人の命を救う展開が美しい。

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    2021年11月14日
  • ホワイト・ティース(下)

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    恐らく世界的な名作。現代をこれほどうまく捉えた小説は少ないだろう。話の内容は若干付いていけないほど混乱しているが、作者の主題がハッキリしているので読んでいて迷わない。読後の印象はサルマンラシュデイの真夜中の子供たちと、かなり似ている。それだけの傑作だと思う。

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    2021年08月21日
  • ホワイト・ティース(上)

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    恐らく世界的な名作。現代をこれほどうまく捉えた小説は少ないだろう。話の内容は若干付いていけないほど混乱しているが、作者の主題がハッキリしているので読んでいて迷わない。読後の印象はサルマンラシュデイの真夜中の子供たちと、かなり似ている。それだけの傑作だと思う。

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    2021年08月21日
  • ホワイト・ティース(下)

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    バングラデシュ系移民とロンドン下町育ちの2人のオッサンの数十年にわたる友情を軸に,それぞれの妻(ヒンズー系とジャマイカ系)と息子,娘たち,白人(ユダヤ系)とその家族,イスラム系過激派,過激動物愛護団体が絡み合い,最後に1992年の大晦日に臨界点に達する.
    様々なルーツを持つ人達は決して理解し合っていないのだが,それでも友情が続いて,「わかり合わなくてもわかり合える」ということがテーマになっているように思う.
    同じインド系でもバングラデシュ系(イスラム)とデリー生まれ(ヒンズー)は違っており,そのあたりの微妙なすれ違いも描かれているようなのだが,残念ながら自分はそれほど深く理解していないので,作

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    2021年11月20日
  • ホワイト・ティース(下)

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    ここ数年読んだ本の中で、最も置いてけぼりを喰らってしまった作品となりました(苦笑)

    様々な宗教や、科学主義、動物愛護主義などのイデオロギーが話の中に入りまじり、さらには登場人物たちの人種間の断絶、移民、移民2世の人々たちのアイデンティティの揺らぎや、寄る辺なさが登場人物の行動や思考に影響し、物語はさらに混沌とした中に突き進んでいきます。

    いうなれば闇鍋に近い感覚。著者はものすごく頭がいいのか、上記したようなテーマが、物語や登場人物たちの思考や生き方にどんどんと注ぎ込まれていくので、鍋の色も味も混ざり合い、気が付けば理解しきれないものになってしまった、そんな気持ちです。

    話としては文化や宗

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    2021年11月14日
  • ホワイト・ティース(上)

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    なんというか……、とにかくカオスだなあ、という印象の強い上巻でした。宗教観や異文化が登場人物の背景にあるのですが、その背景ゆえの思考や行動がなかなかこちらの理解が及ばないというか、ぶっ飛んでいるというか……。

    ただ、それゆえに物語の展開が予想できない上、登場人物の異様な行動にも一種のシュールさが生まれて、なんだか上手く説明できないけれど面白いし、何より日本の小説では味わえないような読み心地が味わえます。

    特に面白かったのがバングラデシュ出身でムスリスのサマード。イギリスにやってきて家族を養いながらウエイターをする彼ですが、敬虔なムスリスゆえの気苦労が多く、特に女性関係で悩む姿はなんだか可笑

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    2021年10月24日