清宮四郎のレビュー一覧

  • 憲法と国家の理論

    Posted by ブクログ

    清宮四郎と宮沢俊儀は戦後日本の憲法学のスタンダードを築いた両雄だが、二人は戦前の憲法学をリードした美濃部達吉の高弟であり、日本の公法理論に陰に陽に大きな影響を与えた純粋法学者ケルゼンからも多くを学んだ。清宮は美濃部、ケルゼン、宮沢を「憲法学の二師・一友」と呼んだが、本書は彼らの共通点より、むしろ微妙な、ある意味では決定的なズレを意識して読むことで愉しみが倍加する。宮沢はケルゼンから学んだイデオロギー批判の手法を用い、科学としての法律学(=純粋法学)の立場から師美濃部の学説を形而上学と断じ、その克服を企図した。清宮はケルゼンから法の究極にあるものとして「根本規範」を受け継ぎながら、それを換骨奪胎

    0
    2023年12月30日
  • 憲法と国家の理論

    Posted by ブクログ

     尾高朝雄の『国民主権と天皇制』が学術文庫入りしたときは驚いたものの、天皇制に関連する本だからなあとまだ納得感があったが、今回は何と清宮四郎の著作の文庫化、吃驚!

     法律系履修者以外の人にとっては、"誰、その人?"という感じだろうが、有斐閣法律学全集の「憲法I ー統治の機構ー」は、昭和50年代の憲法の基本書と言われていた。(もっとも学生にとっては、宮沢俊義の「憲法II ー基本的人権ーの方が興味があり、本書の記述をあまり面白いとは思わなかった人が多かったと思う。)

     そのような著者の論考を、東北大学で薫陶を受けた樋口陽一氏が編集した論集が、本書である。

     大きく二部構成

    0
    2021年09月21日