康永秀生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
臨床医から臨床疫学の研究医に転じ、長年にわたってEBM(根拠に基づいた医療)を研究してきた著者による一般向けの解説書。内容も分かりやすく、かつ、面白いが、何よりも、専門家としての知識・経験に裏付けられた確固たる物言いが小気味いい。実際の人となりは知らないが、自信に溢れているように感じる。もちろん、個々の医療については、著者が言うとおりに不確実であり、個別診断の場で自信満々に対応されるとは思えないが、様々なデータを用いて統計処理し、特定の疾病に対して特定の診療が効果が認められるか、認められるとしてどの程度のものか、といった医学的根拠を背景に、例えば代替医療やトクホなどにきっぱりと否定的意見を言え
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Posted by ブクログ
最新の科学的根拠を応用・実践して行われる医療のことを、科学的根拠に基づく医療(evidence based medicine)という。
「これさえ食べていれば」の罠
ベーコン二切れを我慢すべきか?
食事と健康の関係に意外性を求めるべきではない。「◯◯だけ食べて健康に」とか「△△というスーパーフード」といったお手軽な情報は、ほぼ無意味である。
かぜに抗菌薬はむしろ有害
抗菌薬は抗生物質ともいう。かぜはウィルス感染が主な原因である。抗菌薬は細菌には効果があるが、ウィルスには効果がない。つまり基本的にかぜには抗菌薬は無効である。
普通の人がビタミンCを常時摂取しても、かぜの予防には効果がないこ -
Posted by ブクログ
最近、がん患者とやらになった。
家族はもちろんそれを知っているし、職場にも伏せてはおけない。
だから、最近、こういう本を人前で読むのに、ちょっと気を遣う。
周囲の人に、私が不安になっていると思わせてしまうのではないか、と。
筆者は臨床疫学の専門家。
臨床医学とは、患者の臨床データを集め、統計処理を施し、より確実な医療を探索する学問。
そして、その立場から出された命題が、書名でもある「医療は不確実なものである」ということだったのだが。
センセーショナルに見えるこの命題も、現代の医学でさえほとんどの病気の原因が不明であり、医療の効果になぜ個人差があるのかを説明できないのが現実だというから、納得せ -
Posted by ブクログ
健康状態は個々人によって異なり、どんな病気、それに対する医療行為にも絶対は無い。例えばよく聞く「あなたの余命はあと何年です」というのは、あくまで中央値を示しており、自分自身にそれが当てはまるとは限らない。そんな医療の不確実性をロジカルに解説しているのが本作。エビデンスベースで認められた医療は厳格な科学的検証に支えられており、その為にプロフェッショナルたちは日々努力を積み重ねている。一方で、巷ではお手軽なエセ医療が広まり、無知な人々はそれに飛びついてしまう…。これからの時代、一人ひとりが自分たちの健康に責任ある行動を取るべきだが、その前提となるリテラシーをまず高める必要があるだろう。まえがき・あ