青少年に多い自律神経の病気「起立性調節障害(OD=Orthostatic Dysregulation)」が治るまでのステップを、神経内科医が易しく教えてくれる本。自分の周辺にも、「朝、体調が悪い」とのことで、お医者さんから「起立性調節障害」の診断を受けた中学生がちらほらおり、学校に来られなくなってしまった子もいるため、気になって読んだ。
まずはじめに、「起立性調節障害」について、どんな症状があり、どのように診断され、それらがどういったメカニズムで起こるのか、病気についての説明がされる。その後、治るために、どのようなことを家庭でしていけばよいのか、具体的な方法が紹介される。
端的にまとめてしまうと、「規則正しい生活」「筋トレ」「自律神経を正すための食事」というのが、メインの柱になっている。
そんなの、常識的な健康にいい生活だろ、という気もするが、朝起きれない場合は、寝たままでもいいから物理的に座った姿勢にするだけでいいとか、バランスよく食べられなくても好きな食べ物を少したくさん食べるよう心がけるだけでいいとか、それくらいの気持ちでいいんだ、と思えるアドバイスがたくさんある。「筋トレ」も、まずは、ベッドの上で伸びをするところから、みたいに、本当に初歩の初歩から、スモールステップで教えてくれる。
そもそも、それができないから困っている子たちに、それをできるようにすること、というのは、とても本人たちにとっては辛いことだ。そうした子たちに寄り添いつつも、時に厳しく接する。そのためのコツとステップが、よくまとまっている。
軽度も含めると、今や、世の中学生のおよそ10%が「起立性調節障害」だともいわれる。身近にそうした子のいる人には、彼らの苦しさを理解するとともに、少しでも手助けして上げられる人であるために読んでもらいたい本だった。