レッシングのレビュー一覧

  • 賢者ナータン

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    作者のこともこの著作のこともまったく知らなかったが、好きな『光文社古典新訳文庫』の新刊で、梗概が面白そうだったので読んでみた。

    一神教三兄弟のユダヤ教、キリスト教、イスラム教、のいがみ合いに対して、キリスト教徒である作者が、キリスト教に対してもっとも厳しい視点で、宥和を説く戯曲。
    デカメロン第一日第三話の『指輪の寓話』(巻末付録一)を素材に味付けが施された、第三幕第七場のメルヘンが最も有名らしいが、確かに、すごく良くできた寓話だった。自分でサマリーするまでもなく、以下Wikipedia より。

    ある商人の家では代々、家宝である魔法の指輪を最愛の息子が譲り受けていた。しかしある代の商人は3人

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    2021年08月08日
  • 賢者ナータン

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    ネタバレ

    内容は面白いのだけど、訳が残念。1人の女性口語の語尾が統一されてなくて人格が分からなくなるし不自然に感じる。舞台で観てみたい。

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    2025年04月29日
  • 賢者ナータン

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    ネタバレ

    ドイツでは上演機会が多い詩劇とのこと。寓話っぽい話で、ユダヤ、イスラム、キリストの3つの宗教の混在に、「多様性」と「相対性(わかったつもりにならないこと)」の大切さを説く、18世紀啓蒙主義を代表する作品。3つの宗教のうち、キリスト教だけ狭量に描いてるのは意図的だろうが、宗教戦争が絶えない一番傲慢な原因であることからまあわからないでもない。現在の複雑な多様性に通ずるテーマとして、決して押し付けない、説教的でないので、ややぼんやりとした印象も否めないが、すんなり読んですとんと気持ちが落ち着ける名作で、読むだけでなく芝居とみても十分楽しい。本文庫は現代劇に見立てた実際の芝居でもきっとわかりやすく、ま

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    2024年10月09日
  • 賢者ナータン

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    舞台はエルサレム。実は会社で暇な時にイスラム教の宗派学派などを調べている。同じ宗教のはずなのに、枝分かれしながら、対立しなければならないのか不思議で。なんか戦いたい。それの理由付けとして宗教を利用しているにしか私には思えなくて。本作。ナータンの養子の娘がスルタンの前にひれ伏して言う。「血のつながりがなんだというのですか。宗教などなんですか。なんとしても、私を父親の元から引き離すのをやめていただきたいのです」スカッとするわね。巡礼するとかしないとか、もー中学生の派閥みたいであの人らの考えは理解できないわ。

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    2021年11月16日
  • 賢者ナータン

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    18世紀のドイツの思想家レッシングの作品。
    第三回十字軍時のエルサレムを舞台に、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の相互理解を求めようとする登場人物たちが描かれる。日本人にとって宗教感覚はどうしても肌感覚で理解しきれないところがあるが、自分と異なる他者の中に共通性を見出そうとすることの重要さが語られていると思う。月並みではあるが、意見が先鋭化しやすい今こそこの考え方が必要であろう。

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    2021年01月12日
  • 賢者ナータン

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     十字軍時代のエルサレムを舞台に、ユダヤ人の賢者ナータンは、金の調達に困っているスルタンのサラディンから、ユダヤ教、イスラム教、そして十字軍戦士が信仰するキリスト教、この3つの宗教のうち、本物の宗教はどれか、という罠を仕掛けた問いを出される。果たしてナータンは如何に答えるのか。 
     宗教間の対立、相克に対する寛容の在り方という重い
    テーマを、ロマンスあり、親子愛あり、数々の誤解や行き違いありのストーリー展開を、戯曲の形をとって面白く描いている。 

     訳文は平易と言えば平易で分かりやすい会話体なのだが、時代背景や登場人物の地位などからすれば、もう少し荘重な文章が良かったように思う。

     

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    2020年12月03日