中野耕太郎のレビュー一覧

  • 20世紀アメリカの夢 世紀転換期から1970年代

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    歴史の中には今よりもはるかに多くの差別が埋まっていて、それらはいずれも既得権益を守ろうとする勢力の反発が根っこに潜んでいる。構造的なパワーバランスの偏りはあらゆる場面で生じうるが、そうした偏りの是正が求められたとて、たまたま強い側にいる面々が協力するはずがない。むしろ偏りの維持のために全力を尽くす。

    奴隷を使って農園を営んでいる白人男性。奴隷がいなくなると経営が成り立たない。膨大な既得権益を手にしている。たしかに奴隷は可哀想だが、自分は奴隷じゃない。奴隷を手放す理由となり得るのは、唯一道徳だけ。しかしそんなものはいくらでも捻じ曲げることができる、黒人は劣っている等々。

    マクロに歴史として見

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    2022年07月16日
  • 20世紀アメリカの夢 世紀転換期から1970年代

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    1901年から1973年までのアメリカの内情を描いた本だが、人種差別 特に黒人の問題がアメリカ社会を大きく左右していたことが分かる.「おわりに」のp237-238に的確なまとめがあるが、この差別問題は未だスッキリとなっていない.このような形で歴史をまとめてもらえると、自分の興味ある部分を絞って俯瞰できるので助かる.

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    2021年10月16日
  • 20世紀アメリカの夢 世紀転換期から1970年代

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     アメリカ合衆国通史シリーズの第3巻。対象時期は1901年から1973年まで。2度の世界大戦を経て「西半球の帝国」から「世界の超大国」へと急転回する期間であり、現在の一般的通念としての「アメリカ」像が形成された歴史的にも重要な時期である。問題意識は明確で、自由放任による貧困・差別を是正するための社会統合・国家統合の強化(「革新主義」「ニューディール」)がいかに展開・浸透し、どのような矛盾を抱えて挫折・分解したのか、今日の新自由主義を生み出す前提条件を明らかにしようとしている。ニューディールが内包する人種隔離主義、社会政策の「実験場」としての植民地の機能と本国への「逆輸入」といった視点は目新しい

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    2020年08月06日
  • 20世紀アメリカの夢 世紀転換期から1970年代

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    1901年から1973年までのアメリカを概括する。時系列の記述のおかげで分かりやすい。アメリカ社会から貧困と不平等を失くし、世界にも自由と豊かさを分け与えようとするのがアメリカの行動規範だったわけだけど、やはり難しい。現在の世界をみると理想とは相当に異なる様相になっているよね。何より自由と平等をうたいながら、人種問題をどうしても克服できない。差別と区別は対峙する人間の立場によって違ってきてしまう。これはアメリカのというより人間が持つ根源的な課題なんだろう。

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    2019年12月01日
  • 20世紀アメリカの夢 世紀転換期から1970年代

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    時代が現代に近づくにつれて、問題が複雑になって理解が及ばなくなってきた。今も貧困、差別、男女平等、国防、などなど様々な問題を抱えているが、それらの問題をどういう経緯で取り組んできたかを知ることができた。名前を知っている大統領が出てくるけども、どういう人かを知らずにいたので、それも知ることができて良かった。
    理想はそれぞれの立場で違う。
    どれが本当の理想か。そんなものは無いのか。
    凄く考えさせられる。
    自由と理想を求めてできた国であるけども
    結局力を使ったことが、理想から遠ざかって
    困難なことになっているのではと感じた。
    核にしても日本に投下して正当化していることが
    核を持つことでしか平和を維持

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    2023年05月25日
  • 20世紀アメリカの夢 世紀転換期から1970年代

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     本巻では、20世紀初頭から第一次世界大戦、ニューディール期から第二次世界大戦を経て、冷戦下アメリカが西側世界唯一の超大国となった時期を扱う。

     20世紀への転換期から第一次大戦に至る時期は、「革新主義の時代」と呼ばれ、急速な工業化がもたらした、資本の集中や都市環境の悪化、移民の流入、貧富の格差といった新たな問題に対し、社会改良を目指した時代だったが、一方で対外的には、米西戦争勝利後、帝国化が進むこととなった。
     そしてこれは、カリブ海、パナマ運河、ハワイを結ぶ防衛ライン内の帝国主義と、その外部に広がる世界とアメリカとの関係を規定する普遍主義の二重性という、矛盾の拡大を招くこととなった。

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    2020年12月29日