歴史の中には今よりもはるかに多くの差別が埋まっていて、それらはいずれも既得権益を守ろうとする勢力の反発が根っこに潜んでいる。構造的なパワーバランスの偏りはあらゆる場面で生じうるが、そうした偏りの是正が求められたとて、たまたま強い側にいる面々が協力するはずがない。むしろ偏りの維持のために全力を尽くす。
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奴隷を使って農園を営んでいる白人男性。奴隷がいなくなると経営が成り立たない。膨大な既得権益を手にしている。たしかに奴隷は可哀想だが、自分は奴隷じゃない。奴隷を手放す理由となり得るのは、唯一道徳だけ。しかしそんなものはいくらでも捻じ曲げることができる、黒人は劣っている等々。
マクロに歴史として見ると、南北戦争が勃発し、廃止に向けて歩み始めた訳だけど、ミクロに一農園の奴隷の視点から見た時の絶望感が半端じゃない。領主への暴力ただ一つを残してあらゆる道が断たれている。
この例を抽象化して転がして見ると、色々と当てはまるものが出てくる。一番恐ろしい地獄になり得るのが家庭環境。農園の例で言う暴力も圧倒的な体格差・経済力差で数年間は行使できない。
弱きが虐げられるは自然の摂理でもある。
全てを尊重し合って生きるなんてことが、ほんとうにできるのだろうか。
人間は、生き物は、どこに向かえばいいんだろうか。