デイヴィッド・マークソンのレビュー一覧
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『考えていないという対象のことを考えずに、何かについて考えていないという文章をタイプすることは絶対にできない。このことに気付いたのは今回が初めてだと思う。あるいは、これによく似たことに気付いたのは。この話はこれくらいにしておいた方がいいかもしれない』
これは「ヴィトゲンシュタインの愛人」という題名から連想するようなヴィトゲンシュタイン個人にまつわる物語ではない。しかもこの哲学者の思考への直接的な言及すらないのだけれど、読み進める内にヴィトゲンシュタインの哲学的思考が主人公である語り手を捉えて離さないのだということがじわじわと伝わってくる。主人公は、語る言葉の一つひとつの意味(シニフィエ)を再 -
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海辺の家で家具を焼き、暖をとりながらタイプライターを打つ女。ニーチェやハイデッガー、ブラームスやピカソにまつわる取り留めのない思考の断片から、かつて存在した彼女の世界が少しずつ形を現してゆく。世界でたった一人になったら、人はどこに向かって何を書くのか。1988年に書かれたSpeculative Fiction=思弁小説。
一人の女がひたすらタイプライターにモノローグを打ち込んでいく。行と行の間に何時間、何十日、何年空白があろうと、読者にそれを知るすべはない。タイプライターと文体の相互関係はビートニクを思わせるが、本書の場合、開始時点で語り手の旅は既に終わっている。世界が完全に終わってしまっ -
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ネタバレ私には難解過ぎた。ギリシャ神話、美術史や画家、世界史の知識があれば、分かったのかもしれない。世界中に、残された生物は自分一人だけ。そんな状況で、章が分けられることもなく、くり返しになることも多く、記述が変わっておかしくなっちゃったのかと心配させられたり、ギリギリのところでタイプを打っているのか、もしくはギリギリをもう超えたところにいるのか。ひょっとして~かもしれない、が多かった。そうやって自分の存在や記憶を確認しているのかもしれない。この本は多分新聞広告で称賛されているのを少し前に見て、興味を持って手に取った本だけれど、私には難しすぎて、自分の知識や教養のなさ、感受性の鈍さを思い知ることになっ