汪楠のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ面白くて一気に読んでしまった。
怒羅権という不良集団のリーダーとなった汪さん。
意外にも裕福なエリート一家に生まれ、父は医者という恵まれた環境だった。
そこからの経緯はネタバレになるので触れないが、バタフライナイフは柄がないから自分の手が切れて使いにくいとか、鍵屋を呼んで拉致して技術を教えてもらうとか、こんな事書いていいの?と思うような生々しい話が盛り沢山に出てくる。
(実刑を受けて刑期を終えて組からも抜けたので書ける)
当時の在日中国人の少年たちは貧しくて常に空腹で、喧嘩を売られても手に持ってるパンの耳を食べる方が大事だったという話や空腹で闘えないからナイフに頼ってたら、それを恐れら -
Posted by ブクログ
ユン・チアンの『ワイルドスワン』とか、村上龍の『コインロッカーベイビーズ』を彷彿させる半生、中国での文革から語られる様は、読み物としての引力が高くリアルなのだろうが私小説の趣き。『中国残留孤児70年の孤独』を思い出しながら読んだ。
著者自身は日本人ではない。従い残留孤児ではないが、継母が残留邦人であり、日本に連れて来られている。そこから日本社会に馴染めぬ日々が始まる。異物を排除しようとする日本人の空気感、虐めがあるというのは分かる。これは日本特有でもないが、しかし、いずれにせよ、著者は体験した。
非行はスリリングでドーパミンを出す。人よりも過激に振る舞う事で、自己防衛と自己陶酔、ステータス -
Posted by ブクログ
ちょっとタバコ買いに行くくらいのノリで
「さらう」とか「刺す」というワードが使われてて、ファッション不良しかみたいことがない自分としてはカルチャーショック。
これだけリアルな世界があるのかと驚愕。
しかも近所。
ただ、アングラの世界の事象が知れるだけでなく、
なぜそういう環境になったのか、
根本的な理由は何かの整理、言語化が素晴らしくうまい。
非常に頭が良い人だなと思う。
特に、日本の同調圧力に端を発するいじめに苦しんだ経歴があり、なぜいじめが発生するのか、の原因特定、構造化などが整理できていて、いじめに悩んでいる子育て世代の親にとっては、相当気づきがあるはず。
-
Posted by ブクログ
THEノンフィクションでお馴染みの汪楠さん。
結局、この本を出版した後に再逮捕されてしまっていて、この本の説得力はさっぱり無くなってしまった。
(その他、怒羅権初代の佐々木氏から色々とYoutubeで虚偽の内容が多いなどと言われてたり)
ただ、自信の生い立ちや犯罪歴なんからはきっと真実なんだろうと思う。
再逮捕前、どこまで本心だったかはわからないが、いじめ問題についての考えは確信を付いていたと感じた。やはり、どの世界でもいじめはあるし、何も生まない。
また、本人が更正しても過去に被害にあったという人の傷は癒えるものではないというのも自覚しているようだ(最後に、かつて怒羅権のメンバーにレイプされ -
Posted by ブクログ
「おわりに」の女性からのメッセージがなかったら、『ザ・ノンフィクション』で観たのと同じ印象だった
もうあんな過去には戻りたくないとか、別人として
生きるとか語るところだろうけど
“過去の罪は消えない”
汪さんは怒羅権を過去の罪として蓋をするわけでは
なく、罪と向き合いながら繰り返させないために
現在活動をしている
中国残留邦人、残留2世、日本への恨み、更生施設ではない刑務所、父親から見放された過去…怒りの拠り所はどこにでもあり、怒りを発散させてきた
たぶん、いまだに差別は消えていない
ツラいこともたくさんあるだろうけど、汪 さんは
正しく生きる決断をし、まわりにもその輪を広げて
いる