エリザベス・アセヴェドのレビュー一覧

  • 詩人になりたいわたしX

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    4時間ひたすらページをめくった。詩を綴ることで、自分を保ち、解き放ち、戦い、守ろうとするシオマラの言葉が纏っている力に圧倒され続けた。厳格で信心深いクリスチャンの母は、もはや恐怖をおぼえるモンスターのような存在だったが、シオマラは最後まで屈せずに自分を捨てなかった。

    大人たちに抑圧され、誰にも言えない悩みを抱えながら、人知れず必死に生きている中高生にずどんと力強く響くような作品なんじゃないかな。言葉にするのは憚られる本音も、大人が語ろうとしないことも、シオマラはときにストレートに、ときに婉曲にこの本に綴る。だから心がえぐられる感覚にもなるし、心の奥底にゆっくりと降りていっているような感覚にもなる。その感覚に圧倒され続け、最後には感動で胸が熱くなり本を閉じた。

    言葉の力ってすごい! って感じた。シオマラに詩を書き、詩のパフォーマンスの大会に出場するよう励まし続けた先生は、言葉がシオマラを支えることをよく理解していたんだろうな。

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    2026年02月09日
  • 詩人になりたいわたしX

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    ネタバレ

    二次性徴を迎えたシオノラにかけられる言葉やプレッシャー、清くありなさいなんて枠にはまらない。
    体の中でグラグラ感情が煮立っていく。
    その熱を苛立ちを悲しみを怒りを詩が形にしていく。
    表現するということがシオノラを救う。
    ノートを燃やされた時は読んでいて絶望しそうになったけど、母親に精一杯詩をぶつけるシオノラは悲しくて強かった。
    「私の中にある」
    私だったらマミを許せそうになかっただろう。
    いや、シオノラは許してないかもしれない。
    それでも絡み合ったネックレスを解くように家族と向き合った。
    これは怒りと悲しみについて書かれた本かもしれない。
    でも希望でもある。
    是非中高生に読んでもらいたい。

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    2023年07月28日
  • 詩人になりたいわたしX

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    全編主人公シオマラの詩<言葉>で描かれた物語。
    信仰心熱く厳格な母、宗教、学校、心を許す親友やツイン、好意を寄せる異性、それぞれへの想い。言葉にすることで解放されるシオマラの心。
    言葉の持つ力に打ちのめされます。

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    2021年08月18日
  • 詩人になりたいわたしX

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    すごく短い期間で、大人になりかけの少女が大きく成長する話。色んなことに違和感が出てきて、溢れて、周りの助けを借りながら、乗り越えていく。今まであまり「詩」というものに馴染みがなかったけど、本作を読んで何か他の詩も読んでみたいと思った。

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    2021年04月15日
  • 詩人になりたいわたしX

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    これはガツンとくる。

    マミがあまりにも強権的で、信仰っていったいなんなのと思うけど、「宗教」をたとえば「受験」とか「就職」に変えたら、同じようにそれが「あなたのため」と信じこんで子どもを抑圧する親はたくさんいそうだ。

    シオマラはそれでもぐれたりせず、戸惑いや自信喪失、反抗心などをすべて詩の形でノートに書きつけることによって、かろうじて自分を保っている。それだけに終盤のマミとの対決は、まさに燃えあがる激しさ。よくぞ戦った!と感動する。

    詩のスラム(競技会)。ラップバトルとも似ているところがありそう。語りの文化が若い人たちにもこれだけ浸透してるってすごいな。読み途中の『オンザカムアップ』(こっちはラップ)とも似ているところがあって、ときどき頭のなかで話が混じってた。

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    2021年03月15日
  • 詩人になりたいわたしX

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    「ポエトリースラム」という単語を初めて知る。

    言葉...ポエム...詩

    大人になってから思春期だった頃の自分を窓際の光にかざして透かしてみてるような...
    そんな気持ちにさせてくれる。

    日々の日記をこんな風に詩的な文章でまとめたら、良いことはもちろん少し悲しいことも素敵な思い出になるような気がした。

    ここでも..
    やっぱり「言葉」には力があると思ってしまったのだ。

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    2022年02月26日
  • 詩人になりたいわたしX

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    ニューヨークのハーレムにドミニカから移住した両親と双子の兄ツイン(本名はエグゼイヴア)と暮らす高校2年生の少女シオマラ。
    家では、厳格なキリスト教徒の母が、女の子の自分だけに厳しいこと、信仰を共用することに不満を持っていたが、強い母には逆らえなかった。
    外に出れば、豊満な体つきからからかわれたり、言い寄られたり、悪く言われたり、触られたりと傷つくことも多かった。異性に関心もあったが、ツインからも、親友のカリダーからも共感は得られなかった。
    高校は、ツインの通う天才学校と違い、底辺校。
    だがそこで、シオマラは生物の実験パートナーとなったアマーンと、英語の教師ガリアーノ先生と出会う。
    アマーンはシオマラの詩と音楽の世界を共有し、異性への関心を掻き立てたので、シオマラは母からきつく禁じられている男の子との交際を始めてしまう。
    ガリアーノ先生は、シオマラの書く文章が詩的なことに気づき、始めたばかりの「スポークンワードポエトリー部」に勧誘する。シオマラは、彼女に見せられた詩のパフォーマンスビデオに心を奪われ興味を持ったが、その活動日は、母に強要されている教会の堅信クラスのある日だった。

    厳格な母への怖れと反抗心を持つ少女が、傷つきながらも自身の関心を追求し、自分の心に気付き、周りを動かしていく過程を、シオマラの散文日記形式で描いた物語。




    ******* ここからはネタバレ *******

    修道女になりたかったのに、ドミニカからアメリカ在住権を得るためにパピ(シオマラの父親)と結婚したという母は、自分の叶えられなかった夢のために、娘に厳格なキリスト教徒であることを強要します。そしてそれは、勉強と聖書が大好きな双子の兄ツインには自ずと優しいものになるのです。
    母が欲しかったのは、ツインのような、おとなしくて神様が大好きな女の子だったから。グラマラスで、外に出れば男の人から色目で見られたりからかわれたりする少女、こぶしを使って戦う少女ではなかったのです。
    そんなマミも、ドミニカでは、こぶしに消えない傷あとをつけられて「信仰心」を教わったのです。

    兄のツインは天才少年で、飛び級をしているのでシオマラは小さいころから同じ学年になったことがない。双子なのにあまりに違いすぎるので、痛みの共有ができないし、天才にありがちな過集中のために、同じ空間にいてもシオマラは疎外感を持つことがあるのです。
    それでもシオマラはツインが大好きなのでした。
    そして、シオマラは、ツインには白人のボーイフレンドがいることを知ります。シオマラは、マミ(母親)自慢の息子のツインが、罪の子になってしまった、でも、マミから守ることは不可能と悩みます。そんなときは、アマーンからのメッセージを見ても気が晴れなかったのです。シオマラの心に占めるツインの大きさがわかるエピソードですね。
    でも、アメリカのキリスト教も、ゲイは禁止なんですか?

    アマーンは、トリニダードトバゴ出身の男の子。学校で絡まれているシオマラを守ってあげなかったエピソードは、状況がよくわからなかったのだけど、シオマラをがっかりさせたことは間違いないのでしょう。傷ついていたシオマラはアマーンさえも排除してしまいました。
    でも、家出したときに連絡をとったのもアマーンで、シオマラが2ヶ月も無視していたのにちゃんと会いに来てくれたんですね。それに、彼女が行為を途中でやめようとしたときにも、思いやりのある行動をとっています。
    高校生の男の子としては、考えられないぐらい紳士ですよね。いやぉ、女の子読者の皆さま、現実はこんなことばっかりじゃないことをお知りおきくださいね。

    アマーンと別れたあと、詩のクラブに入って、自分の言葉に耳を傾けてもらったシオマラは、もうアマーンは必要ないと思いますが、それだけ自分の気持ちに耳を傾けてもらいたいと思っていたということですよね。母親は、問い詰めはしても、その答えを聞いてはくれていなかったから。

    ガリアーノ先生が大きな救いです。シオマラの詩の才能に気付いて伸ばそうとしてるし、彼女の状態が悪そうだと感じると手を差し伸べています。そして、母親との諍いから家出したことを知ると、「でも、必ずお母さんとは話さないとね。ちゃんと話すの。それから、どうにかして見つけなさい。お母さんの生き方とうまく手を結ぶ方法をね。」

    教会のショーン神父が謎の人です。けっこう物分り良さそうに見えるのですが、シオマラが天地創造についてした質問には答えていない。でも最後には、おかあさんとの仲立ちになってくれるんですよね。きっともっと早くシオマラ親子の問題に気づいていたのでしょうから、母親に、厳格すぎる子育てについて話してくれたら良かったのに、とも思ってしまいます。だって、母親が耳を傾ける唯一の存在だったでしょうから。

    教会に疑問を持つシオマラの言葉に共感します。
    「神に対して負い目を感じていなければ、私はもっと楽に生きられるのに」

    宗教は、きっとよりよく生きるために生まれたものだと思うのですが、いつの間にか人を縛る道具にとして利用されるようになってしまったように思います。

    母親もきっと昔は信仰を強制されていて、それを受け入れたので(受け入れた自分を否定したくないので)、シオマラたち子どもにもそれを受け継がせようとしたのでしょう。
    信仰が次代に受け継がれる「負」の負債になってしまっていいのか?と思いますが、きっと世界的に見るとこういう考え方は少数派なのでしょう。

    シオマラが宿題の下書きにした詩が、彼女をとっても表していると感じました。
    「そう、これがシオマラ。
    むきだしのこぶしをにぎりしめ、
    自分の名前を正しく読まれるように、
    聖人になることを期待されないように、
    大人の女性として(いいことなさそうだけど)尊重されるように、
    世間と戦う。」


    物語全体の重さ、大きさに比べて、ラストの収まり具合が軽すぎてアンバランスな感じを受けました。ここまで重厚な作品だったのでさっさと全てがうまく行き過ぎたことに違和感を感じます。
    これなら、オープンエンディングでも良かったのではないでしょうか?

    でも、この残念なラストがあっても、心理描写が深くて読み応えも十分。読後感の良い作品でした。

    ただ、娘を持つ母としては赤裸々な性的関心や描写が気にかかります。
    共感を持つにはいいと思うのですが、引くときにちゃんと引いてくれるアマーンのような男の子ばかりではありません。
    どんなに読解力があっても、小学生には薦められません。やっぱり”しっかりした”高校生以上、むしろ思春期を理解したい、思い出したいオトナのためののための作品だと思います。

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    2022年02月07日
  • 詩人になりたいわたしX

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    宗教上の理由から異性交遊を母親から制限されている主人公が、自分の心を詩としてノートに書きためている。やがてクラスメイトに恋した主人公は……思春期ならではの悩みが書かれており、日本の青少年にも共感できるところは大いにあるのではないかな。

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    2021年09月22日
  • 詩人になりたいわたしX

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    ニューヨーク、ハーレムのハイスクールに通う女の子シオラマ。あるいはX。
    それが重要なことかは分からないけれど、ドミニカからの移民二世。
    彼女の書き綴ったものが、ポエット、詩になって花開いていくところを、彼女の全てとともに見守った感じ。

    熱心なキリスト教徒の母親のしばりのせいで、信仰や教会に疑問を持ち始めてしまったシオラマ。
    双子の兄、友人、恋?
    シオラマを理解しようとしてくれる英語の教師、神父様。
    そして、ポエトリー部の存在!
    彼女の物語の全てが詩のカタチで書かれている。

    自分の15歳を思い出して、Xと一緒になってマミ(母親)に対して熱くなってしまった。

    ダメ、ダメと言われ続けてきたXに、英語教師のガリシア先生が言ってくれたひと言が、本当に素敵で、Xもマミも教会も、全てを救ってくれた感じがした。

    幼い頃は自然に受け入れていたはずの信仰心との葛藤は、日本人でもわかるようにかかれているんじゃないかな、恋する想いと共に。

    マイノリティ、信仰心、恋、母親との葛藤、詩の競技会(スラム)へ向かって着地していく所が、とってもかっこよかった。

    泣きそう!

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    2021年03月17日
  • 詩人になりたいわたしX

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    シオマラは、他の女の子より発育がいいことで、そのことをからかわれたり、信仰心の篤い母親に必要以上に厳しくされることに悩んでいた。彼女の心のよりどころは、詩を書くことと双子の兄ツイン、そして親友のカリダー。詩のサークル「ポエトリー部」に入ったことでシオマラの世界は広がり始めるが、それによって母親との確執は深まり…。
    等身大の女の子の成長の物語。

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    2021年03月13日
  • 詩人になりたいわたしX

    Posted by ブクログ

    全編が詩で構成されていることは、ほとんど気にならず、寧ろ、詩の多様な自由さを実感できたし、主人公「シオマラ」の今の心境をダイレクト、かつ、繊細に表現してくれるものに感じられました。

    シオマラにとって、言葉とは

    「ありのままの自分を解き放つもの」

    であることを実感させられ、女性であることの固定観念や、神への疑問も思ったままに綴ることで、少しずつ自分の世界が変わっていく様には、読んでる私も思わず嬉しくなったし、それに周りの人たちの存在も関わっていることが、また重要だと思いました。

    また、乱暴者に思われているシオマラだが、どんなことでも常に言葉にしていることが、時に、シオマラ自身の心に待ったをかけられる理性ある行動を取ることができたり(私だったら怒りが強すぎて無理かも)、両親や兄のことも本当は愛していることが垣間見えたりと、実は繊細でやさしい女の子であることがまた、人間の複雑で素晴らしいところを示していて、内面をこれだけ細やかに綴る物語(詩)には、きっと様々な共感を得るのではと思います。

    児童書も、こういった自由な作品が出され、数々の賞を得るのですから、良い時代になったと思うのと共に、心の内ではそれだけ求めていた人も多かったのだろうなと思うと、また嬉しいですね。

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    2021年10月10日