小倉美惠子のレビュー一覧

  • 諏訪式。

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    著者の諏訪推しが強すぎてちょっと偏った印象を受けるけれども、自分が長野にもルーツの一部を持っているからなのか、共感できるいいこといっぱい書いてある。背負って運べる軽くて小さなモノづくり、なるほど。

    また、しばしば著者の生まれ育った宮前区土橋との比較が取り上げられるのだが、著者と世代が近く同様に多摩丘陵が切り拓かれた住宅地で育った自分には著者が見た風景や感じることがすごくよくわかる。
    丘の斜面には地方から出てきた教育熱心なサラリーマン家庭の住宅が行儀よく並んでいたが、まだむき出しの造成地もあって、低地には沼がありかやぶき屋根の農家もいくつか残っていた。新住民の子は夏休みはみんな「田舎」に行き、

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    2022年07月20日
  • 諏訪式。

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    新作映画のロケで諏訪を訪れた著者が、諏訪に何か恩返しをしたいという思いでまとめたのが本書である。著者を魅了する諏訪とはどのような土地なのか、何がそこまで著者を惹きつけるのか。諏訪の企業や人、風土について諏訪への愛情あふれる筆致で描き出している。

    「土地にしっかりと根をはり、自らのバックボーンを力として生きている人びと」を著者は「軸足のある人」と呼ぶ。諏訪人は著者のいう「軸足のある人」なのである。軸足のある人によるものづくりは風土に馴染む。「諏訪にあるもの」を主軸に据えているので、諏訪の企業や産業には「ものづくりのDNA」が受け継がれている。その一方で気候環境の厳しい諏訪では、人びとが「自分で

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    2021年04月28日
  • 諏訪式。

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    著者が9年かけて書き上げた諏訪の記録。著者自身「とりまとめたに過ぎない」と述べているが、膨大な資料や取材の記録をここまでコンパクトかつ魅力的にまとめてくれたことに感謝。諏訪に端を発する著名な企業、輩出された魅力的な人々、諏訪大社、御柱祭、御神渡りなどの文化、ミシャグジ神に関する信仰、など諏訪の歴史と魅力が紹介されている。
    その魅力の元は軸足を失わない人と風土の関わり方にあるのだろう。諏訪には自ら考え、動き、挑戦できる人が生まれ、集まるようだ。本書を読んだ新たな視点で諏訪を再訪してみよう。

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    2021年02月08日
  • 諏訪式。

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    諏訪湖を中心に八ヶ岳や霧ヶ峰を含む広大な地域は縄文時代から多くの人の交流があり、現在も独自の産業、多くの偉人を輩出している。そんな諏訪の魅力を語る作品。

    新田次郎は知っていたが岩波書店の創設者岩波茂雄も諏訪出身。諏訪信仰から生糸生産、精密機器制作。諏訪の歴史を十二分に紹介した歴史ノンフィクション。

    筆者は作家で映画プロデューサー。諏訪を舞台にしたドキュメンタリー映画を制作している。諏訪出身でないのに諏訪の魅力に取り憑かれるところが面白い。

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    2021年02月01日
  • 諏訪式。

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    <目次>
    第1章  シルクエンペラーと東洋のスイス~近代ものづくり編
    第2章  ゴタたちが編んだ出版ネットワーク~近代人づくり編
    第3章  ”空”なる諏訪湖の求心力~土地となりわい編
    第4章  人と風土が織りなす地平~科学と風土編

    <内容>>
    確かに三協精機もセイコーエプソンも諏訪湖周辺にある。岩波文庫のルーツも筑摩書房(これは名前が入っている)も信濃にルーツだ。その原因とかを人とかのネットワークや地質、地政学的に位置づけで確認していく。こうした本は面白いんだよね。そしてそこに行きたくなる。

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    2022年07月08日
  • 諏訪式。

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    ●→引用

    ●山田正彦は1914(大正3)年に生まれ、蚕糸学校を出て北澤工業(後の東洋バルブ)に務めた。当時、諏訪に疎開していた諏訪精工舎から北澤工業に出向していた優秀な技術者である小川憲二郎を誘い、弟の六一とともに三協精機興したという。(略)山田が蚕糸学校や北澤工業で培った基礎と、外来の優秀な技術者との「合わせ技」が、功を奏したといえるのだろう。「諏訪にあるもの」と「諏訪にないもの」の融合。この時、「諏訪にあるもの」の側に重心を置くことで「主体性」が保たれた。私はそこに諏訪のDNAを感じるのだ。
    ●当然ながら、天然自然の産物である蚕は、その種(卵)や産地、気候条件などによって繭の大きさ、色、

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    2021年02月07日
  • 諏訪式。

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    2020/11/28ジュンク堂
    ●長野県諏訪地方の経済史。
    ・多くの経営者を排出している地方として注目されている。
    ・今で言うところの、ITベンチャー社長を排出する福井みたいなものか。
    ・日本各地、こういう地方がまだ沢山あるのだろうな。

    セイコーエプソンが諏訪に誘致されたのは、関東大震災がきっかけらしい。

    関東大震災や第二次世界大戦時に、疎開で移転した企業が地元に根付くパタンは、過去にも多い。

    今回のコロナ禍の場合、拠点の移転でなく、在宅勤務という拠点の分散化。
    その影響は、どのようになるのか?

    在宅勤務、リモートワークで地方に回帰みたいな、期待論がある中、移転しても東京近郊で、必要な

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    2020年11月29日