小倉美惠子のレビュー一覧
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ネタバレ著者の諏訪推しが強すぎてちょっと偏った印象を受けるけれども、自分が長野にもルーツの一部を持っているからなのか、共感できるいいこといっぱい書いてある。背負って運べる軽くて小さなモノづくり、なるほど。
また、しばしば著者の生まれ育った宮前区土橋との比較が取り上げられるのだが、著者と世代が近く同様に多摩丘陵が切り拓かれた住宅地で育った自分には著者が見た風景や感じることがすごくよくわかる。
丘の斜面には地方から出てきた教育熱心なサラリーマン家庭の住宅が行儀よく並んでいたが、まだむき出しの造成地もあって、低地には沼がありかやぶき屋根の農家もいくつか残っていた。新住民の子は夏休みはみんな「田舎」に行き、 -
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ネタバレ新作映画のロケで諏訪を訪れた著者が、諏訪に何か恩返しをしたいという思いでまとめたのが本書である。著者を魅了する諏訪とはどのような土地なのか、何がそこまで著者を惹きつけるのか。諏訪の企業や人、風土について諏訪への愛情あふれる筆致で描き出している。
「土地にしっかりと根をはり、自らのバックボーンを力として生きている人びと」を著者は「軸足のある人」と呼ぶ。諏訪人は著者のいう「軸足のある人」なのである。軸足のある人によるものづくりは風土に馴染む。「諏訪にあるもの」を主軸に据えているので、諏訪の企業や産業には「ものづくりのDNA」が受け継がれている。その一方で気候環境の厳しい諏訪では、人びとが「自分で -
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ネタバレ●→引用
●山田正彦は1914(大正3)年に生まれ、蚕糸学校を出て北澤工業(後の東洋バルブ)に務めた。当時、諏訪に疎開していた諏訪精工舎から北澤工業に出向していた優秀な技術者である小川憲二郎を誘い、弟の六一とともに三協精機興したという。(略)山田が蚕糸学校や北澤工業で培った基礎と、外来の優秀な技術者との「合わせ技」が、功を奏したといえるのだろう。「諏訪にあるもの」と「諏訪にないもの」の融合。この時、「諏訪にあるもの」の側に重心を置くことで「主体性」が保たれた。私はそこに諏訪のDNAを感じるのだ。
●当然ながら、天然自然の産物である蚕は、その種(卵)や産地、気候条件などによって繭の大きさ、色、 -
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2020/11/28ジュンク堂
●長野県諏訪地方の経済史。
・多くの経営者を排出している地方として注目されている。
・今で言うところの、ITベンチャー社長を排出する福井みたいなものか。
・日本各地、こういう地方がまだ沢山あるのだろうな。
セイコーエプソンが諏訪に誘致されたのは、関東大震災がきっかけらしい。
関東大震災や第二次世界大戦時に、疎開で移転した企業が地元に根付くパタンは、過去にも多い。
今回のコロナ禍の場合、拠点の移転でなく、在宅勤務という拠点の分散化。
その影響は、どのようになるのか?
在宅勤務、リモートワークで地方に回帰みたいな、期待論がある中、移転しても東京近郊で、必要な