樹原アンミツのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
2025/05/06
長らく積読に置いてしまっていたことを本当に後悔しました。
東京藝術大学の文化財保護に関する学科(この学科は実在する)で仏像の修復師を目指す藝大生の人たちに焦点を当てた話。
これを読むと仏像のことには必然的に詳しくなれるし、仏像の修復や仏像の修復師を目指す過程でどんなことがスキルとして求められるのか、それを学生が身につけるためにどんなプロセスで学んでいくのか、どんな課題があるのかと言ったことがストーリー仕立てでとてもわかりやすく読めます。
仏教のこと、仏像の予備知識などがわからなくてもとてもわかりやすいないようになっているし、それでいてお堅い感じもなく、何かに一生懸命に頑張 -
Posted by ブクログ
これは読んでよかった一冊。
われわれ一般人には、東京藝大自体謎の組織なのだが…
その中でも超ニッチな、仏像修復を専門とする研究室のお話。
正式名を、東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻修復彫刻研究室という。
その研究室の修士二年の四人の若者の一年が物語となる。
四人の若者がそれぞれに自分の進む道を見つけようともがくすがたも清々しい。
彼らを時に厳しく、時に温かく見守るスタッフと教授陣。
こういう人間ドラマも、読みごたえがあるが。
でもやはり、修復について、仏像についての話が掘り下げられているところがやはり堪えられない。
定朝から慶派への仏師たちのことも、しっかりインプットできる。
-
Posted by ブクログ
東京藝大大学院の文化財保存修復彫刻研究室を舞台にした連作短編群像劇。
プロローグとエピローグを別にして4章からなる。
* * * * *
プロローグからしておもしろい。
文化財保存修復彫刻研究室という舞台を「仏さま研究室」と呼称するだけでいかめしさが消え親しみやすくなります。
構成もいい。
プロローグから第1章までは親しみやすいまひるが主人公 。以降の主人公を見ると、シゲ 、あいり 、ソウスケ と、性格の屈折度合いが増していき、ハラハラ具合も強くなります。
第4章に至っては大波乱でした。上手い並びだと思います。
また、各章を彩るイベントもいい。まひるとシゲの