あらすじ
2浪、3浪は当たり前、時には10浪以上の学生も……。パンダと桜で賑わう上野公園に隣接する東京藝術大学。通っている学生も教授も少し変わった人ばかり。そんな東京藝大で、仏像の保存について研究する通称「仏さま研究室」の修了課題は、なかなか過酷で学生泣かせだ。様々な思いを抱え、真心を込めながらも、「模刻」に悪戦苦闘する学生たちを描く、クスっと笑えてグっとくる青春ストーリー。
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Posted by ブクログ
2025/05/06
長らく積読に置いてしまっていたことを本当に後悔しました。
東京藝術大学の文化財保護に関する学科(この学科は実在する)で仏像の修復師を目指す藝大生の人たちに焦点を当てた話。
これを読むと仏像のことには必然的に詳しくなれるし、仏像の修復や仏像の修復師を目指す過程でどんなことがスキルとして求められるのか、それを学生が身につけるためにどんなプロセスで学んでいくのか、どんな課題があるのかと言ったことがストーリー仕立てでとてもわかりやすく読めます。
仏教のこと、仏像の予備知識などがわからなくてもとてもわかりやすいないようになっているし、それでいてお堅い感じもなく、何かに一生懸命に頑張る学生の青春という側面も併せ持っていてこの学科だからこその苦悩や葛藤などといった登場人物たちの動向を読むことができます。
Posted by ブクログ
藝大なのでもっと突き抜けた人が出るかと思ったけど、美大あるあるが少しあるくらいで主人公たちは普通の子。逆に普通だから良かったのかもしれない。
藝大に仏像修復の研究室があって、実際にそこの卒業生が修復の会社を立ち上げたりしているということはテレビで見た事があるので、それを思い出しながら読んだ。
各章に仏様のイラストがあるのだが、その絵が可愛い。
出てくる仏様が気になってググった人は多いと思う。調べながら読むのも楽しい。
テンポが良いからサクサク読めた。
ドラマにしても良さそうに思う。
Posted by ブクログ
もともと仏像好きなので、とても興味深かった。
研究室の存在は初めて知ったが、今もこういった研究がなされ、それに携わる進路を決めた若者たちがいること、またその葛藤に感動した。
出来れば卒業した4人と、珍念のその後も読んでみたいな。
学生っていいな。青春だな。
Posted by ブクログ
仏像が好きな人も興味のない人もみんな読んで欲しい。
青春群像劇でもあり、一つの仏像がどのような過程でできていくのか、日本にどうやって伝わり、その後どんな発展を遂げたのか。
特に,1400年もの間途切れず,人々を救い続けた存在としての仏像のあり方が胸を打ちました。
それ以上に主役の四人がみんな素敵。
仲間に入りたかったなぁ(笑)
Posted by ブクログ
4年ほど前に書店で見かけて気になっていたがそれ以来出会えていなかった本。仏像に携わる東京藝大生の物語を読んで、親近感を持て、仏像修復について知識を得られた。
Posted by ブクログ
藝大 × 仏像
なかなか面白い小説だった。かなりのリサーチをした上で書かれているのでリアリティがある。
この流れで運慶についていろいろと調べたくなっている。笑
Posted by ブクログ
仏様鑑賞が趣味なので興味を持ち購入しました。
青春ストーリーの中に、日本の人たちの仏像に対する想いがあって、温かい気持ちで読みました。また仏像巡りに行きたくなる一冊でした。
Posted by ブクログ
青春群像劇なのだが、読んでいると仏像の知識、歴史、模刻の難しさ、現代における仏像の役割などが分かるようになっている。
仏像の解説というと仏様の紹介から入ることが多いので、こういう小説形式で別の角度から仏像を知られたのがとてもよかった。
文章も読みやすく、すっと読めた。現代の名著。
Posted by ブクログ
「何年かに一人、天才が出ればいい。あとの者はその天才の礎」という言葉が印象的でした
藝大の「芸は刈る」「藝は植える、増やす」などの部分も言葉を大切に書かれていて面白かったです
Posted by ブクログ
芸術部門の最高峰、天才達の巣窟であり仏像修理が学べる国内唯一の大学で繰り広げられる物語。
少数精鋭部隊「東京藝大 仏様研究室」。
仏像模刻に苦悩する素敵な4人の学生とそれを支える魅力たっぷりの教授達。
凄く読み応えがあり、面白かった。
出てくるキャラみんな素敵なんですが個人的には
不動明王の模刻に四苦八苦していた「アイリ」が格好良かったなぁー!
お笑い担当の「珍念」も最高でした。
是非、続編が出ることに期待したい。
Posted by ブクログ
フィクションと思わせないほどのストーリーのリアルさ、それは他ならぬ東京藝術大学の保存修復彫刻研究室への理解の深さから来ているものだが、それをフィクションといい具合で織りまぜるのがとても上手く、素晴らしい発想だと感じた。
元々、東京藝術大学という、「日本らしさ」を受け継いでいく大学を興味深いものと思っていたが、さらに興味を増したきっかけとなる本だった。
Posted by ブクログ
ひとりひとりのエピソードに感動しつつも、一番かっこいいのは一条教授!
教授ってすごい。偉大だ。私が学生の頃も、先生はちゃんと向き合ってくれてたなぁ。今更ながら、ありがとうございますという気持ちです。
文化的知識も登場人物のバックグラウンドもしっかり伝わって、この薄い一冊できれいに終わっていることにも感動。
作者さんが亡くなられているのが、とても残念です。
Posted by ブクログ
思わず好みの本に出会いました。仏像そのもの、歴史、作成日技術、そして藝大にこんな研究室があるのか、という驚き、そして学生たちの青春と悩み。盛りだくさんだけど、面白く、後味爽快な一冊でした。
Posted by ブクログ
これは読んでよかった一冊。
われわれ一般人には、東京藝大自体謎の組織なのだが…
その中でも超ニッチな、仏像修復を専門とする研究室のお話。
正式名を、東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻修復彫刻研究室という。
その研究室の修士二年の四人の若者の一年が物語となる。
四人の若者がそれぞれに自分の進む道を見つけようともがくすがたも清々しい。
彼らを時に厳しく、時に温かく見守るスタッフと教授陣。
こういう人間ドラマも、読みごたえがあるが。
でもやはり、修復について、仏像についての話が掘り下げられているところがやはり堪えられない。
定朝から慶派への仏師たちのことも、しっかりインプットできる。
そういう話が、無理なくストーリーに織り込まれている。
それから、中国での修復ブームのことも興味深い。
「我在故宮修文物」というドキュメンタリー、見てみたい。
美術品でもあり、信仰の対象でもある仏像は、人々の暮らしの中にあって意味がある。
長い年月、災害からも戦乱からもそれを守ろうとしてきた人たちがいる。
そうやって残ってきたんだということを改めて思うと、自分の仏像への態度も改まりそうだ。
Posted by ブクログ
知らなかった 藝大の天才たちがこんなに悩みながら作品を作っているとは!
(作品でわなく仏さまで作っているのでわなく 模刻させていただいている)
ウンチクも面白かったです
仏さまのお姿をスマホで探しながら読みました。
Posted by ブクログ
東京藝大大学院の文化財保存修復彫刻研究室を舞台にした連作短編群像劇。
プロローグとエピローグを別にして4章からなる。
* * * * *
プロローグからしておもしろい。
文化財保存修復彫刻研究室という舞台を「仏さま研究室」と呼称するだけでいかめしさが消え親しみやすくなります。
構成もいい。
プロローグから第1章までは親しみやすいまひるが主人公 。以降の主人公を見ると、シゲ 、あいり 、ソウスケ と、性格の屈折度合いが増していき、ハラハラ具合も強くなります。
第4章に至っては大波乱でした。上手い並びだと思います。
また、各章を彩るイベントもいい。まひるとシゲの章のツンデレラブ、あいりの章の歴史ファンタジー、ソウスケの章の自然災害復旧ボランティア。
さらに脇役陣が魅力的です。例えばヤマ場で登場する一条教授の含蓄に富んだセリフにグッときます。その他、講師や助手の面々もいい味を出していました。
人物だけでなく、仏像の修復や彫刻をこれほど興味深く楽しげに描けるということに驚きました。映画監督と編集者の合作とは言え、その力量には、まったく感服するばかりでした。
Posted by ブクログ
大学生が仏像に向き合う青春、美大生の生活、恋愛、仏像についての歴史、などなど沢山詰め込まれていた。信仰、仏との向き合い方は人それぞれで良いのだと感じた。私もこれから寺院や神社でお参りする時は感じ方が変わるように思った。
Posted by ブクログ
仕事で疲れた日に、ふと家族が積読してたのが目に入り、SNSやYouTube・テレビを見てストレス解消するのもなんだか疲れるし、久々に本でも読んじゃおっかな〜と勝手に拝借して読みました。
今の仕事を続けてもいいのか、続けられるのかと悩む毎日ですが、登場人物のそれぞれの葛藤や悩みに、この気持ちわかるなー、こんな乗り越え方があるのかー!と思いながら読めて、読んでよかったなと思いました。
癒されるなーって思えるお話でした!
Posted by ブクログ
良い感じだった。仏教好き、仏像好きということもあるけど、興味深い話。学ぶっていいな。それぞれの主人公のその後もクローズアップしてもっと読みたい。教授の若い時の話とかも。楽しく読めました。
Posted by ブクログ
信仰心あるなしにかかわらず、やはり仏像は向き合う者のココロをうつすもんやなあ、と。/若者でありそれぞれの理由で仏像に惹かれた者でもある四人を描く。あと、まったく知らない世界に触れられる愉しさ。まひるの仏さま。シゲとカヤノと親たち。運慶の不動明王に対するアイリの苦悩。決められないソウスケの葛藤。2024年1月14日
Posted by ブクログ
学園の秘境「東京芸大」を舞台に「仏さま研究室」の学生たちの生活を描く、仏像を作ってしまう技術はさすがに素人離れしているものの、社会との交流は人間味があって微笑ましい。
Posted by ブクログ
東京藝大で彫刻を通して仏像と関わりを持つ学生が主役の本作品。
それぞれの学生にそれぞれのエピソードがあり面白い。その中で最も印象的なテーマとして「仏様に導かれる」と言うこと。
自分自身が仏像好きの私はまた違った視点で大好きな仏様に会いに行きたいと思える作品だった。
Posted by ブクログ
芸術の世界は非常に奥深く、私の知らないことばかりで興味深い。だけどその世界に生きる人々は、私たちと同じ、心の中に悩みや葛藤を抱える人間だ。この作品はその2点が融合しているところに魅力が詰まっているのだと思う。
「間違うのも、答えを先延ばしにするのもしゃあない。せやけど、目の前の対象にはあくまで誠実でないといかん。逃げたら、自分からも逃げることになるんや。それこそ行き先がなくなる。」
言葉が刺さった。いくらでも悩んでいいし、考え抜いてもいい。だけど、逃げちゃダメだ。私もこれからの人生、この言葉を胸に刻んで生きていきたい。
Posted by ブクログ
好きなセリフ
「決められんでもいい。間違うのも答えを先延ばしにするのもしゃあない。せやけど、目の前の対象にはあくまで誠実でないといかん、いったん始めたことからグズグズ逃げたらーー自分からも逃げることになるんや。それこそ行き先がなくなる」by一条教授
Posted by ブクログ
仏像や仏教、社寺の知識など細かい説明があるので、素人でも読める。ストーリー的にはおもしろかったが、専門用語の説明にどうしても興味を持てず、少し読むのに時間がかかってしまった。あっさり読む、というよりかはじっくり読みたい人向け。
Posted by ブクログ
東京藝術大学にあるという仏像を修復する大学院を舞台に、修士学生たちの青春物語というところ。仏像を模刻するとかで、仏像系の色んな話が出てくるのは面白かったが、青春物語的なところが今一つだったなあ。
Posted by ブクログ
東京藝術大学大学院美術研究科
文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室のお話。
仏像の保存について研究し、課題は仏像の模刻。
仏教や仏像について学べ、仏像がどのような過程を経て作られているのかもわかる。課題と向き合い、自分の将来と向き合う姿は青春だなぁと思う。
普通の学校と違い、芸術分野で生計を立てるのは難しい。では何のためにこの道を選んだのか?自分にとっての仏像とは?芸術とは?
「決められなくてもいい。間違うのも、答えを先延ばしにするのも仕方ない。けれど、目の前の対象にはあくまで誠実でないといけない。いったん始めたことからグズグズと逃げたら、自分からも逃げることになる。それこそ行き先がなくなる」という先生の言葉が残った。