宇野和美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とにかく文章から押し寄せる情報量と熱量がすさまじいのと、改行も会話のカギカッコもなくすべて地の文に含まれているので、読んでいる途中で混乱して読むのにすごい苦労した。
読んでいる間中、村を覆う熱波や饐えた臭いや鬱々とした閉塞感がずーっとまとわりついて、読み終わった後の解放感足るや凄いものがあった。
メキシコについては恥ずかしながら知識はほぼなくて、治安がとっても悪いという印象だけで読んでいたので、内容が正しく理解できたかといわれると多分ほとんど理解してないんだろうなと思う。
ただ、解らないながらも、なんか物凄いもの読んだ…という印象はめっちゃ強い。
根っこの部分があまりにも異なる国の話なので、そもそもが理解できるとは思えないんだけれど、でもせめてもう少しメキシコについて勉強しなおしてから再読したい。
訳者あとがきで、この本が都市部で使われているスペイン語ではなく、ベラクルスの方言で書かれていると知って、原語で読んだら今以上に圧倒されるんだろうなぁと思うと、日本語でしか読めないもどかしさを感じずにはいられない。
とはいえ翻訳者さんが訳してくれなかったら読むことすらできないわけで、本当に感謝感謝です。 -
Posted by ブクログ
おもしろかった、んだけど、どんな感想を持ったか言い難い。
どういう展開になるのか気になって惹き込まれ一気読みしてしまうが、
じゃあ結局なんだったのかというと…なんだろう。
映画『怪物』を観た時の後の感覚と似てる。
彼ら、彼らというのは本著ならいちばんに子どもたちであり『怪物』なら主演の2人の子どもだが、
それに準じて登場人物の全員も含むのだが、
結局彼らは救われたのかな?という思い。
モヤモヤする、という訳ではなくて、
フライパンの上に薄く広がった希望の隅に、ひとつまみ分だけ焦げついたそこはかとない絶望みたいな。
希望的に思える気がするのに、確実に真っ黒く印付けられた絶望感。
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Posted by ブクログ
少年たちが用水路で「魔女」と呼ばれている人物の腐乱死体を発見するところから物語が始まるので、この「魔女」の人生が語られるのかと思ったらそうではなかった。
簡単に言えば殺人までの過程を様々な人物の目からたどる小説。
ジェンダーや性的少数者への差別、貧困、虐待、薬物依存などが当たり前の貧しい村で、それぞれの人物が何を感じ、どう生きているのか。そこには選択肢なんて初めからない。学校もろくに行かないし、幼いうちから性的な話題や行為に晒されていて、自分が虐待されていることすら気づかない。
はっきりとは語られないが、人種も多様で、その中での差別もある。
物語の構成、語り口が素晴らしく、実に才能のある作家だと思った。
しかし、描かれている世界が(実際に世界のあちこちにこういう場所があるのだろうが)救いがなく、読んでいて挫けそうになった。
特に継父から性的虐待を受けて妊娠中したノルマの話が辛すぎる。これを読むと性的虐待した親がなぜ「恋愛だった」「相手も望んでいた」と主張するのかがよくわかった。子どもの孤独や不安につけこむ。子どもは親に愛されたい一心で、過剰なハグやキスを「おかしいな」と思いながらも受け入れる。こういうことをする親はあまりにナチュラルに相手の弱みにつけ込んでいて、相手の子どもに疑いを抱かせにくい。飴と鞭でたくみに子どもを支配し、逃げられない状態にする。
全ての登場人物が皆貧しさゆえの不幸を背負っている。しかしみんなが貧しいのでそのことに気づかない。
全てが絡まって魔女は殺される。警察は殺しに関わった若者を逮捕するが、それで解決するわけではなく、こういったことはまた繰り返されるのである。
多分原文はもっと混沌としていて読みにくいのだろうが、翻訳のおかげで読み通すことができた。
注目の作家だが、読むのは精神的に辛いので、覚悟は必要。 -
Posted by ブクログ
本書は独創的な建築物をたくさん作ったガウディの絵本。
ガウディといえば、聖家族教会(サグラダ・ファミリア)。
完成まで300年かかるー永遠に完成しないのではーと思われていたが、2026年以降完成する見込みだ。
ガウディの家はなんとピンク色!
グエル公園のドラゴン、というよりトカゲはカラフルなモザイク仕様。
うねうねとしたカサ・ミラは集合住宅。
テレビで見たことがあるが、たしかにどれも奇抜。
普通(悪く言えば面白味のない)建築と比べれば、ガウディが作った建物は、
不気味と捉えることも、幻想的と捉えることもできよう(巻末に小さいながら各建築物の写真がある)。
そんな個性的な建物を作り出したガウディの信念は、「時間はかかるもの」「急がば回れ」。
現代人が求めがちな、タイパ、コスパとは正反対の考え方だ。
どちらが良いと単純にはいえないが、ガウディの考え方は心に留めておきたい。
そして、自分が良いと思ったものを貫くことも、そのために自分を理解してくれる人たちを大切にすることも忘れないようにしたい。
独りよがりではなかったから、終生の友もいたのだろうし、実際に汗をかいてくれた職人たちもいたのだろうから。
ただ、一つだけガウディに言いたいのは、左右はきちんと見て!ということ。
路面電車に轢かれて亡くなった、なんて悲しいよ。
志賀直哉の『城崎にて』の一説、「山手線にひかれて怪我をした」を思い出した。
怪我で済んでいれば彼の作ろうとした世界がもっと感じられたかもしれないのに。