柏木伸介のレビュー一覧
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1989年、公安のスパイだった大学生・沢木は神奈川県警の公安刑事吾妻の命を受けて、自身が通う大学の、ある組織を監視していた。接近したのが組織の幹部の娘とされる文目(あやめ)。2人は県警と警視庁と合同で立てられたプロジェクトに深入りしていくが、その計画は頓挫した。
30年後、そのかつての計画に、公安刑事となっていた沢木が分け入ると官邸、警察、過激派、それぞれの思惑が絡まった国家の陰謀が見えてきた。(帯より抜粋)
エンタメとして楽しく読みました
平成元年から末期・改元前夜までの30年を行き来しながら話が進みます
ハードボイルドには苦手意識があったのですが、見方を変えてくれた一冊です -
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柏木伸介『夏至のウルフ』小学館文庫。
39歳のバツイチでピンク映画館に寝泊まりする壬生千代人は、ウルフと呼ばれる腕利き刑事だった。そんな壬生を主人公にした5編から成る連作短編集。アウトローな刑事を主人公にした硬質な警察小説を期待したのだが、類似パターンの短編ばかりが並ぶ。
柏木伸介の作品を読むのは『ドッグデイズ 警部補 剣崎恭弥』に続き2作目になるが、やはり大して面白くはない。
『夏至のウルフ』。壬生が狩りモードに入るや否や、あっという間に真犯人を特定してしまうという出来すぎ感が強い。愛媛県松山市の繁華街である北京町で短大生のデリヘル嬢が絞殺される。愛媛県警本部と松山東署は特別捜査本部を -
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連続殺人鬼、死刑執行さる―。犠牲者は全て女性、遺体を西洋人形に模して展示した犯人・雛形に、二十年の時を経て正義の鉄槌が下った。だが執行を機に、新証拠の存在が報じられ、さらに当時の捜査担当が証拠捏造を遺書で告白して自殺…。冤罪なのか?同級生が事件で犠牲となり、今は神奈川県警捜査一課警部補となった剣崎恭弥は、真実を求め捜査に乗り出す。過去に負ったトラウマから犯罪を憎み、単独捜査も辞さずに犯人を追い詰める一人の刑事の姿を描く、正統派警察小説。
一人の刑事がここまで暴走すると、もはやリアリティの欠片もないが、物語としては読ませます。
シリーズ化されそう。 -
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柏木伸介『ドッグデイズ 警部補 剣崎恭弥』祥伝社文庫。
初読み作家の警察小説。終盤の次から次へと明らかになる真実と驚愕の展開には疲れた。終盤は余りにも詰め込み過ぎで、辛うじて僅かばかり残っていたリアリティが全て消えてしまったように思う。そもそも冒頭からして有り得ない事実と偶然ばかりでつながったリアリティの無いストーリーだったのだが……
20年前に連続殺人の罪で死刑判決を受けた雛形紀夫の死刑が執行される。雛形は若い女性たちを殺害し、遺体をビスクドールに模して展示するという猟奇的な犯行を重ねていた。雛形の死刑執行後、雛形と同じ手口の殺人事件が発生し、雛形を自供に追い込んだ刑事が雛形の冤罪を示す -
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シリーズ3作目。
2作目から、だいぶ間が空いており、前作までの内容を全然覚えてない。
来栖の協力者も引き続き、登場しているはずなのだが、誰一人分からず、しかもシリーズ集大成なのか、米中露、北朝鮮、韓国のエージェント達や、防衛相、内調など登場人物がとにかく多く、誰がどの所属なのかも分からない。
始まりはロシア、中国の工作員の連続暗殺事件。裏で暗躍するのは防衛省の「別荘」。そこに中華街で中国人がロシア人の観光客を刺したことから、神奈川県警の来栖が動き出す。
最初の2件の暗殺の目的は何だったのか?
目的が明かされても、そこまで行きつくのに、これだけの登場人物が必要だったのか、よく分からない。
拳銃の -
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第15回このミス優秀賞を受賞した作品の続編。
前作の後、交番勤務に左遷させられていた来栖だったが、横浜中華街で起きた爆破事件をきかっけに、米中間の動向を探るため、公安に戻る。
動向を探るうちに、違法ドラッグを扱う半グレ集団「ヨコハマ・カクテル」に行き着く。「マトリの疫病」と呼ばれた女性麻薬取締役官・鬼塚も「ヨコハマ・カクテル」の動向を探っていた。
前半は次から次へと事件が起きたり、登場人物も多く、捕えどころがない感じで進む。
ラストの警察、ヨコハマ・カクテル、そして暴力団の巴戦のシーンはなかなか迫力があり、最後の最後まで誰が敵で、誰が味方かが分からない展開に、いつの間にか引き込まれてしまった。