佐柳信男のレビュー一覧
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鳥類のコミュニケーショ能力と認知を研究するアイリーンと、天才と呼ばれたヨウム、アレックスの実話。
アレックスの話というよりは、アイリーンの研究と研究人生がメインだったけれど、アイリーンの人生で、アレックスとの出会いがそれほど大きかったということでしょう。
アレックスは天才と言われていたけれど、果たして彼は天才だったのか。ヨウム、鳥類はもともと認知能力を持っているのではないか。それを我々が知らないだけで。
とりあえず「鳥頭」という悪口は成立しなくなりそう。小さい脳みそで、思考して、発語することができたのだもの。
「イイコデネ。アイラブユー」「アシタ クル?」
最後の言葉がどこまでも泣かせる -
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ネタバレオウムにどのくらいの知性があるのか?の研究に生涯を捧げてきたアメリカの研究者による著作.
アレックスと名付けたヨウムと行なった研究により,ヨウムには5歳児程度の知能(ただしコミュニケーション能力は2歳児程度)があることが明らかになる.脳みその大きさは胡桃大なのに?脳に大脳皮質も無いように見えるのに?
アメリカの研究者の厳しい環境については話には聞いているが,恐るべき競争社会だ.アレックスとテレビにも出演し,日本であればどっかの私学がホイホイとポストを用意してくれそうなものだが・・・
アレックス(や他のヨウム)との心温まるエピソードが綴られ,思わず吹き出してしまうエピソードも多いが,作者の研究に -
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アレックスに関しては、生前から動画などを見ていたので、その能力の高さには驚かなかった。
というか、動物を飼っている(という言い方も非常に不遜で嫌いだが)人は誰でも、彼らには我々同様感情があり、思考し、経験を蓄積して応用していることを知っているが、科学では「だってそう感じるもん」ということは許されず、繰り返し検証実験を行い、誰でも納得できる客観的データを蓄積することが必要である。
その大変な仕事に、果敢に挑戦した著者に頭が下がる。特にまだ欧米でさえ男尊女卑が強く、能力の高いことが証明出来る女性でも結婚や出産で退職するのが当然と考えられていた時代、動物は人間以下の存在、鳥が喋ってもそれは「オウム返 -
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ネタバレ書き出しの一章は主に著者の苦労が語られるが、おもしろかったのはやはり二章以降の研究パート。動物心理系の本を読んでいると、「算数のできる馬のハンス」だけでなく「手話のできるゴリラのココ」に関しても、研究者の恣意的な読み取りという問題があることが知れる。アレックスに関しても、実験の意に沿わない結果をアレックスの「おふざけ」として処理している傾向があり、首をかしげるところもあった(もちろんこの本はお堅い論文ではないので、実際は追試が可能な形で有意に検証されているのかもしれないが)。
その点を差し引いても、アレックスが他者との「約束ごと」である言語を扱えていたことは間違いがないし、独自の合成語「バネリ -
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「動物の知能や認知力は低い」という考えに対する、一人+一羽のバディの挑戦
会話ができるヨウム(鳥)として有名になり、日本でもTV番組「どうぶつ奇想天外!」等で知られたアレックスと、動物の認知力の研究者である著者。当時の「動物の知能や認知力は低い」と考える科学界の権威に対する、一人と一羽のバディによる挑戦の歴史です。著者の私生活や懐事情なども隠さず書かれていて、大学の研究員を続けるのって大変なんだなと気の毒に思う場面もありました。
アレックスが著者との訓練を通じて、信じられないようなコミュニケーション力、認知力を発揮していくのがなんとも痛快でした。「動物と対話する」と言葉にするとなんとも単純 -
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女性科学者への風当たりが強い時代に、数々の困難も乗り越え
「5歳児の知能を持つ」と称されたヨウムのアレックスとの研究に没頭した日々の記録です。
「オウムはただ人間の言葉を真似ているオートマトンに過ぎない」
という通説を覆し、ヨウムは感情や思考に基づいて喋り、
色や数量といった概念を理解する知能が備わっていることを発見、発表しています。
アレックスの感情の表現は可愛くて・可笑しくて、そして切なくて
本文中にあるアレックスの死後に寄せられた暖かな多くのメッセージは、
人間が他の生き物たちを尊重する気持ちへと繋げていかなくてはと強く思いました。 -
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鳥は家族(飼い主さん)の会話を聞いて
自然と言葉を覚えるんだろうなぁって思ってたけど
一体どんなプロセスを経てるんだろう…
ってすごく興味があった。
あとは…鳥の中でもヨウムが特に大好きだったから。
ヨウムって…知ってる人どれくらいいるかな。
グレーの羽に紅色の尾。
一年半くらい前に動物番組で
初めてヨウムを知ったけど
陽気に、好き勝手に(?)話す、歌う。
本当に賢いけど
完璧にすらすら話すわけじゃないから
それがまた可愛くて笑っちゃう。
優秀なアレックスもそう。
順調に訓練をこなしたかと思えば
機嫌を損ねて、アイリーンと -
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面白かったです。
鳥と人のふれあい的なものがいちばん大きなテーマなのかなーと思って読み始めましたが、そうではなかった。
1人の女性が学会の中で認められ、研究を続けていくことの大変さ。ましてやそれがそれまでの常識を覆す研究であったときの逆風の強さがリアルに描かれています。生活の不安を抱えながらも信念を持って研究に取り組み続ける著者の姿に励まされる思いがしました。
アレックスのキャラクターも魅力的。とても賢いけれど気分屋でわがままでいたずらっ子。著者が落ち込んでいるときにずっとそばにいて、「ナデテ」(撫でて)と頭を預けてくるアレックスの様子など、本当に愛らしい。著者にとっては逆風を共に進んだ同志の -
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最初から泣きまくり、みたいな評判だったけれど、そこまででもない気がしたのはやはり動物を飼っていないからでしょうかね。
序盤の「私って天才だから」みたいな部分はちょっと鼻についたけれど、アレックスが登場してからは興味深く読めました。
既存の概念に逆らった独創的な研究をすることや、特に定職が得られない中で職場を転々としながら研究をすることの大変さが読んでいてしみじみと伝わってきました。
また、教育ということでは、実験に超長期な時間がかかるのも大変ですね。
読んでいて最後に悲しさよりも無念さを感じてしまいました。
もう少し時間があればもっといろんなことが学習できたのではないでしょうか。