渡邊英理のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
作者個人の思考や感情の投影として生まれる「文学作品」に、読者の勝手とはいえ、社会・歴史的背景を読み込んで何らかの意義を見出そうとするのは結局作者の意図を離れた後付けでは?文学作品を純粋に楽しんでいると言えるのか?など考えることも最近多かったが、この本の前半を読んで理論に触れてみて合点がいった。文学の読み方自体あまりよくわかってなかったと反省。。
後半は各論になっていて、「ジェンダー×文学」「環境問題×文学」「精神分析×文学」のように今流行りの題目から西洋哲学の血を引く定番トピックまで、各ジャンルで文学との関わりがまとまっていて取っ付きやすかったが、用語解説の形を終始とるのでちょっと読みにくい感はあった。でも色んな考え方の目録として見返そうと思った。 -
Posted by ブクログ
中上健次について、小説から分析したものである。そこには路地、いわゆる非差別部落出身であり、そして小説の舞台が被差別部落であるということを主題にしていたということが理解される。戦後生まれの小説家を岩波新書で取り上げるということがいいかどうかはわからないが、これを契機として、戦後生れの小説家についての論文が増えるであろう。同じ地域をみても司馬遼太郎がスルーした内容を中上健次が拾い上げているということは、街道を行くシリーズの沖縄編でも米軍基地があるはずなのに、スルーしたということと同一なのかもしれない。
無頼派というイメージでみていた中上が被差別部落を真正面に向き合って書いていたということは新たなイメージを作るであろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ文学ってなんなのか、文学理論なんてあることも、よく知らなかったのだけれど、
言葉、言語、について知るのはおもしろいなーと思いました。
私たちの考えは、言葉でできているから、
文学をたどることは人間の思想や考え方の発展をたどることでもあるのだなーと、
言葉は人工物なのにありふれすぎててほぼ自然物のようになっているけれど、めちゃそれについてかなり意識的に考えたりしている人がずっといて、そしてそこからいろんな考え方が発展してきているのですね。
どれだけこれまで浅はかな読み方をしてきたか、と気づかされると同時に、深みある言葉の鑑賞ができたらいいなーと世界が少し広がりました。
表現の仕方、そのもの自体に焦点を当て直すところは、現代アートの鑑賞の仕方、と同じだなーと思った。
高校のときにあった現代文って、こういう話してたのかな。まったく理解できない科目だったなーと。本来おもしろい学問の世界。試験勉強のための科目言葉ってこんなにすごいんだよ、っていうのをもっと前面に出して授業ができれば、というか私の感覚が鈍かったのだろうけれども、と今更ながら思ったりしました。
後半のテーマ別の専門的な話にはついていけない部分もありましたが。
一方で、それぞれの時代の思想や言論がどのように代表されているのかというのも人為的なので、今後私たちはどのような言葉を、思想を、どのように生み、時代を象徴していくのか、ということも興味深いと思いました。