あらすじ
読むことの基礎と批評理論の現在が学べる、辞書としても役立つキーワード集!
フェミニズム、環境批評、ポストヒューマン、精神分析、ポストコロニアリズム……
本書では文学理論の基礎的な知識を解説しつつ、最新の文学理論の潮流を初学者にも分かりやすく解説。現代批評の原点を知るためのブックガイドも充実しており、多彩なトピックから文学の魅力を味わい尽くそうと試みています。
第1部「基礎講義編 ― 文学理論のエッセンス Fundamentals」では、文学理論の根本問題である「テクスト/読む/言葉/欲望/世界」の5つのテーマについて論じ、第2部「トピック編 ― 文学理論の現在(いま)を考えるために Topics」では、文学理論の現在進行形の諸問題についてのトピックを取り上げ、新たな思索の糸口を発見=発明することを目指しています。
本書は、文学を「もっと深く読む」ために必要な知識を得る本として、あるときはレポートや論文を執筆する際の手引きとして、断片的な知識を有機的につなげる一助となる機能的な一冊です。
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◆[クリティカル・ワード]シリーズとは
現代社会や文化および芸術に関わるさまざまな領域を、[重要用語]から読み解き学ぶことを目指したコンパクトな入門シリーズ。基本的かつ重要な事項や人物、思想と理論を網羅的に取り上げ、歴史的な文脈と現在的な論点を整理します。もっと深く理解し、もっと面白く学ぶために必要な基礎知識を養い、自分の力で論じ言葉にしていくためのヒントを提供します。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
僕には早かったです。難しい本でした。
ただ「文学」が何かわかってなかった(なんか小説とか読むやつだと思っていた)自分にとって、新しい世界を見せてくれた、地図のような本でした。
僕が批評できるようなシロモノでは無いと思いますが、良書だと思います。
Posted by ブクログ
クリティカル・ワード 文学理論』三原芳秋・渡邊英理・鵜戸聡編、2020年、フィルムアート社
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今年1冊目の日本語の本。
難しいけど理解不能とまではいかない、適度な難易度で面白く読めた。
特にクィア理論に関する部分は3回くらい読み直した。「再生産的未来主義」や「パフォーマティヴィズム」という概念のおかげで一気に視界が開けたような気持ちなので、バトラーなどの著作も読むことを春休みの自主課題としたい。
Posted by ブクログ
作者個人の思考や感情の投影として生まれる「文学作品」に、読者の勝手とはいえ、社会・歴史的背景を読み込んで何らかの意義を見出そうとするのは結局作者の意図を離れた後付けでは?文学作品を純粋に楽しんでいると言えるのか?など考えることも最近多かったが、この本の前半を読んで理論に触れてみて合点がいった。文学の読み方自体あまりよくわかってなかったと反省。。
後半は各論になっていて、「ジェンダー×文学」「環境問題×文学」「精神分析×文学」のように今流行りの題目から西洋哲学の血を引く定番トピックまで、各ジャンルで文学との関わりがまとまっていて取っ付きやすかったが、用語解説の形を終始とるのでちょっと読みにくい感はあった。でも色んな考え方の目録として見返そうと思った。
Posted by ブクログ
文学ってなんなのか、文学理論なんてあることも、よく知らなかったのだけれど、
言葉、言語、について知るのはおもしろいなーと思いました。
私たちの考えは、言葉でできているから、
文学をたどることは人間の思想や考え方の発展をたどることでもあるのだなーと、
言葉は人工物なのにありふれすぎててほぼ自然物のようになっているけれど、めちゃそれについてかなり意識的に考えたりしている人がずっといて、そしてそこからいろんな考え方が発展してきているのですね。
どれだけこれまで浅はかな読み方をしてきたか、と気づかされると同時に、深みある言葉の鑑賞ができたらいいなーと世界が少し広がりました。
表現の仕方、そのもの自体に焦点を当て直すところは、現代アートの鑑賞の仕方、と同じだなーと思った。
高校のときにあった現代文って、こういう話してたのかな。まったく理解できない科目だったなーと。本来おもしろい学問の世界。試験勉強のための科目言葉ってこんなにすごいんだよ、っていうのをもっと前面に出して授業ができれば、というか私の感覚が鈍かったのだろうけれども、と今更ながら思ったりしました。
後半のテーマ別の専門的な話にはついていけない部分もありましたが。
一方で、それぞれの時代の思想や言論がどのように代表されているのかというのも人為的なので、今後私たちはどのような言葉を、思想を、どのように生み、時代を象徴していくのか、ということも興味深いと思いました。