大村敬一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
成り立ちから昨今の金融高度化まで、ファイナンスの世界史。海外書籍ではよく見かけるテーマだが日本語ネイティブでこれだけのボリュームかつ濃密さは珍しいかも。世界の金融史に対して日本ではどうであったか、日本人の実務者兼学者の眼からみた視点なので大変興味深い。
古くは生活手段として、そこからソブリン・交易・商業と発展を遂げ、リスク自体を取扱い商品として独立独歩で勢力を広げて自己崩壊していく過程は面白い。これまで英系商業銀行と米系投資銀行の趨勢が良く分かっていなかったが、歴史的な経緯からの発展史がとても為になった。
個人的には26章で描かれるCMEによるデリバティブ取引市場開設が特に金融商品のターニングポイントとして大きいと思う。ここから実物経済と乖離しバラつきをリスクではなくオポチュニティとしてマネーゲームは拡大していったのであろう。とはいえ一般的に言われるように「ファイナンス=得体のしれない悪」ではなく「必要は発明の母」的に進化していったことがわかる良書。 -
Posted by ブクログ
ある程度の歴史知識と金融知識があればかなり面白い著作だと感じた。自分は金融知識の方はからっきしなので、AIに用語を逐次聞きながらの読者となった。当たり前だが、ファイナンスとは、資金がショートする主体(効率的な生産手段を持つ主体)が、資金が過剰になる主体(効率的な生産手段を持たない主体)から資金を調達する事という部分が印象に残る。
フィレンツェを代表する商人兼銀行家であるメディチ家の趨勢等も知れた。
金匠銀行というのも面白かった。17世紀イギリスでは、ユダヤ人は多くの職業で制限を受けていなかったが、金細工は制限されていなかった。金細工をする上で顧客から預かる金の大部分が遊休資産となっていることに気がついたユダヤ人は、この金を担保にして信用創造を行い銀行業を始める(何故、この業態がユダヤ人に許されていたのかは疑問だが、ユダヤ人は本当に商売が上手いと感じた)。
管理通貨制度の先駆けを提唱したジョン・ローは知らなかったが、波瀾万丈すぎる人生で面白い。漫画のキャラクターに出てきそうな人で記憶に残る。
アメリカの金融の歴史についても勉強になるところは多いが、(紙面の関係上やむを得ないが)奴隷制に触れていないところから納得感は薄い。州銀行法と連邦銀行法が対立する構造は北部と南部の奴隷州の対立構造と紐づいているはずなので、そこの論点を外すと理解しにくくなるのでは? -
Posted by ブクログ
金融の世界、借り手と貸し手をつなぐ新しい手段がどのように生まれ、改善?されてきたかを解説する。
前半は同じことが何度も出てきていて鬱陶しいが、後半の〇〇ショックのエピソードは面白い。
信用を創造して、次の産業の為のお金をつくるのが金融業の意義だと思うが、似非信用創造で自分のためのお金をつくる人が度々登場して恐慌を招いているみたい。金融手段は時間がたつと陳腐化してレント(価値創造)が小さくなる。だから新しい金融手段を創造する必要性がある・・・・金の亡者の戯言で世界は廻っている?
以下 備忘録
ファイナンスとは恒常的な赤字主体である企業が、金融ビジネスを経由して、恒常的な黒字主体だる家計の余剰資金を調達して経済の価値を高めること。
中世:地中海沿岸のイタリア諸都市、北海沿岸のハンザ同盟都市(メディチ)
近世:ポルトガル、スペイン、(コロンブス)
オランダ、(アントワープ、アムステルダム(證券市場))
ロンドン(中央銀行)
20世紀:アメリカ
宗教的な迫害?を受けたユダヤ人が移り住んだところが金融改革の中心地となった (イタリア→オランダ→ロンドン)
デリバティブ:先物、オプション、スワップ
インベストバンク
投資信託
格付会社
住宅モーゲージ
敵対的買収
オルターナティブ投資ファンド
サブプライム
バーゼル規制(大きすぎてつぶせない銀行への予防対策) -
Posted by ブクログ
●人間の欲望と必要性が、手形・国債・株式会社・デリバティブという現代の経済インフラを生み出してきたダイナミズムを網羅した本。
●ファイナンスの世界史を通覧する。→ニーズによってファイナンスが発展してきた歴史を知ることができた。
●400ページに渡る長大なファイナンスの歴史の本。本書を読み解く最大の鍵は、ファイナンスの歴史が「交易(商業革命)」「戦争」「工業化(産業革命)」という3つの巨大なイベントによって駆動されてきた、というシンプルな構造を理解することと見た。資本主義の裏に常にあった「ファイナンス」の視点を持つことで、今日の日経平均株価やFRBなどの経済ニュースが、すべて歴史の延長線上にあるドラマとして見えてきそうだ。