あらすじ
【金融イノベーションの光と影を歴史的に解明】
十字軍遠征、大航海時代の資金調達から始まったお金を回す仕組みは、交易ルートの開拓とともに進化、大規模化していった。それが、君主による私的ファイナンスから国家によるファイナンス(財政)へと国家運営の手段となり、南海会社バブル、異端児ジョン・ローを生み出した。そして産業革命によってファイナンスの巨額化が生じ、その要請に応えるべく近代株式会社が成立。資本と経営の分離が生じた。またコーヒーハウスから発祥した証券取引所は、次第に組織化され、流通市場も拡大し、コーポレートファイナンスの拠点として成長していく。そして、ニューヨークは産業革命後の勢いが陰るロンドンに代わってファイナンス拠点に成長していく。様々なリスクを回避すべく誕生した金融エンジニアリングはリスクの発見から創造へと暴走を始めるようになり、ブラックマンデー、サブプライム・リーマンショックを招く。経済発展の縁の下の力持ちとして成長・進化していったファイナンスが、先進国を破滅の淵に追い詰めるまでを様々なエピソードを交えて興味深く解説する。
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Posted by ブクログ
これまで似たような内容の本がたくさん出ているが、偏った歴史観などなく客観的に深掘りされているところもある良本。内容が凝縮されているため周辺知識がいないと一読しただけでは理解できない章もある。第9章は特に面白いが、漫画望郷太郎を読んでから読むとより深く理解できるだろう。それでもこれでもかと専門的な知識が要求される内容となっている。知識だけはなく概念的な理解も要求されるため、見た目よりもずっと難しいかもしれない。ネットで調べながらじっくりと読みたい。過去を振り返り将来を予想する。まさに歴史である。