【感想・ネタバレ】ファイナンスの世界史 金融技術と金融ビジネスの歩みのレビュー

あらすじ

【金融イノベーションの光と影を歴史的に解明】
十字軍遠征、大航海時代の資金調達から始まったお金を回す仕組みは、交易ルートの開拓とともに進化、大規模化していった。それが、君主による私的ファイナンスから国家によるファイナンス(財政)へと国家運営の手段となり、南海会社バブル、異端児ジョン・ローを生み出した。そして産業革命によってファイナンスの巨額化が生じ、その要請に応えるべく近代株式会社が成立。資本と経営の分離が生じた。またコーヒーハウスから発祥した証券取引所は、次第に組織化され、流通市場も拡大し、コーポレートファイナンスの拠点として成長していく。そして、ニューヨークは産業革命後の勢いが陰るロンドンに代わってファイナンス拠点に成長していく。様々なリスクを回避すべく誕生した金融エンジニアリングはリスクの発見から創造へと暴走を始めるようになり、ブラックマンデー、サブプライム・リーマンショックを招く。経済発展の縁の下の力持ちとして成長・進化していったファイナンスが、先進国を破滅の淵に追い詰めるまでを様々なエピソードを交えて興味深く解説する。

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Posted by ブクログ

これまで似たような内容の本がたくさん出ているが、偏った歴史観などなく客観的に深掘りされているところもある良本。内容が凝縮されているため周辺知識がいないと一読しただけでは理解できない章もある。第9章は特に面白いが、漫画望郷太郎を読んでから読むとより深く理解できるだろう。それでもこれでもかと専門的な知識が要求される内容となっている。知識だけはなく概念的な理解も要求されるため、見た目よりもずっと難しいかもしれない。ネットで調べながらじっくりと読みたい。過去を振り返り将来を予想する。まさに歴史である。

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2025年10月05日

Posted by ブクログ

まさにファイナンスの世界史を大昔から現代まで書いた労作。興味本位で通読する分にはちょっとお腹いっぱい。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

ある程度の歴史知識と金融知識があればかなり面白い著作だと感じた。自分は金融知識の方はからっきしなので、AIに用語を逐次聞きながらの読者となった。当たり前だが、ファイナンスとは、資金がショートする主体(効率的な生産手段を持つ主体)が、資金が過剰になる主体(効率的な生産手段を持たない主体)から資金を調達する事という部分が印象に残る。
フィレンツェを代表する商人兼銀行家であるメディチ家の趨勢等も知れた。
金匠銀行というのも面白かった。17世紀イギリスでは、ユダヤ人は多くの職業で制限を受けていなかったが、金細工は制限されていなかった。金細工をする上で顧客から預かる金の大部分が遊休資産となっていることに気がついたユダヤ人は、この金を担保にして信用創造を行い銀行業を始める(何故、この業態がユダヤ人に許されていたのかは疑問だが、ユダヤ人は本当に商売が上手いと感じた)。
管理通貨制度の先駆けを提唱したジョン・ローは知らなかったが、波瀾万丈すぎる人生で面白い。漫画のキャラクターに出てきそうな人で記憶に残る。
アメリカの金融の歴史についても勉強になるところは多いが、(紙面の関係上やむを得ないが)奴隷制に触れていないところから納得感は薄い。州銀行法と連邦銀行法が対立する構造は北部と南部の奴隷州の対立構造と紐づいているはずなので、そこの論点を外すと理解しにくくなるのでは?

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2025年11月30日

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