サラ・クロッサンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
横書きの散文詩を繋げ一つのストーリーにした興味深い作品です。
作者はアイルランドのダブリン生まれ。2015年に発表した『わたしの全てのわたしたち』でカーネギー賞を受賞しました。
主人公は、虐待を繰り返す父親の元から逃げ出した16歳の少女アリソン。表紙に描かれた彼女の眼差しと赤くただれた左頬を何度も見返す読書となりました。
母親は産後すぐに亡くなった。
父親の恋人のケリーアンが出て行くと、アリソンへの暴力はさらに加速する…
彼女の嫌な記憶が蘇るたびに、読む手が止まり息が苦しくなりました。
認知症を患うマーラから「タフィー」と呼ばれ同居生活を始めたアリソン。
父親にいつ見つかってしまうか、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ散文詩形式で書かれた作品。読むのは難しくないのだが、読むのが辛かった。胸が苦しくなる内容。
アリソンは支配的な父親の暴力から逃れるため、家を出るしかなかった。少し前に家を出た、父親の恋人を探したが、会えずに、古い家の納屋に潜り込む。家主は認知症のマーラ。マーラはアリソンの事をタフィーと呼び、部屋に招き入れた。
アリソンの現在と父親との暮らしが交互に描かれ、マーラの過去も入り混じり、幻想的ですらある。しかし、次第に家族に問題を抱えている事がわかってくる。
アリソンもマーラも言いたい事を我慢していた。孤独な二人は少しずつ歩み寄っていく。
ギリギリの生活なのに、アリソンは悪い方へは流れないし、病んで -
Posted by ブクログ
散文詩形式で書かれた小説は初めて読みました。
主人公の心情が、まっすぐに心に刺さります。
暴力をふるう父親から逃げ、行き場を失った少女と、独りで暮らす認知症の老女。
こうした設定でありがちな心温まる交流ではなく、感動の結末が待っているわけではない。
もっとリアルに、混乱しながらも力強く人生は続いていく。
相手を利用することばかり考える若者と、厄介事を避けたがる大人たち。そんな世界で居場所を見つけるのは大変です。
嘘を重ねるうちに自分の存在感が薄れてしまうアリソン。相手に求められる姿を演じ続ける自分を透明人間と呼ぶ。
読者にも、事実と主観の境界があやふやになってきます。
マーラの記憶は安 -
Posted by ブクログ
ネタバレ父から虐待されて育ち、生きる場所が見つけられないアリソン。友を失い、娘を亡くし、認知症が進行して不安に怯えている老女マーラ。
詩の形式で物語を綴るのはこの頃の英米文学の流行のようだけど、(単なる流行りではなく、スマホ、ネットに時間を割き、長い文章を読まなくなっている現代人に読んでほしいと工夫した結果ではないかと思う)この形式だからこそ、胸に直接響いてくる。
アリソンがいかに父の愛情を欲していたか。父親は支配的でありながら、精神面では大人とは言えないほど未熟。
マーラの心は何かをきっかけに今までの人生の哀しかったこと、嬉しかったことが現れ、それを隠したり押さえたりするのが認知症のために難しくなっ -
Posted by ブクログ
誕生と同時に母を亡くし、父の虐待に耐えるアリソン。父のパートナーで母親代わりのケリーアンすら家を出ていってしまった。父親の暴力に耐えられなくなって家を出た先で、認知症のマーラに出会う。マーラがアリソンを昔の友人タフィーと思い込んだのを良いことに、アリソンはマーラの家に居候しながら傷付いた心を癒していく。
不思議な詩のような文体。ボリュームがあるのにあっという間に読めてしまう。でもアリソンの傷付いた心の有り様はくっきりと浮き彫りになっている。
タフィー。甘いキャンディのようなお話かと思いきや。ほろ苦いカラメルの効いた堅い飴でした。。。
10代からの海外文学、ということだったけど、10代の人が