相川英輔のレビュー一覧
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やっぱり好きだな、相川栄輔さん。文章が合う。
「ハミングバード」は「惑星と口笛ブックス」で二度ぐらい読んで、英訳の朗読されたやつもたしか聞いて、だから4回めぐらいだったのだけど、なぜか今回が一番感動した。奇妙な設定ながら、出てくる人がみんなまっとうで、理性的で、だからついつい「やさしい世界」と評したくなるんだけど、何回か繰りかえして読んでいると、そうは言ってもそれぞれに後悔や不安や行く先の不安定さを抱えていて、それがあんな形で表現されていることがすごくグッと来るようになった。そのせいか、大江さんのポエトリーリーディングが、なんか心に響いたりして。よい短編。
それからなんといってもやはり「黄金 -
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日本より先に海外で評価された
自称"逆輸入作家"相川英輔さん
「黄金蝶を追って/相川英輔」
(S)少し(F)不思議なSF短編集
AIとコンビニ店長
幽霊と暮らす女性
時間の間に陥る男等々
幅広い少し不思議な設定が日常を送る人達とリンクしてリアリティのある不思議な世界を構築している
ともすればリアリティに欠けた滑稽にも感じる世界に陥ってしまうSF
どの作品も不思議が主人公達の日常もたらす感情の変化に見事にリンクされており、短い物語とは思えないカタルシスを感じる作品もあり
短編集なのでゆっくり一本ずつ読む予定だったにも関わらず、一本の「星は沈まない」から世界に引き -
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☆3.8
SF・ファンタジーに属する作品群六編が収録されている。
どの作品もどこかノスタルジーを感じさせる。
掴みたいのに掴めない何かを、この中に探してしまう。
そんな気持ちになった。
読み終わって考えると、その何かとは「希望」なのかもしれないなと思った。
「星は沈まない」
長くコンビニ業界の会社に勤めそれなりに出世するも、ある事件から不採算店の店長に降格され十年。
この店はAIを導入することでほぼすべての業務を代行できるシステムのモデル店舗になると決定された。
AIシステムの「オナジ」と働き、その能力に驚かされつつ気味悪くも思うのだが…
予想以上のコミュニケーション能力を持つオナジに -
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帯に”心優しい登場人物が織りなす青春ミステリー”とあり、大学時代のラブストーリーで、彼女の名前がハンナだろうと憶測したのは安易な考えだった。ハンナは大学の万年講師・森川譲が研究室に飼っている猫の名前とわかり、まず予想が裏切られた。
大学公印が狙われたり、頻発する謎の停電や他大学からスパイが潜り込んだりと、現在の大学は昔の大学と違いさまざまな問題を抱えているのに驚かされる。猫の髭はポルトガルでは『天使の忘れ物』って呼ばれて幸運のお守りらしい。大学の夜間警備アルバイトをしながら小説を書いている男性が登場する。文学賞に応募しては落選する彼が追い求めているテーマを森川に語る。「子供の頃から悪のヒーロー -
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大学講師の森川先生と、その授業を履修する(でも就活で出席日数の足りてない)大学4年生、その彼とたまたま出会った3年生を中心に、森川先生の研究室にいついたネコのハンナを交えて展開する物語。
大学の存亡を侵そうとする陰謀があったりして、ところどころハードボイルドな展開になったりもするけど、基本的には相川栄輔らしいやさしい世界が展開します。森川先生が、巻きこまれ型のようでいながら、しっかりとした芯があって揺るがないのがいいよね。というか、みんなすごくまっとうなのだ。今時、それこそがファンタジーじゃね?と思わなくもないけど、なんかほっとする。ハンナも(:_;)
これを機に「惑星と口笛ブックス」シン