相川英輔のレビュー一覧

  • 黄金蝶を追って
    過去、現在、近未来を描くSF(サイエンス・フィクション)にしてSF(すこし・ふしぎ)な作品でありながら、現実と空想が交錯する世界に生きる人々の絆を味わえる一冊。同時に「私もいつか不思議な体験をするかもしれない」と読者に思わせるような物語でもある。現実の中に溶け込んだ空想を描いているはずなのに、どこか...続きを読む
  • 黄金蝶を追って
    たまたま書評を読んで面白そうだったので読んでみました。ノスタルジックなSFでちょっとウエット。面白かった。他の作品も読んでみよう。
  • 黄金蝶を追って
    やっぱり好きだな、相川栄輔さん。文章が合う。
    「ハミングバード」は「惑星と口笛ブックス」で二度ぐらい読んで、英訳の朗読されたやつもたしか聞いて、だから4回めぐらいだったのだけど、なぜか今回が一番感動した。奇妙な設定ながら、出てくる人がみんなまっとうで、理性的で、だからついつい「やさしい世界」と評した...続きを読む
  • 黄金蝶を追って
    6作品収録されている短篇集で、どれも面白かった。平易だけど美しい文章。SF要素やファンタジーが日常に入り込んでくるものの、主人公たちはそれを大げさに騒ぎ立てないので、奇抜な設定なのに奇抜さを感じずに読める。1話目の「星は沈まない」は2021年に小説すばるに掲載された作品のようだけど、今は実際にコンビ...続きを読む
  • ハンナのいない10月は
    大学講師の森川を中心に巻き起こる大学内外でのささやかな、でも大変な出来事を。森川が研究室で飼ってるハンナという三毛猫が大変愛らしい。猫の縁も無視できない出来事に繋がる。面白かった〜!まさか食堂継いだらどうしよう…!って途中なったけど。こういう変わった先生、実は私の大学にも居たのかなぁ。出会ってたら少...続きを読む
  • ハンナのいない10月は
    本に対する愛情たっぷりの一作。文章がとても読みやすく、一気読みできました。大学の裏側を描く内容や少子化問題が経営に影響を与えていることなど興味深い話もおおかったけど、やはり本にまつわるエピソードが一番心に響いた。「本に順位なんてつけられない。どれも同じぐらい大切だよ」という森川先生の言葉はすばらしい...続きを読む
  • ハンナのいない10月は
    凄く面白かったです。学べたことがたくさんありました。例えば、
    ・悪目線での気持ち。
    ・大学の生き残り問題。
    ・(定食屋を通じての)仕事の在り方。
    ・誠実やルールを貫く、作者の意図がしっかりした良質なミステリ。
    ・希望の見つけ方。
    ・決めつけることへの警鐘。
    などです。

    秀逸な、青春ミステリ小説です...続きを読む
  • ハンナのいない10月は
    平々凡々と生きてきた男子学生、学生自治会長を務める才女、大学の夜間警備員など、一見普通の暮らしを送っていても誰もが人知れぬ悩みを抱えていて、少しずつ傷つきながら生きている。猫のハンナと主人公の森川先生の穏やかさがそれらを包み、癒していく。コロナ禍で社会が殺伐としてしまったこの時期に読めて良かったと思...続きを読む
  • 黄金蝶を追って
    面白かった。
    「日曜日の翌日はいつも」が特に良かった。
    逆セカイ系というか、人間が足掻く作品が好きなのだと思う。
  • 黄金蝶を追って
    すごいSFを見つけたかもしれない。淡々とした描写なのになんてハートフルなんだ。ヤングの小説にも似た暖かな読後感がある。
    でも、後書きで出版社(しかも他社)の名前を誤字るのはちょっと興醒めなので星を引きます。
  • 黄金蝶を追って
     短編集。『あとがきに代えて』ではSF・ファンタジーの作品集とされていて、確かにそうなのだけれど、最初に収録されている『星は沈まない』が小説すばるに発表された作品であるように、文芸誌に載っていても違和感ない味わい。作者の関心は一貫して人と人との繋がりにあるように思える。あさま山荘事件を彷彿とさせるエ...続きを読む
  • 黄金蝶を追って
    ☆3.8

    SF・ファンタジーに属する作品群六編が収録されている。
    どの作品もどこかノスタルジーを感じさせる。
    掴みたいのに掴めない何かを、この中に探してしまう。
    そんな気持ちになった。
    読み終わって考えると、その何かとは「希望」なのかもしれないなと思った。


    「星は沈まない」
    長くコンビニ業界の...続きを読む
  • 名著奇変
    「あたし李徴。今、新宿にいるの」虎になったVtuberによるメリーさん
    名著と都市伝説の組み合わせ、最高すぎません?
  • ハンナのいない10月は
    帯に”心優しい登場人物が織りなす青春ミステリー”とあり、大学時代のラブストーリーで、彼女の名前がハンナだろうと憶測したのは安易な考えだった。ハンナは大学の万年講師・森川譲が研究室に飼っている猫の名前とわかり、まず予想が裏切られた。
    大学公印が狙われたり、頻発する謎の停電や他大学からスパイが潜り込んだ...続きを読む
  • ハンナのいない10月は
    大学ってもっと人間的な方がいいよね。もっと書いて欲しい。大学って人が交わるところなんだって。おもしろかった!
  • ハンナのいない10月は
    大学講師の森川先生と、その授業を履修する(でも就活で出席日数の足りてない)大学4年生、その彼とたまたま出会った3年生を中心に、森川先生の研究室にいついたネコのハンナを交えて展開する物語。

    大学の存亡を侵そうとする陰謀があったりして、ところどころハードボイルドな展開になったりもするけど、基本的には相...続きを読む
  • 名著奇変
    「セメント樽の中の手紙」だけ読んだことなかったけど、元ネタをなんとなく知ってると、そのイメージでこんなホラーミステリできるのかと面白く読めた。「陰翳礼讃」と「山月記」の話が好き。
    元ネタももう一度読んでみたくなっていいね。
  • 黄金蝶を追って
    収録作「ハミングバード」が日本人で初めて米英のSF誌に掲載されたという宣伝句に惹かれて購入。この日本的なオフビートさが海外で好まれるのは少々意外だったが、確かに斬新なアイデアではある。市井の人々を主人公に据え置くノスタルジックで感傷的な作風はどことなく伊与原新氏に通ずるものを感じるが、SFやファンタ...続きを読む
  • 黄金蝶を追って
    国内より先に海外で評価されたというニューカマーによるSFの短編集。とはいえ最先端科学や、テクノロジーに関する尖った議論などとはあまり縁のないファンタジーよりの作風。短編としても、オチの意外性より人間ドラマで勝負するタイプで、基本ハートウォーミング系。渋くてそつがない、いい意味でも悪い意味でも新人さん...続きを読む
  • ハンナのいない10月は
    テンポの良いストーリーテリング。中規模大学とその関連で起きるできごとに巻き込まれる主人公や登場人物。ご都合主義といえばそうだが,人生の奇縁もそんなもの。物語の背景にあるライバル大学からの攻撃?は解決されないが,発生する出来事を通して登場人物が少しずつ成長するので,読後が爽やかで希望がある。伏線は回収...続きを読む