相川英輔のレビュー一覧

  • 黄金蝶を追って

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    収録作「ハミングバード」が日本人で初めて米英のSF誌に掲載されたという宣伝句に惹かれて購入。この日本的なオフビートさが海外で好まれるのは少々意外だったが、確かに斬新なアイデアではある。市井の人々を主人公に据え置くノスタルジックで感傷的な作風はどことなく伊与原新氏に通ずるものを感じるが、SFやファンタジーの要素が入ることで、新たなドラマ性を生み出している。魔法の鉛筆を題材に男同士の友情を描く表題作や歪んだ次元に飲み込まれた競技者の孤独を描く「日曜日の翌日はいつも」も実に読ませる。他の作品も読んでみたい作家。

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    2023年10月16日
  • 黄金蝶を追って

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    国内より先に海外で評価されたというニューカマーによるSFの短編集。とはいえ最先端科学や、テクノロジーに関する尖った議論などとはあまり縁のないファンタジーよりの作風。短編としても、オチの意外性より人間ドラマで勝負するタイプで、基本ハートウォーミング系。渋くてそつがない、いい意味でも悪い意味でも新人さんらしからぬ作風。いいんだけど、新人でこの感じは却ってつまらんと言う人もいそうな感じかな。個人的ベストは「ハミングバード」。

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    2023年08月14日
  • ハンナのいない10月は

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    テンポの良いストーリーテリング。中規模大学とその関連で起きるできごとに巻き込まれる主人公や登場人物。ご都合主義といえばそうだが,人生の奇縁もそんなもの。物語の背景にあるライバル大学からの攻撃?は解決されないが,発生する出来事を通して登場人物が少しずつ成長するので,読後が爽やかで希望がある。伏線は回収しきっておらず,登場人物が老若男女おり,追加の人物もいれやすいので,映像作品化しやすい(それを狙っている?)と思った。

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    2023年08月12日
  • 黄金蝶を追って

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    過去、現在、未来。様々な時代を舞台に描かれるSF短編集。
    しばらくSFから離れていたが、この本を読んでSFの面白さを再認識した。
    いずれも日本が舞台なので想像しやすい一方で、現実から少し浮いたような、ふわふわする感覚がある。
    夏休み、少しいつもと違う雰囲気の中で、この浮遊感を楽しむのも面白いのでは。

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    2023年07月23日
  • ハンナのいない10月は

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    ネタバレ

    ラノベっぽいキャラクター重視の作品なのかな、と期待せず読んでみたら、そんなことはなかった。二人以上の登場人物が「事件に巻き込まれる」ためにはそれぞれ理由が必要で、とくに連作ものだと、「一つ目の話の事件関係者」が二つ目でも三つ目でもずるずる関わっていたらさすがに違和感がある。そういう点でも、特に学生ふたりを毎回の事件に、出しゃばらせず、さらっと登場させていて、上手いなあと思った。

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    2021年10月19日