チョン・ソヨンのレビュー一覧

  • となりのヨンヒさん

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    短編作品集なので、一つずつ簡単に感想を書いていく。



    第一部
    「デザート」
    最初はよく分からず、『付き合った男性がデザートに見える』という世界なのかな……と思いながら読み進めると、ラストで実は『全ての人がデザートに見える世界』という事だった。単純に面白いし、お腹が減る。デザートが食べたくなる作品。

    「宇宙流」
    囲碁の話は半分も判らないし、読んでいてもイマイチ頭には入って来ない。そこから宇宙飛行士を目指す主人公が絡み合う。主人公が事故で宇宙飛行士を諦めた後、どんでん返しで『障がい者を宇宙へ』となるのは、すごいと思えた。囲碁の部分はやっぱりわからないままだったけど、世界が反転するとはこういう

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    2023年12月16日
  • となりのヨンヒさん

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    ・星新一的SF世界観と小川洋子的な静けさが同居した、読んでいて非常に心地の良い短編集であった。

    ・架空の舞台を用意することで、現実世界を舞台にしていては表現することができないもの、もしくは表現することが許されないものを描き出すことができるというのがSFの特徴であり、強みである。しかしその特徴ゆえにSF小説は私にとってあまりに強すぎるメッセージ性をはらんでいることがあり、私はSF小説というだけである程度身構えてしまう。しかしこの小説は私の先入観を良い意味で裏切ってくれた。
    著者チョン・ソヨンは、誰もが持ちうる、私達を取り囲む世界に対する希望や絶望といったようなものを寄り添う筆致で描いている。S

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    2021年02月01日
  • となりのヨンヒさん

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    星新一とか好きな人にはスッと入ってくる感じの摩訶不思議作品。

    「傲慢になれば道に迷う」か。
    文庫になったら買っちゃうかも。

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    2020年07月27日
  • となりのヨンヒさん

    Mer

    ネタバレ 購入済み

    SFの枠を超えた美しい短編集

    宇宙人や未来技術をテーマにしたSFでありながら、新潮クレストで出ていても違和感がないような、美しく静謐な短編集。(逆にハヤカワではなさそう)
    SFの説明は極限までミニマルにそぎ落とされ、SF要素に相対した(多くは複雑な過去を持つ)主人公たちの気持ちを推し量らせる形でそのリアリティを醸している。
    表題作の「となりのヨンヒさん」はやはり秀逸
    凡百の「ハートフルな」異星人交流物とは全然違う、新しい形の絆。最後にヨンヒさんが主人公にかけた「言葉」は、彼女(彼?)の故郷の衛星の美しい火山のように、私の心にも煌きを残していきました

    #癒やされる #ほのぼの #エモい

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    2025年06月11日
  • となりのヨンヒさん

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    毎日新聞にこの作品は星新一を思い出せたと書かれていたから読んだのだが、ぜんぜん違った。この本のほとんどの短編は、なにかの比喩で、作家の言いたいことをSFの手法で表現しているんだとひしひし感じた。もちろん星新一もそうだったろうけど、この作家なら、べつにSF的手法を使わなくても、マジックリアリズム的な路線で描いて欲しいなと勝手に思った。

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    2025年06月03日
  • となりのヨンヒさん

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    異星人やLGBTQなどのマイノリティー、未来ならではの家族関係の中の普遍性など、SFを通していながら今の自分たちと重なる眼差したち。

    SFの配分が絶妙な匙加減で好みだった。
    韓国SFのトーン好きだなぁ。

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    2024年11月08日
  • となりのヨンヒさん

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    なんかこうじわじわ暖かさがある友情と異文化が混じり合う感じが素敵だった…ヨンヒさんはなんて言おうとしてたのかな…おすすめは「養子縁組」と「となりのヨンヒさん」

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    2024年10月21日
  • となりのヨンヒさん

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    れっきとしたSF小説でありながら、韓国の実状を描いた現代小説でもあるという稀有な短編集。定番のパラレルワールドを舞台にした著名なSF作家に捧げるオマージュ作品にしても北朝鮮との表裏一体の有り様を彷彿せざるを得ない。

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    2022年06月13日
  • となりのヨンヒさん

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    はじめての韓国女性SF作家作品。人気エリア賃貸物件が格安な訳はお隣の住民がガマガエルのような異星人だったから。宇宙を夢見るも事故で下半身付随になった娘は
    囲碁武宮九段宇宙流で人生教訓を学ぶ。亡くなった人の顔が現れる海がある町の出身の女子など。ちょっとだけ変わったお話が多数。まだまだ日本同様男性社会のお隣韓国程よいフェミニズムSF短編集はなんだか心地よいです。

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    2021年08月11日
  • となりのヨンヒさん

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    設定はガチSFだし、どちらかといえば淡々とした、心理描写少なめの文章なのに、情緒に訴えかけてくるものがある。本から慈しみのようなものが滲み出ている気がする。(マイノリティや、理解されることが難しい事情を抱えた人々への)

    試し読みを勧めるなら『宇宙流』〜『雨上がり』、『引越し』を選ぶ。

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    2021年07月07日
  • となりのヨンヒさん

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    ネタバレ

    うーんなるほど。作者がジェームズ・ティプトリー・ジュニアに影響を受けたこと、よくわかる。
    SFだが、情緒に訴えるところも、生きとし生けるものへの深い愛情を感じさせるのも良い。
    パラレルワールドものでジェームズ・ティプトリー・ジュニアが出てくる「アリスとのティータイム」、人に紛れて暮らす異星人を養子にした女性と異星人の友情を描く「養子縁組」、隣に暮らす異星人との交流を描く「となりのヨンヒさん」が特に良かった。「ヨンヒさん」は、最高。人種差別の暗喩ではあるだろうけど、それだけではない。人間からは「ガマガエル」と蔑まれる容姿の異星人の、故郷を思う心情と、人間との束の間の友情は本当に切ない。異星人が「

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    2020年06月28日
  • となりのヨンヒさん

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    ネタバレ

    どこかの新聞で紹介されてたんだと思うが、タイトルだけメモして、どんな風に書いてあったかは忘れてしまった。唯一「韓国のSF小説」であるということだけ。
    とは言え、慣れるまではちょっと戸惑い、なかなか進まなかった。一つ言えるのは、私がこれまで読んできた日本のSF小説とは大分趣が違ったということだ。まぁ、言うほど日本のものも読んでないけど。
    ほぼ短編集と言って良い。独特の世界観があった。最後の数篇は同じ世界線の別の話だが、これも交わることはなく。訳者があとがきに書いておられるように、様々な社会的背景などが内包されているらしい。例えば朝鮮半島における問題であるとかも。ただそれを知らずとも読める。どれに

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    2025年10月15日
  • となりのヨンヒさん

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    SFということで身構えていたが、弟のために進路を諦めたり、家賃を気にしたりと、共感できるポイントがいくつもあって、読みやすかった(女性で男嬉って名前は嫌だよね)。「アリスとのティータイム」と「となりのヨンヒさん」が特にお気に入り

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    2024年08月27日
  • となりのヨンヒさん

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    軽やかで日常的で、sci-fiというより「すこしふしぎ」の方が合いそうな短編群には、共通してどこか寂しさ、寄るべなさ、喪失の痛みが感じられる。個人的には、間違った世界に存在してしまったことで親からすら存在を忘れられてしまう少女と、それを見抜き、世界の「チャンネル」を合わせようとする教師の作品がとても印象的だった。

    韓国の女性作家の作品を読むと、ああ同じ痛みだ、と感じることが多い。もちろん、異なる歴史的記憶(そしてその中にある日本はもちろん加害者である)、異なる社会制度、異なる痛みの方が多いのだが、やはり文化・思想的土壌の近しさとそのなかに生きる人、女性、として、確かに同じ感覚を私たちは共有し

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    2024年08月24日
  • となりのヨンヒさん

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    チョン・ソヨンさん
    初読みの作家さんです
    と言っても、韓国文学自体をまだまだ読んでいないのでほとんど初読み作家さんですが…

    本作は、SFやファンタジー、フェミニズムにLGBTを扱った十一の短篇と四つの連作短篇が収録されている

    いくつか簡単に紹介してみると
    「となりのヨンヒさん」
    となりの部屋に住んでいる異星人を少しずつ理解し、友情を育んでいく話

    「最初ではないことを」
    中国に留学した友人が得体の知れない伝染病にかかり、前例のない手術を受ける過程を見守った話

    「跳躍」
    身体も管制もサイボーグに変わっていく人の気持ちを描いた話

    「アリスとのティータイム」
    パラレルワールドを描いた話
    (こ

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    2023年09月16日
  • となりのヨンヒさん

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    韓国人女性作家の書いたSF短編集。“韓国+SF”ということで最近勢いのある“中華系SF”を連想したが、設定や小道具がそれっぽいというだけで、わりと普通の小説だった。日本の純文学系にもありそうな話で、がっつりSFを期待すると肩透かしを食らうが、ちょっと奇妙なだけで内容はおもしろかった。奇妙さの下に見え隠れする韓国の歴史や社会(映画でも話題になった“半地下”や南北問題など)を踏まえて読めば、より楽しめるのではなかろうか。

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    2020年12月31日