マーガレット・ミラーのレビュー一覧

  • 鉄の門

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    ずいぶん前の作品なのに、人間のおどろおどろしい心理や家族関係の機微がしっかり描かれていて、ふとした瞬間に私もこんな事思ってる、と愕然とする。ずっとミラー氏を読み続けてて、心が消耗されてしまった。

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    2021年01月15日
  • 鉄の門

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    ドロっと暗くなる読み応え。重かった。予想外の結末とかではないのだけど、人が追い込まれていくとどうなるのか、狂気と正常の境目はどこなのか、そういうのが人ごとでなく、自分のことと曖昧に重なっていく怖さがあった。

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    2020年12月04日
  • 鉄の門

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    サスペンス要素の強いストーリー。正気を失った人間の心理描写が巧みで、雪の上を裸足で彷徨うひんやりした感覚を終始味わった。絡まっている各人の行動にサンズの観察力と推理力が全体にうまく糸を通し、結末が静かに導かれていくさまにミラーの巧さを感じた。

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    2020年11月12日
  • 鉄の門

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    サイコスリラーと呼べばいいのでしょうか?物理じゃなくて精神的に殺しに行く感じ怖い。でも何人かは物理で殺すのも怖い。

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    2020年08月15日
  • 鉄の門

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    読んでいて決して気持ちがいいわけではないし、ミステリ的にも気持ち的にもスッキリするわけではない。でもぐんぐん読まされちゃうんだよねー。冒頭からして不穏な空気プンプンで、人物の描写は辛辣で、私はやっぱりいいなあマーガレット・ミラー。

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    2020年02月14日
  • 鉄の門

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    マーガレット・ミラーをどんどん読んでいます。
    そして彼女の作品に対しては、期待とか予想といったものを持たず、ただその「どことなく不穏な空気感」に身を委ねるのが良いと気づき始めました。

    タイトル『鉄の門』は、一義的には精神病院と外の世界とを隔てる門のこと。
    読み終わった今となってはその意図がわかりますが、第二部の描写はとにかく読むのがしんどかった……。あの聡明なルシールがなぜ、と。
    ここは、再読するのがかえって怖い部分かもしれません……。

    およそ明快なラストとは言い難いですし、特に楽しい気分になれるわけではないのですが、なぜかぐいぐい惹き込まれてしまうマーガレット・ミラー。
    この不安な感覚、クセになるな〜。

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    2026年05月17日
  • 鉄の門

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    ネタバレ

    霧の中から少しずつ姿を現すものを描く。夢と現実のあわいを見据えるような練った文章は、不思議な世界の楼門のように読者に向かって開いていく。
    外に積もった雪の公園をミルトレッドが歩いていく、頭が割れて赤い血が雪を汚している。呼んでも聞こえないのかどんどん小さくなっていく。時折振り返る顔は人形のようで、小さい笑顔はいつまでも鮮明で、、、ルシールは胸苦しさに夢から醒める。

    ルシールは何度も修復したミルトレッドの肖像画を見上げて思う。夢なんてばかばかしいわ。

    ルシールは先妻のミルトレッドの友人だった。しかし、彼女が亡くなって後妻に入った。
    密かに愛し続けていた医師のアンドルーが今はルシールの夫になって16年が過ぎた。
    小さかった先妻の子、兄妹も成長した。アンドルーの妹イーデスが独身のまま同居している。

    二人の使用人と家庭を切り回しているが、家族とはお互いに心から馴染んだことがなく常に他人の感覚がつき纏っている。

    娘のポリーの婚約者が来ることになった。ルシールとイーデスは準備のために残ったが家族は駅まで出迎えに出発した。到着するはずの列車が脱線事故で遅れた、救助の手伝いをしている、帰りは遅くなると連絡があった。ルシールはまたいつものように家族に入り切れていない孤独感を覚える。

    小さな箱をもった小男がドアをたたいた。その箱を開けたルシールは悲鳴を残して、外に消えた。

    アンドルーは警察に届けた。妻が行方不明でそれが奇妙なんです。巡査部長は思う。行方不明なんて奇妙なものさ。

    サンズ警部は聞き込みに行く。美容院で髪を切ったのがルシールらしいと。確かにここまでは来たようだ。
    彼は16年前のミルトレッドの悲惨な事件を覚えていた。

    ルシールは湖で見つかった。水の中で夢のように死を見つめていた。死ぬのね。悲鳴を上げ続けた細く細く何度も何度も。
    アンドルーが手を差し伸べても彼女はまだ叫び続けていた。救急車が来て病院に収容された。ルシールにとって大きな鉄の門と塀のある建物はとても安全なところに思えた。

    同室のコーラは正常な神経を持っていたが、一人暮らしより入院を選んでいた。彼女は頼りになるとルシールは感じていた。家族は毎日見舞いに来た、誰にも会いたくない。アンドルーとだけ暮らしたい。
    いつも悪夢が押し寄せてくる。気味の悪いものが見える。

    サンズ警部のところに子供が湖で箱を見つけたと言って来た。中には気味の悪い指が入っていた。

    ルシールの入った門の中の共同体は自給自足で営まれていた。
    この共同体の父親役は精神分析医から病院経営者となったネイサン医師、母親役は効率的でありほがらかでありながら冷静な看護師の一団が担っていた。空想癖のあるものや鑑賞主義者、芸術趣味の人間はスタッフとして受け入れてもらえない。想像力の豊かな者は危険な場合があるし、感情に流されやすいものは病棟全体の平和を乱しかねないからだ。

    その点ルシールを担当しているミス・スコットは優秀だった。
    混乱しているルシールはサンズにあっても恐怖しか涌かない。しかし彼から小男のグリーリーが死んだ、殺されたと知らされて訳もなく安心して、指の入った箱を受け取った所から彼に脅迫されたいきさつを話す。
    まわりで事件は続く。家族が持ってきたブドウを食べてコーラが死んだ。
    ルシールは言葉が明確に出なくなっても、家族を疑っていた。それを話すが、部屋を移され新しい看護師が付いた。散歩に出たが隙を見てルシールは高い塀から外に飛び降りた。
    みんな待っている私のカタが付くのを、だから塀を上って逃げる。

    ルシールの葬儀が行われた。サンズの仕事もカタが付いたとみんな思っていた。しかしサンズは「死の数」を忘れなかった。
    コーラの姉がそっと葬儀を見ていた。そこでイーデスと会う。二人は悲しみで繋がる。
    そして物語の鍵になるものに気が付く。

    サンズの頭の中にもつながったものがある、やっと犯人の意図に行きつく。

    ルシールが夢うつつで自分を見失ったのはなぜか、家族は皆彼女の敵だったのか、ルシールの怯えは何か。家族の心理はルシールの疑心暗鬼か、複雑に絡んだ糸は連続殺人に姿を変えて4人の命を奪った。狂ったのか。それともストレスによる混乱なのか、ルシールの世界はミラーの創造の世界を映している。
    終わりまで誰がなぜという答えが見えなかった。入院者の異常な行動もはさんで、物語の底は深い。
    ただルシールの混濁したままの話は、わずかながら技巧にすぎるようにも感じた。

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    2026年02月07日
  • 鉄の門

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    箱の中身や犯人の謎もさることながら,ヒッチコックばりの精神的に追い詰められていくルシールの恐怖にこちらも引き込まれながら読んだ

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    2020年09月01日
  • 鉄の門

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    身知らぬ男が持って来た小箱の中身を見て、突然失踪する後妻の女性。小箱の中身は何なのか、ということが謎なのかとも思われるが、そこはあまり重要ではない。人が人を心理的に操作できるのかという見地から、全体を振り返るのが妙味だと思う。会話や手紙の一語、一文に示される表の意味と隠された意味、その描写は作者ならではである。

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    2020年05月19日