あらすじ
十六年前に謎の死を遂げた親友ミルドレッドの夫である医師アンドルー・モローと再婚したルシールは、一見平穏なその生活の裏側で、アンドルーを溺愛する義妹や自分から距離を置く継子たちとの関係に悩み続けていた。そんなある冬の日、謎めいた男がモロー家を訪れ、ルシール宛の小箱を渡して立ち去った。その箱を開いた後、彼女は何も言い残さず、行方をくらましてしまう。なぜ彼女は姿を消したのか。その箱の中身はいったい何だったのか。心理ミステリの巧手ミラーの初期を代表する傑作、待望の新訳で復活。/解説=春日武彦
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Posted by ブクログ
ずいぶん前の作品なのに、人間のおどろおどろしい心理や家族関係の機微がしっかり描かれていて、ふとした瞬間に私もこんな事思ってる、と愕然とする。ずっとミラー氏を読み続けてて、心が消耗されてしまった。
Posted by ブクログ
ドロっと暗くなる読み応え。重かった。予想外の結末とかではないのだけど、人が追い込まれていくとどうなるのか、狂気と正常の境目はどこなのか、そういうのが人ごとでなく、自分のことと曖昧に重なっていく怖さがあった。
Posted by ブクログ
サスペンス要素の強いストーリー。正気を失った人間の心理描写が巧みで、雪の上を裸足で彷徨うひんやりした感覚を終始味わった。絡まっている各人の行動にサンズの観察力と推理力が全体にうまく糸を通し、結末が静かに導かれていくさまにミラーの巧さを感じた。
Posted by ブクログ
読んでいて決して気持ちがいいわけではないし、ミステリ的にも気持ち的にもスッキリするわけではない。でもぐんぐん読まされちゃうんだよねー。冒頭からして不穏な空気プンプンで、人物の描写は辛辣で、私はやっぱりいいなあマーガレット・ミラー。