毎日新聞「幻の科学技術立国」取材班のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現代において「科学技術立国 日本」という姿を真と捉えているものは多くないだろう。基礎科学を中心としたノーベル賞の受賞は、その姿が是であったかつての残滓として、もう数年は続くのかもしれないが、その先どうなるかは分からない。
本書は科学技術立国がどのように幻想の産物となり果てていったのかをアカデミアや製造業・情報通信などの民間企業のトップや研究者たちへのインタビュー、中国をはじめとする海外の科学技術に対する注力具合やその投資の実態などに基づいてまとめられたノンフィクションであり、幻想の崩壊を実感できる優れた一冊。
これを読むと、崩壊しつつある日本の科学技術をどう立て直すかは、文科省に代表される -
Posted by ブクログ
「Japan as No.1」と賞され、科学技術立国と呼ばれ、米国らの基礎研究にフリーライドと揶揄されながらも実用技術で世界市場を席巻した日本もいまや四半世紀以上前の話。論文数ではトップグループの後塵を拝し、実用化では他国に抜かれる一方である。こうした背景として他国躍進のほか、国家戦略の失策、大学改革を本書は指摘する。毎日新聞社編のため綿密な調査と鋭い洞察が光り、偏りのない多方面に渡るキーマンへのインタビューが内容に厚みを与えている。
本書は良書だが、但し額面通りに受け取るには注意が必要だ。「昔はよかった」的な論調になっているが、そもそも昔の日本が科学技術関係者にとってハッピーだったのか。潤 -
Posted by ブクログ
ネタバレ毎日新聞の連載記事が元となった一冊。取材が基本なので多くの関係者の主張が紹介されるに留まるが、この20年の日本の科学界の歩んできた衰退の経緯を振り返るのにはとても便利。いわゆるPDCAのCの部分だけど、日本には基本的にこのCは無くてPDのみのドードー巡りが続いているのかもしれない。官僚の無謬性の原則というやつかもしれない。犯人捜し、責任追及をしても仕方ない(本書では何となく犯人が特定されている)が、この20年の敗戦への道を精査して、どうしてこうなったかを理解することは大事だろう。
この本を読んで、「(官邸)トップダウンによるスピーディーな意思決定、効率化」って、要は、社会主義体制、共産党独裁的