高垣眸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大正期から昭和10年代前半までに発表されたホラー短編を集めたアンソロジー。ただし、当時ホラー小説で中心的な存在だった<新青年>以外のものを収録している。要はマイナーな作品を集めたと言えるだろう。各編には、編者による作者の紹介と解説がついている。それぞれ、調べられる限りの詳細なものだと思われる。
こうしたマニアックな本は、残念ながら増刷される可能性は低いと思われる。今買っておかないと後悔するかもしれない。積読でも良いから購入を薦める。
なお、ホラー小説は「怪談」と違って、ジトーッと肌にまつわりつくような湿気がないように感じる。気候風土や生活様式の違いがあるのだろうか。 -
Posted by ブクログ
大正から昭和初期にかけてに博文館の「新青年」意外の雑誌などに発表された怪奇・恐怖小説を集めたアンソロジー。
「新青年」以外からとるという縛りゆえか、角田喜久雄と「豹の眼」の高垣眸を除けば(エロ関係の読み物で高田義一郎は知っていたが)知らない作家ばかりだが、逆にそれがこのアンソロジーをバラエティに富んだものにしている。
収録作の中では、高田義一郎の「疾病の脅威」が後の赤塚不二夫を思わせるグロテスクなコメディで印象的。米村正一の「恐怖鬼侫魔倶楽部奇譚」は日本におけるスナッフ映画を題材にした先駆的な作品。岩佐東一郎「死亡放送」は明日死亡する予定の人物のリストがラジオ放送で読み上げられるという今時の