周燕飛のレビュー一覧

  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    わかりやすく興味深い。恐ろしい本だった。
    個人的に6章「幸せ」が興味深かった。専業主婦と働く女性の幸福度の乖離が高い日本。そうか、もともと諦めていれば、虚しさも悔しさもないのか、と思った。
    この本の趣旨とはずれるが、私は働く女性サイドで、性差関係ない事項含めて毎日虚しさや悔しさを感じさを感じる。家に帰れば「女の仕事」である家事子育てを当然のようにこなす。男性で「男の仕事」が苦手な人だってたくさんいる。性差による分業意識ななくなれば、みんなにとって生きやすい社会になるのに。ジェンダーギャップ指数の低順位との関連も強く感じた。
    貧困なのに自分の意志で専業主婦を選択する彼女らの基盤に、「主婦の仕事を金銭評価しない(ゆえの、本人にコスパ意識、時給換算感覚がない)」「3歳児神話、手作り礼賛」「良妻賢母」等のクソみたいな価値観が絶大な影響力をもってることにおののいた…。自分で自分を縛ってる。

    第1章 ルーツ
    ■明治時代は主婦の8割が一次産業従事の家庭のため、みんな家業の働き手。一方60〜80年代の専業主婦は核家族、少ないこども、三種の神器の台頭 めちゃくちゃ楽。専業主婦にとって最も幸せな時代
    第2章 行き詰まり
    第3章 貧困
    第4章 格差
    ■貧困、低収入世帯の専業主婦の多くは「自分の手で子育てしたい」「家事と育児をきちんとやりたい」など子供のために現在の苦しい経済状況に対応しているよう。
    第5章 ズレ
    ■専業主婦に仮に自分が就業したら子供のしつけが行き届かなくなることについての意見を調査したところ 肯定的な意見を持つものは全体の6割強を占めている。末子が6歳以下であったり3人以上の子を持つものは賛成する割合がさらに高まる。
    第6章 幸せ
    ■日中米韓幸福度に関する研究 米中は個人収入と幸福度が比例、日韓は世帯収入と幸福度が比例
    ■働く女性と専業主婦の幸福度格差 日本は世界2位(専業主婦のほうが幸福度が高い)子どもが健康で学業成績が一定良好で夫婦仲が一定良好であれば年収に関わらず幸福度高い傾向→一方で、「幸せ」は事実か虚像か。
    第7章 理由
    第8章 罠
    ■欠乏の罠 時間の欠乏はお金である程度 解消できるが、お金が欠乏していれば時間の欠乏にさらに拍車がかかる。お金と時間の欠乏は人との付き合いを制約して社会関係の欠乏を呼ぶ。社会関係の欠乏は情報の欠乏に、情報の欠乏はさらなるお金の欠乏を招く
    ■サマリア人のジレンマ
    第9章 第3の道
    ■合理的な選択が難しいシチュエーション ①後払い式のコスト構造 ②難解さ ③低頻度 ④フィードバックの欠如 ⑤選択肢への不理解

    0
    2023年05月26日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    ミクロの事例紹介からマクロ的なデータに基づく分析へと進み、そこから原因をあぶり出し解決へのガイドラインを示す、社会科学の研究のお手本のような本。行動経済学が分析のツールとして有効に使われていて、個々の不可解な事象が明快に説明されていく様に何度も膝を叩いた。
    日本のすべての政治家にこの本を読んでほしい。

    0
    2022年01月21日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    貧困専業主婦。周燕飛先生の著書。女性であろうと男性であろうと、働く働かないは個人の自由だし、専業主婦や専業主夫になる権利は誰にでも平等にあるはず。でも、今は少子高齢化でどこも人手不足。貧困専業主婦や貧困専業主夫であれば、主婦や主夫ではなくて働いて収入を得るという選択肢もあると思う。それに、欧米の先進国と比べると時代遅れで周回遅れの日本社会も女性の社会進出がようやく認められきたから、女性でも能力や経験を活かした活躍ができる職場が以前よりも増えてきているし。

    0
    2019年08月19日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    専業主婦は、意外なことに貧困層に多い。そして、意外なことに、貧困層の専業主婦は、幸福感が高い人が多い。
    しかし、それは、貧困層の専業主婦は、情報力が低く、勤務することの短期的な負担を過剰に評価しているためではないか。
    リスクの高い専業主婦は、再就職可能な職種でない限り、避けるべき。

    0
    2023年04月05日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    女性が結婚、出産を機に退職すると正社員での再就職がどれほど困難かを考えさせられた。
    また、昔は「高収入の旦那と専業主婦」が勝ち組とされて裕福の象徴であったが、それは過去の話で現代では貧困でも専業主婦を貫く人が多いそう。
    また、例として世帯収入が中央値以下の幾つかの子持ちファミリーが取り上げられていて、専業主婦でいる理由を解説。そしてそれの理由は、自分自身が正社員の経験がないこと、ブランクがあること、中卒、持病、子供が持病、などなど。
    正直、これらのモデルは計画性がないため自分自身で首を絞めてると感じた。
    まず旦那の給料が100〜200万で結婚、出産(しかも複数)、デキ婚、正社員経験やキャリアがないのに結婚に逃げる、等。計画性の無さと他人に全て委ねると危険。
    著者の言う通り、短期的に見れば専業主婦を選ぶ方が得だが、長期的には正社員で戻れないこと、お金の不自由など損なことが多いと思う。
    そのため判断時は短期的、長期的に見てどうなのかと冷静に考えるようにする。

    ・計画性を持つ
    ・選択肢を持てるくらいに稼ぐ(そしてライフイベント迎えても退職しない)
    ・自分が主導権を握る

    0
    2023年03月14日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    様々な統計を駆使して、専業主婦の実態を解析した好著だが、高度成長期の残滓がいろいろ形で存続し、現状に見合った形で変更を加えてこなかった政府の無策ぶりが炙り出された感じだ.著者は中国人女性だが、学者として冷静に日本の弱点を指摘している点が良かった.あまり耳にしない用語として、貧困の罠、欠乏の罠、時間選択率 など、状況を的確に示すものが紹介されていたのも素晴らしいと感じた.何度も指摘されていたのは、「長中期的には、貧困家庭の母親が保育所を利用して働きに出ることは、子どもの健康や教育に良い影響を与える」という解析結果だ.この観点から保育所の充実は達成すべき緊急の課題だと思う.

    0
    2022年06月17日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ●貧困でもなぜ専業主婦を選択するのか? 統計をつかって、時系列にわかりやすく説明してある。要因としては以下の要因を挙げている。
     欠乏の罠:貧困に陥ることで時間的にも金銭的にも欠乏やすく、長期の視点に立った考えが出来なくなる。
     政策の罠:配偶者手当、社会保険料を負担しない「103万円の壁」によるもの。政策によるもの。
     子供を小さい内は家で育てたいという考え、保育園に対する考え方なども大きく影響しているという。
    政策として「リバタリアン」と「パターナリズム」の折衷案を提案。政府は個人の選択の自由を尊重しながら、情報提供し、情報不足による選択ミスを避けるように誘導することを提案。

    0
    2021年10月17日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    今の日本は、「大黒柱」が「柱」でなくなっている。にもかかわらず、柱を陰で支える専業主婦を自ら選ぶ人が少なくありません。

    私の娘が3歳前後だった10年前は、まだまだ「3歳児神話」が台頭していました。今では少しトーンが落ちたかもしれませんが、ママ向けセミナーなどでキャリアの話になると、やはり3歳児神話は健在です。

    「女性は外で働けば働くほど、自らの余暇時間が減る」
    誠にその通り。疲弊しているママのいかに多いことか。

    第7章で、専業主婦になる理由が述べられています。
    貧困であっても、専業主婦には、なりたくてなっている人が多い。母親自身の経験から、思い込みで、就業するより子育てをすべきという理由で、専業主婦を選んでいる。また、日本の社会の完成度が高いために専業主婦が多いと考察しています。

    施策として挙げられている「お試し保育」は、私も有効だと思います。働いていないと保育を受けられないという不可思議な制度は廃止し、ゆるい預け方、働き方にも柔軟に対応できたら良いと思います。

    結論部分に書かれていたように、仕事との両立が難しい子育て初期に、夫の家事・育児参加の機会を増やすことも効果的だと思います。

    0
    2021年01月13日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    「旦那さんの稼ぎが良いのに、なんで仕事を辞めないのですか?」
    「子供は3歳までは母親が見てあげるべき」

    そんな風に、子育て中のワーキングマザーに言う人は、今でも少なくなく、その多くが同性から言われている。未だに、専業主婦というカテゴリーは、勝ち組的なイメージがついているようだ。

    実は、専業主婦の8人に1人が貧困に直面している現実。
    そして、自分がメンタル疾患を抱えていたり、子供が待機児童であったり、病気の子供や親の介護が必要であるなど、働きたくても働けない「やむを得ない理由」を持つ専業主婦は、全体の2、3割に過ぎず、残りの大多数は、働けるのに「子育てに専念したいから」という理由で専業主婦をしている。
    (子育てを頑張りたいという意思は尊重するが)

    でも、一旦、正社員のキャリアからハズレると、元に戻るのは、かなり難しい。それが、今の日本の女性キャリアの典型。

    大卒から定年まで正社員で働いた場合と、途中で退職をしてパートで働いた場合との生涯年収格差は、少なく見積もっても1億円以上。
    日々の生活で精一杯になっている時には、人々は将来のことを考える余裕がなく、近視眼的に行動をしてしまうという「欠乏の罠」。
    その結果、貧困専業主婦が発生してしまう。
    そして、その貧困は、大事なはずの子供の教育、将来にも大きな影響を与えてしまうということをキャリアの中断をする前に、是非とも考えて欲しい。

    生涯年収格差についての知識はあったが、貧困専業主婦の存在や、専業主婦でいる理由の中身は知らなかった。
    この本で紹介されているケースの貧困は、ほんとうに驚くくらいの貧困。

    キャリアカウンセラーとしては、キャリア中断のクライアントには、「欠乏の罠」にハマるのではなく、どうやったら中断せずに両立できるか?を一緒に考えるカウンセリングがしたいと思った。

    0
    2020年07月11日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    一見、収入の多い家庭の方が多そうな専業主婦。実は貧困な家庭の専業主婦は高いという。その現実から背景、女性の能力の活用まで広範囲に分析し提言した一冊。

    専業主婦であることで失われる損失、逸失利益は実は大きいという。子育てや病気などの理由で専業主婦となることを余儀なくされる主婦。また子育て一段落後の復帰の道も狭い。

    専業主婦が日本経済を支え、それを誘導してきたとも言える政府や大企業。

    当事者にならなくては気づきにくい多くの現実を明らかにした一冊。

    0
    2020年06月27日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    貧困層の専業主婦が想像より遥かに多いこと、しかもやむを得ない事情でなく、自ら望んで就業していない人もかなり多いことを知り、全く理解できず唖然とした。
    しかしながら、それでもなお幸福度はかなり高いことが示されており、更に驚かされた。
    確かに、3歳児神話を盲目的に信じ、合理的判断が出来ていない可能性はあるが、自ら選択し、しかもその結果に幸福を感じているのであれば、無理に働かせることが本人にとって良いことなのかについて自信がない。
    それでも食べることに困るような貧困状態はあってはならないので、このような家庭にも援助が必要であると思う。(自助努力の好きな日本人の多くには受け入れられない意見だとは思うが)

    0
    2020年01月17日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    前半は、統計データやインタビューなどが題材で、やや退屈だったが、8章、9章は専業主婦の行動経済学とでも言えそうな内容でなかなか興味深かった。

    「専業主婦を弱い経済的立場から脱出させるためには・・・」というくだりは、ふむふむと思いつつ、言うは易く行うは難しかなぁ。

    0
    2024年09月23日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    多くのデータをもとに、「好んで専業主婦になることは、個人ベースでも社会的にもマイナスが大きいともっと個々人に浸透するよう働きかけるべし」というメッセージを伝えた本。

    わかるんだけど、パート主婦当事者としては、そんなこと言ってられないくらい大変だし、助けはないし、主婦を選んだ女性の自己責任だけにしないでほしいと強く思う。
    望まない転勤、休めない長時間労働など男性側の働き方が変わらないと、有職主婦になったところで不可は妻にのしかかるだけ。
    それをおそれたら、今度は子どもをもつことに回避的になるおそれもあると思う。

    わかるけど、わかるけど…という歯痒さが残った。
    少子化にしても晩婚化にしても、当事者の責任と切り捨てられるのはつらい。「そうせざるを得ない状況がある」というメッセージがあれば救われた。

    0
    2021年09月07日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    専業主婦は、旦那がムッチャ稼いでいる家庭だは多いだろうが、実は、貧困家庭と分類される世帯でも多い。
    それは、家族の健康面などの問題はあるが、実のところ、望んで専業主婦でいる。その人たちは経済面での不安を感じながら、幸せを感じている。
    ただ、それは、本当に様々な条件を加味しての、合理的な判断なのだろうかと問いかける。
    確かに、人間てのは常に全ての条件を理解して、最適な判断をしているわけではない。その論は、本件にかかわらず大変に面白い。社会としても考えることは山ほどあるな。

    ただ、専業主婦が本来働いて入れば得られる損失利益は2億円だと言うのだが、誰がその2億円を払うのだ。
    その方が2億円稼ぐとすれば、誰かが2億円失おうのではないのか。専業主婦が働くと、市場が2億円拡大するのか。

    その辺はちょっと疑問。

    0
    2020年06月24日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

     「貧困」と規定された専業主婦像を通して専業主婦全般を語るストーリーに議論の混乱を感じるところがある。ただ、それでも社会の歪みを考えるひとつの示唆となっている。
     少子高齢化を背景に普く労働力の拡充が求められる現実がある。社会の仕組みが適応しないために女性が働くことで少子化が進んできたのか、そのあたり、本書の議論の背景を構成すると考えられるところへの言及はない。
     専業主婦は社会悪なのだという価値観が少々強い印象がある。このあたりは一般的意見の違いが多いところだろう。
     日本経済が凋落の度合いを増す情勢において、本書のようなテーマが本当に増えてきた。伝統的な専業主婦を抱えきれなくなった日本経済。であれば、本書ももっとエッジの効いた議論を提示してもよかったのではないか。例えば、子育てを家庭からすべて外部化して、生まれた子どもはすべて子育て施設へ完全に預けられ、家庭は子育てから解放されることで完全な市場生産主体となる日本社会というのも極端ではあるが選択肢のひとつだろう。
     一方、やはりこの手の著書にありがちなこととして、子どもの目線からの話は皆無である。

    0
    2019年10月27日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    データが示されているが投げっぱなしではなく、例えば、専業主婦のほうが共働きより幸福度が高くなっているが、実際話してみると専業主婦の幸福の水準が著しく低かったりするという話が興味深い。最終学歴等やら年齢層やらいろんな切り口で分析されているが、知能指数別でちゃんと分析されていたら尚良かった。

    0
    2019年10月05日
  • 貧困専業主婦(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    専業主婦のライフスタイルを世帯年収や幸せ度など様々なデータで紹介されていて説得力があります。

    専業主婦を選ぶ女性に見られる概念がいくつか紹介されていて、制度的な問題も参考になりました。

    ・欠乏の罠
    日々の生活で精一杯になっている時には、人々は将来のことを考える余裕がなく、近視眼的に行動してしまう。

    ・制度的罠
    専業主婦世帯向けの税や社会保障制度面の優遇政策は、いつの間にか多くの日本家庭を「専業主婦」モデルの枠内に捕えてしまう。

    ・貧困の罠
    生活保護制度などの低所得者のための生活援助制度を利用している家庭が、就労するなどしてそこから脱却しようとしても、援助が打ち切られたり、減額されるなどして、かえって苦しい生活に追い込まれる。

    ・サマリア人のジレンマ
    苦しむ人々に惜しみない同情と援助を与えると、困っている人の自助努力を弱め、さらなる援助への期待を助長するジレンマを招く可能性がある。

    0
    2019年09月23日