周燕飛のレビュー一覧
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わかりやすく興味深い。恐ろしい本だった。
個人的に6章「幸せ」が興味深かった。専業主婦と働く女性の幸福度の乖離が高い日本。そうか、もともと諦めていれば、虚しさも悔しさもないのか、と思った。
この本の趣旨とはずれるが、私は働く女性サイドで、性差関係ない事項含めて毎日虚しさや悔しさを感じさを感じる。家に帰れば「女の仕事」である家事子育てを当然のようにこなす。男性で「男の仕事」が苦手な人だってたくさんいる。性差による分業意識ななくなれば、みんなにとって生きやすい社会になるのに。ジェンダーギャップ指数の低順位との関連も強く感じた。
貧困なのに自分の意志で専業主婦を選択する彼女らの基盤に、「主婦の仕事を -
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女性が結婚、出産を機に退職すると正社員での再就職がどれほど困難かを考えさせられた。
また、昔は「高収入の旦那と専業主婦」が勝ち組とされて裕福の象徴であったが、それは過去の話で現代では貧困でも専業主婦を貫く人が多いそう。
また、例として世帯収入が中央値以下の幾つかの子持ちファミリーが取り上げられていて、専業主婦でいる理由を解説。そしてそれの理由は、自分自身が正社員の経験がないこと、ブランクがあること、中卒、持病、子供が持病、などなど。
正直、これらのモデルは計画性がないため自分自身で首を絞めてると感じた。
まず旦那の給料が100〜200万で結婚、出産(しかも複数)、デキ婚、正社員経験やキャリアが -
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様々な統計を駆使して、専業主婦の実態を解析した好著だが、高度成長期の残滓がいろいろ形で存続し、現状に見合った形で変更を加えてこなかった政府の無策ぶりが炙り出された感じだ.著者は中国人女性だが、学者として冷静に日本の弱点を指摘している点が良かった.あまり耳にしない用語として、貧困の罠、欠乏の罠、時間選択率 など、状況を的確に示すものが紹介されていたのも素晴らしいと感じた.何度も指摘されていたのは、「長中期的には、貧困家庭の母親が保育所を利用して働きに出ることは、子どもの健康や教育に良い影響を与える」という解析結果だ.この観点から保育所の充実は達成すべき緊急の課題だと思う.
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ネタバレ●貧困でもなぜ専業主婦を選択するのか? 統計をつかって、時系列にわかりやすく説明してある。要因としては以下の要因を挙げている。
欠乏の罠:貧困に陥ることで時間的にも金銭的にも欠乏やすく、長期の視点に立った考えが出来なくなる。
政策の罠:配偶者手当、社会保険料を負担しない「103万円の壁」によるもの。政策によるもの。
子供を小さい内は家で育てたいという考え、保育園に対する考え方なども大きく影響しているという。
政策として「リバタリアン」と「パターナリズム」の折衷案を提案。政府は個人の選択の自由を尊重しながら、情報提供し、情報不足による選択ミスを避けるように誘導することを提案。 -
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ネタバレ今の日本は、「大黒柱」が「柱」でなくなっている。にもかかわらず、柱を陰で支える専業主婦を自ら選ぶ人が少なくありません。
私の娘が3歳前後だった10年前は、まだまだ「3歳児神話」が台頭していました。今では少しトーンが落ちたかもしれませんが、ママ向けセミナーなどでキャリアの話になると、やはり3歳児神話は健在です。
「女性は外で働けば働くほど、自らの余暇時間が減る」
誠にその通り。疲弊しているママのいかに多いことか。
第7章で、専業主婦になる理由が述べられています。
貧困であっても、専業主婦には、なりたくてなっている人が多い。母親自身の経験から、思い込みで、就業するより子育てをすべきという理由 -
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「旦那さんの稼ぎが良いのに、なんで仕事を辞めないのですか?」
「子供は3歳までは母親が見てあげるべき」
そんな風に、子育て中のワーキングマザーに言う人は、今でも少なくなく、その多くが同性から言われている。未だに、専業主婦というカテゴリーは、勝ち組的なイメージがついているようだ。
実は、専業主婦の8人に1人が貧困に直面している現実。
そして、自分がメンタル疾患を抱えていたり、子供が待機児童であったり、病気の子供や親の介護が必要であるなど、働きたくても働けない「やむを得ない理由」を持つ専業主婦は、全体の2、3割に過ぎず、残りの大多数は、働けるのに「子育てに専念したいから」という理由で専業主婦を -
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貧困層の専業主婦が想像より遥かに多いこと、しかもやむを得ない事情でなく、自ら望んで就業していない人もかなり多いことを知り、全く理解できず唖然とした。
しかしながら、それでもなお幸福度はかなり高いことが示されており、更に驚かされた。
確かに、3歳児神話を盲目的に信じ、合理的判断が出来ていない可能性はあるが、自ら選択し、しかもその結果に幸福を感じているのであれば、無理に働かせることが本人にとって良いことなのかについて自信がない。
それでも食べることに困るような貧困状態はあってはならないので、このような家庭にも援助が必要であると思う。(自助努力の好きな日本人の多くには受け入れられない意見だとは思うが -
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多くのデータをもとに、「好んで専業主婦になることは、個人ベースでも社会的にもマイナスが大きいともっと個々人に浸透するよう働きかけるべし」というメッセージを伝えた本。
わかるんだけど、パート主婦当事者としては、そんなこと言ってられないくらい大変だし、助けはないし、主婦を選んだ女性の自己責任だけにしないでほしいと強く思う。
望まない転勤、休めない長時間労働など男性側の働き方が変わらないと、有職主婦になったところで不可は妻にのしかかるだけ。
それをおそれたら、今度は子どもをもつことに回避的になるおそれもあると思う。
わかるけど、わかるけど…という歯痒さが残った。
少子化にしても晩婚化にしても、当 -
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専業主婦は、旦那がムッチャ稼いでいる家庭だは多いだろうが、実は、貧困家庭と分類される世帯でも多い。
それは、家族の健康面などの問題はあるが、実のところ、望んで専業主婦でいる。その人たちは経済面での不安を感じながら、幸せを感じている。
ただ、それは、本当に様々な条件を加味しての、合理的な判断なのだろうかと問いかける。
確かに、人間てのは常に全ての条件を理解して、最適な判断をしているわけではない。その論は、本件にかかわらず大変に面白い。社会としても考えることは山ほどあるな。
ただ、専業主婦が本来働いて入れば得られる損失利益は2億円だと言うのだが、誰がその2億円を払うのだ。
その方が2億円稼ぐとす -
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「貧困」と規定された専業主婦像を通して専業主婦全般を語るストーリーに議論の混乱を感じるところがある。ただ、それでも社会の歪みを考えるひとつの示唆となっている。
少子高齢化を背景に普く労働力の拡充が求められる現実がある。社会の仕組みが適応しないために女性が働くことで少子化が進んできたのか、そのあたり、本書の議論の背景を構成すると考えられるところへの言及はない。
専業主婦は社会悪なのだという価値観が少々強い印象がある。このあたりは一般的意見の違いが多いところだろう。
日本経済が凋落の度合いを増す情勢において、本書のようなテーマが本当に増えてきた。伝統的な専業主婦を抱えきれなくなった日本経済 -
Posted by ブクログ
専業主婦のライフスタイルを世帯年収や幸せ度など様々なデータで紹介されていて説得力があります。
専業主婦を選ぶ女性に見られる概念がいくつか紹介されていて、制度的な問題も参考になりました。
・欠乏の罠
日々の生活で精一杯になっている時には、人々は将来のことを考える余裕がなく、近視眼的に行動してしまう。
・制度的罠
専業主婦世帯向けの税や社会保障制度面の優遇政策は、いつの間にか多くの日本家庭を「専業主婦」モデルの枠内に捕えてしまう。
・貧困の罠
生活保護制度などの低所得者のための生活援助制度を利用している家庭が、就労するなどしてそこから脱却しようとしても、援助が打ち切られたり、減額されるなど