ウォルター モズリイのレビュー一覧

  • 流れは、いつか海へと

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    ネタバレ

    初のウォルター・モズリイ。
    結構な作品数があるにも関わらず、翻訳された数は少ない&ほぼ絶版。そのためこの作品以外で名前を聞いたことがありませんでした。

    これぞニューヨークの私立探偵物、と言って良い作品だと思う。地道に、こつこつと関係者を回り、真相へと辿り着く。たまに攫われたり、たまに非合法なことをしたり。

    話の筋は二つ。過去に身に覚えのない犯罪で収監され全てを失った主人公ジョーに、あれは用意周到な罠だったことを伝える手紙が届く。同じくして、刑事殺しで捕まっている政治活動家の無実を晴らしてほしいとの依頼が。自身の過去と対峙しながら、調べれば調べるほどきな臭い刑事殺し。題名のとおり、こ

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    2023年04月02日
  • 流れは、いつか海へと

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     国産ミステリーの犯罪のほとんどが、極めて個人的な犯罪を扱うのに比して、世界の賞を獲るような作品は必ずと言っていいほど、国家レベルの犯罪、あるいは政府機関の犯罪、もしくは制度の生み出す社会悪が生み出す犯罪を描くものが多い。単なる謎解き小説にとどまらず、犯罪を小説の題材として描くことで、何らかの社会的メッセージを描くもの、そうではなくても高位なレベルで行われる犯罪に、個人として立ち向かわねばならない状況を小説の背骨に据えているものが多いと思う。

     国産小説にそれが皆無とは言えないけれど、あくまでそうした部類の読み物とは一線を画し面白さだけを追求して、家族や男女間の愛憎のもつれ、ちっぽけな利権の

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    2020年01月27日
  • 流れは、いつか海へと

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    ザ・ハードボイルドという体裁の探偵小説。
    10年前、何者かにはめられ、無実の罪で警察を追われた主人公が、一人の黒人ジャーナリストの冤罪を晴らすための依頼を受ける。その流れのなかで、自分の冤罪事件の黒幕を追う流れに繋がっていく…というストーリー。

    ハードボイルドらしく、最後は全てスッキリ解決、といかないリアリティのある終わり方ながら、
    どこか希望を感じさせる所が良かった。

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    2025年02月03日
  • 流れは、いつか海へと

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    「濡れ衣への復讐のために耐え忍ぶ」という主人公の境遇から、デュマのモンテクリスト伯を彷彿とさせられる本書。作者のウォルター・モズリーは、本作に限らずギャング、ヘロイン中毒者、傷ついた魂、そして不屈の精神など、大都市ニューヨークのサバイバルをテーマとした作品をリリースしています。一連の作品でモチーフとなるのは、不正や腐敗の歴史を認めようとしない警察の暗部で、いずれも説得力のある物語は期待を裏切らない出来でした。今回も主人公のオリバーが自身に仕組まれた陰謀に翻弄されつつ、並行して発生した別の事件も交錯するという風に、いい話が展開されます。ですが、今作で私が一番興味を持ったのはストーリーそのものでは

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    2021年01月17日
  • 流れは、いつか海へと

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    ネタバレ

    かつて自らの女ぐせの悪さが災いし、身の破滅を招き、警察官の職を追われることになったオリヴァー。

    娘の支えもあって今は探偵業を営み生活しているが、当時の顛末には陰謀めいたものを感じており、10年以上経った今もいささか納得がいっていない。
    そこへ舞い込んだ当時の事件関係者からの告白の手紙と、冤罪と思われる男の疑いを晴らしてほしいという依頼。

    汚職警官の影がちらつく2つの事件の関係者、情報を握るであろう人物達を目まぐるしく巡礼する様に、「こいつはいったい誰だっけ?」となるけど、それぞれの人物との対決、次の一歩へ続いていく展開が特徴的で面白い。

    黒幕を担う人物は予想どおりといえば予想どおりだが、

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    2021年01月17日
  • 流れは、いつか海へと

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     びっくりするほどハードボイルドだ。
     読んでいると、80年代が舞台かと思うようなハードボイルドものだが、i-padなんかが出てきて現代に引き戻される。

     複数の事件が主人公を軸に複雑に交差するため、ストーリーを見失うこともあったが、少し前のページに帰りながらも面白く読めた。現代ニューヨークの人種間の感度や、暴力の匂い、組織犯罪の影がうまく書かれており、また、ハードボイルド小説の魅力である、主人公の骨太な矜持が魅力的な小説だ。

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    2021年01月04日
  • 流れは、いつか海へと

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    嫌いなアメリカノワールものだったが、広いものの面白みが味わえた。
    ハヤカワミステリの王道を行くような流れ、展開、そして警察という巨大組織の悪を自らの孤軍奮闘ともいうべき砕身で戦う黒人探偵。
    筆者Wモズリーはペンを30年も寝かせていたのである・・尤も握っては居たろうが。
    2019、満を持して❓描いた世界は!
    とは言え、ただならぬ彼・・背後を支えるのは犯罪人ばかり、そしてメガトン旧売春婦など。

    この5月、ミネソタ州で起きたあの事件・・J・フロイドさんの死・・いや殺人。
    モズリーが描く世界、そして黒人刑事(アフリカ系黒人とロシア系白人の間に生まれた彼)が今、この時代でも尚更根深く巣食う黒人へのいわ

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    2020年10月26日
  • 流れは、いつか海へと

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    主人公のオリヴァーはニューヨーク市警の刑事として鳴らしていたが、ハニートラップに簡単に引っかかりレイプ犯扱いされ、妻に見捨てられ警察をクビになり、いまは私立探偵をしている。娘だけを生きがいとして生きてきたが、そこにハニートラップを仕掛けた女性から手紙が届く…直後別のもう一人の女性から黒人ジャーナリストの無実を証明して欲しいと依頼がある。オリヴァーは2つの事件に繋がりはないが共通点を見つけ、自分の無実を晴らすためにも同時に調査を進めることにする。
    出てくる登場人物が個性的で良いのだが、多過ぎて誰だ誰やら分からなくなりかけ混乱する。その中でも群を抜いて魅力的なのは元凶悪犯で主人公の相棒になるメル。

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    2020年07月19日
  • 流れは、いつか海へと

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    読み進めずにはいられないんだけど、登場人物が多すぎて途中で何が何だか訳が分からなくなってくる、けどなんか面白い。なんだこれは?

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    2020年02月13日
  • 流れは、いつか海へと

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    今のこの国のように、役人や警察が民衆のために働くのでなく、自分たちの利権を守るために働くのが当たり前になってくると、頭の切れる警官なら自分が正規のルールに従って動くことが自分の所属する集団の中にいる他の者の目にどう映るか、だいたい分かるだろう。法や正義を盾にとって、いつか自分に害を及ぼすことになるだろう相手に、本心を明かすことはなくなり、遠巻きにして眺め、警戒するに決まっている。

    独善的でなく、周囲に気を配れるだけの器量さえあれば、腐った林檎でいっぱいの箱の中に入っていたら、自分だけいい匂いをさせているのがどれだけ危ういことか気づけるはずだ。ところが、自分の腕に自信があり、周囲の助けを借りる

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    2020年02月12日
  • 流れは、いつか海へと

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    二つの事件が並行して解き進められていく話。久々に翻訳もののミステリ読んだ!という充実感があります。

    とはいえ、関係者が結構多くて「あれ?この人前に確か名前出てきたけど何だっけ・・・??」と戻りながら読むので時間がかかる。老化だなぁ。しかし手間暇(?)かけてもしっかり把握したくなったのだから物語に引き込まれたのでしょう。当初考えていた大団円とは違ったけれど痛快なラストで読後感がよかったです。

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    2020年01月21日
  • 流れは、いつか海へと

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    身に覚えのない罪で警察をクビになり現在は探偵として生きるジョー。ある事件を追うなかで自分の過去とのつながりを見つける。ハードボイルドの王道のような、でもそれだけではなく今の空気もあって面白い。とても読み心地がよくてずっと読んでいたかった。

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    2020年01月17日
  • 流れは、いつか海へと

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    どうしようもなく頑固で不器用な男が、どんどん自分を追い詰めて、自分でしんどくなっていく「カッコいい」物語。
    原尞さんが薦めているのだから、読まないわけにはいかないでしょう。

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    2022年02月07日
  • 流れは、いつか海へと

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    2019年度エドガー賞最優秀長篇賞に輝いたハードボイルド探偵小説。ハニートラップに嵌り、警察を追われた主人公(現私立探偵)が自身の濡れ衣を晴らすべく奔走する本筋に、黒人活動家の冤罪事件の調査依頼が絡み合う錯綜したプロット(お家芸的)だが、最後は上手い具合に着地する。何より厄介なのは登場人物が多過ぎる上に、その内数名が偽名を用いているという白目を剥きそうな煩雑さ。ハードボイルドにおける所謂【ご都合主義的展開】に関して採点が甘めになる私にとっては、些か不満に思う部分はあれど、最後まで存分に楽しめる作品でした。

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    2022年01月08日
  • 流れは、いつか海へと

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    あの「ブルードレスの女」作者の久々の邦訳ということで、書評家の評価も高く期待して読み始める。主人公がニューヨーク市警を追われた経緯や刑務所での悪夢のような経験など、導入は魅力的。登場人物が個性的に描かれてはいるものの、次から次へと現れては一旦消える(もちろん後で再登場)ので、冒頭の登場人物一覧に戻ること数度、しかしそれでも思い出せずに本文から登場箇所を探すことも幾度…。途中でやめなかったのは、気の利いたラストに期待したから。それには応えてくれたかな。

    最近わかりやすい筋立てのミステリーや、ドラマTHE Wireとかの見過ぎで、複雑な物語を楽しめなくなっているのか?と自分が心配になる。

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    2020年09月07日
  • 流れは、いつか海へと

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    敵がいったい誰なのか?この手の小説を読むとき普通はそこを意識していると思う。ただ、その謎の敵がわからないまま次から次へと登場人物がふえるため、私には少し読みにくかった。端役が多すぎるというか、名前がなくてもいい登場人物が多かったという感じかな。
    アメリカの探偵小説を読み慣れている人向きかもしれない。
    後、エンディングは、好みではなかった。Sキングに似たような結末があるが、読後感は、キングの方がぜったい良い。

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    2020年09月06日
  • 流れは、いつか海へと

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    ・1週間後の深夜読書会の課題本。ミステリーは苦手なんだけど装丁、タイトルいいな。読めるかな。
    ・主人公は黒人のもと警察官。ニューヨークが舞台。車はビアンキーナというくすんだ褐色のイタリア車。別れた奥さんと娘がいる。セロニアス・モンクをきく。
    ・140
    見張られてる者を見張っている見張りを見張っている。メル。
    ティッシュ配りもそーなんか

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    2020年08月08日
  • 流れは、いつか海へと

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    ネタバレ

    すこぶる情けないハニートラップにまんまと掛かり、警官からレイプ犯たる囚人に落ちぶれた末、服役後に私立探偵へ。そんな男が、実はかつて警官時代に捕まえた極悪犯からは全幅の信頼を置かれ、多情多感な年ごろの娘からはそこらの父親にはとうてい叶わない尊敬と愛情を得ている。展開としては、探偵として依頼された事件と、かつて自分自身が陥った事件の冤罪を並行して晴らすというもので単純なれど、なにせ登場人物が多くて整理しきれない。最後は、ミッションインポッシブルのごとき救出作戦を成功させるが、あれで安心円満解決といえるのだろうか?そんな甘い相手じゃないと思うんだけど。

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    2020年06月28日
  • 流れは、いつか海へと

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    身に覚えのない罪を着せられてニューヨーク市警を追われたジョー・オリヴァー。十数年後、私立探偵となった彼は、警察官を射殺した罪で死刑を宣告された黒人ジャーナリストの無実を証明してほしいと依頼される。時を同じくして、彼自身の冤罪について、真相を告白する手紙が届いた。ふたつの事件を調べはじめたオリヴァーは、奇矯な元凶悪犯メルカルトを相棒としてニューヨークの暗部へとわけいっていくが。心身ともに傷を負った彼は、正義をもって闘いつづける―。

    「ブルー・ドレスの女」という題名は記憶があるが、残念ながら未読。確か映画化されたはず。
    題名も、表紙も、そして帯の惹句もいい感じだったのだが。登場人物の出入りが激し

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    2019年12月15日